- 解説一覧
- ヤマブキ(Kerria japonica)について
基本情報
- 和名の解説
-
①枝が弱々しく、風に吹かれて揺れやすいことから、ヤマフキ(山振)の意味。
②山中に生え、花の色がフキ(款冬)のようだから。
③ヤマハルキ(山春黄)の約。ほかにも諸説ある。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 人間との関係
-
庭園樹として古くから植栽されている。公園でも風致を作る下木として植えられ、日陰地を明るくする効果がある。
茎の髄は白色でとり出しやすく、子供の玩具とされた。
ニワトコの代用として顕微鏡用の植物切片に使われることもある。
また、かつては薄片で花などの形をつくって乾燥させたものを盃の酒に浮かべ、酒中花として楽しんだ。
和歌によく取り上げられ、『万葉集』には首の歌が詠まれている。
太田道灌の伝説で有名な「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」は、『後拾遺集』にある兼明親王の歌。
鷹狩りに出かけて雨にあった道灌が農家で蓑を借りようとしたところ、出てきた娘が無言で一枝のヤマブキを差し出した。
道灌は立腹したが、あとでこの古歌を知り、己の無学を恥じたという。
山吹色はこの花の色からついた名。また色が似ていることから大判、小判の異名でもある。
ヤマブキを図案化した紋所に、抱き山吹、向こう山吹、山吹の枝の丸などがある。
中国では花や葉が薬用にされ、消化不良や咳、水腫、関節炎に用いられる。花にはへレニン helenin やルテイン lutein が含まれている。
季題は「春」。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ