- 解説一覧
- カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)について
カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)
- 【 学名 】
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Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim.
目次
基本情報
- 花期
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8月~9月頃、夜辺りが暗くなってから開花する。
参考文献
- 山田卓三 1992 カラスウリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 282₋283.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 分布
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本州、四国、九州、朝鮮、中国に分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 和名の解説
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熟せばカラスが好んで食べる、という説と、逆にカラスも食べ残す実、という説があるが、いずれも無理がある。
スズメウリという植物もあることから、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、というように単に大きさからきたもの、と考える方が無理がない。
実の赤さから唐の赤い実をイメージし、「唐朱爪」から来たという新説もある。
参考文献
- 山田卓三 1992 カラスウリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 282₋283.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:瓜根(うりね)、土瓜(つちうり)、山瓜(やまうり)、玉梓(たまづさ)、玉章(たまずさ)、狐枕(きつねのまくら)、結状(むすびじょう)、瓢瓜(ひさごうり)など
別名玉章(たまずさ)は、種子の形が結び文に似ていることによる。またカマキリの頭に似ているとも、大黒様に似ているともいわれる。
方言名は90余例に及び、カラスを冠称するものが40余例ある。
参考文献
- 山田卓三 1992 カラスウリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 282₋283.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 人間との関係
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『本草和名』、『大和本草』、『和漢三才図会』など多くの書物に取り上げられている。
縁起物として、カラスウリの種子を財布に入れておく風習もある。
また、種子を真綿に包んでしばらく置いておくと、銀の粉がふいてきてキラキラ光るのを楽しむ、という子どもの遊びもある(兵庫南部)。
江戸時代の『広益国産考』にはカラスウリの効能、利用法、栽培技術が述べられている。それによると、果実は皮膚の荒れ止めに効果があるので、ひびやあかぎれの妙薬であるとし、根からは良質のデンプンがとれるほか、利尿、解熱など種々の薬効があるとしている。
また婦人がこの粉をおしろいの代わりに用いると、にきび、そばかす、ほかの顔のできものを治すとある。このように古くから民間薬として用いられていたことがわかる。
食用には、若く柔らかい葉を摘み、揚げ物、油炒めなどに、また熱湯に塩をいれてよく茹で、冷水で冷まして辛子和え、バター炒めなどにする。
【成分】
成分はまだよく精査されていない。
【薬効と用い方】
・しもやけに用いる
果汁、果肉を患部に塗る。
・黄疸、利尿に用いる
乾燥した根(王瓜根)6~10 gを1日量として、水 200 ㏄で煎じてこれを1日3回食前に服用する。
・催乳に用いる
母乳の出をよくするためには、乾燥した種子(王瓜子)を1回に 1~3 g、水 200 ㏄で半量に煎じ、食後30分に服用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
- 山田卓三 1992 カラスウリ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 282₋283.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は掌状に3~5浅裂するが、下部のものは往々深く裂ける。
裂片のへりはギザギザしており、濃い艶のない緑色、質は柔らかいが、粗毛があるので触るとざらつく。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
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- 茎(幹)の形質
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茎には粗毛があり、また巻ひげがでて周囲のものにからみ、日光を求めて盛んに伸びる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
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- 根の形質
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根は淡黄白色で塊状に肥大し、地中にやや深く横たわり、初夏に芽を出し、長い蔓状の茎となる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
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- 花の形質
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葉のわきにつき、白色で夕方に開き、花びらは5裂するが、裂片のへりはさらに糸状に細裂し、外側に房のようになって垂れ下がる。雌花は1個あてつくが、雄花は短総状につく。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 果実の形質
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花後に実る果実は、はじめ緑色であるが次第に大きくなり、長さ 5~7 cmの楕円状に膨らむ。
赤熟して垂れ下がり、冬期も残っている。果肉は苦い。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子はカマキリの頭に似ており、黒褐色である。長さ 8 mm、幅 6.5 mmほどの中央に、これを巻くように帯状様のものが隆起している。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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・キカラスウリ
キカラスウリの種子には、カラスウリにある帯状物がない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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原野、山林、日の当たる人家に近い藪などに生える。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
- 伊沢凡人 1980 カラスウリ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37₋38.
最終更新日:2020-05-26 ハリリセンボン
- 送粉様式
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虫媒花。開花中に夕顔別当の訪問を受ける。夕顔別当とは、エビガラスズメという蛾で、雄花、雌花を飛び回って花粉媒介を引き受ける。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
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関連情報
- 栽培方法
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【採取時期と調整法】
採種時期は秋である。果実はよく熟したものの果汁、果肉を用いる。種子は熟した果実を水の中で砕いて取り出し、日干しにする。
根はサツマイモのようなもので、水洗いしてから、乾燥を早めるために輪切りにして、日干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カラスウリ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 459.
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