- 解説一覧
- セイヨウナシ(Pyrus communis)について
目次
基本情報
- 人間との関係
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果実を生食または缶詰に加工する。
セイヨウナシは古くから栽培され、すでにギリシア時代に接木繫殖や実生繫殖の栽培法が述べられている。
またフランス、ベルギー、イギリスなどで品種改良がおこなわれ、著名なパートレットは1770年に偶発実生としてイギリスで発見された品種である。
アメリカでの栽培は17世紀中ごろ以降で、果樹園としての集団栽培は18世紀になってから発展した。
日本には明治初期に初めて開拓使によって導入されたが、風土が適しなかったため全国的には普及しなかったが、北海道、東北地方や長野県などの一部地域で栽培された。
ゲルマン人はナシの木を神聖なものとして崇拝していた。キリスト教の宣教師たちが異教の信仰を根絶やしするため、この木を容赦なく伐り倒したという話は多い。
この木の下に宝が埋められていて悪魔に守られているという伝説、魔女たちが自分を嫌う者をナシの種や皮で病気にするというような話の背景には、とくに豊穣祈願に結びついた古い習俗があるように思われる。
子どもの誕生時に果樹を植える習俗がドイツにあり、女の子が生まれるとナシの木を植えた。占いにも使われ、次のような言い伝えが残っている。
クリスマスか聖トマスの日(12月20日)に杖かわら束をナシの木に投げ上げ、3度目にかかると恋愛が成就して結婚の運びになる。
また大晦日かクリスマスの日に少女がナシの木を揺すると、犬の吠える方角から未来の婿がやってくる。
お産の時、後産をナシの木の下に埋めると次ぎには女の子が生まれる。女の子の最初の産湯もこの木の下に注ぎ、ナシのたくさんできた年には女の子の生まれることが多いとも言われる。
参考文献
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
形態
- 果実の形質
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果実はとっくり状で、表面に凹凸がある。果色は黄緑色、品種により日にあたる所は赤色を帯びる。
果肉は白色で、肉質緻密、生食用には2週間ぐらい追熱させる。追熟果は甘味強く、芳香がある。
参考文献
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ
生態
- その他生態
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繫殖は接木による。
一般に棚支立てとするが、立木仕立ても行われている。主枝数2~3本とし、各主枝に1~2本の亜主枝をつける。
結果枝のせん定は今年のびた枝が翌年さらにのび、その先に花芽がつき翌年開花するという結果習性に基づいて行う。
施肥はほぼ二ホンナシに準ずる。果実は生食用の場合、1花そうに1果のみをつける。缶詰用の場合は2~3個とする。
参考文献
最終更新日:2020-04-30 キノボリトカゲ