- 解説一覧
- Rhus chinensisについて
Rhus chinensis
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Rhus chinensis Mill.
基本情報
- 分布
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北海道、本州、四国、九州、沖縄に自生。台湾、中国、朝鮮半島にも分布する。
参考文献
- 1998 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて - 書籍全体, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. .
最終更新日:2021-04-30 ハリリセンボン
- 和名の解説
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平安時代にはヌルデをヌテンと呼んでいた。『本草和名』(918)はこの木にできる虫こぶをヌテンノキノムシの名で呼び、このキノムシに樗鶏の漢名をあてた。
『本朝食鑑』(1697)になると、沼天はいま言う奴留天(ヌルデ)の木のことであるとし、『和漢三才図会』(1713)の寺島良安は、奴留天の天は手を意味し、奴留手から和名になったとしている。奴留手は、この木を折ると白いにかわ様の樹液が出て、物を塗るのに使用していたと見られることから、「塗る手」に由来したものであろう。
参考文献
- 1998 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて - 書籍全体, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. .
最終更新日:2021-04-30 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:フシノキ、勝木(かつき)、白膠木紅葉(ぬるでもみぢ)、耳付子(みんぶし)、護摩木(ごまき)、塩塩木(しょっぺしょっぺのき)
参考文献
- 1980 原色版日本薬用植物事典 - 書籍全体, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. .
- 1992 野草大百科 - 書籍全体, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. .
最終更新日:2021-04-30 ハリリセンボン
- 人間との関係
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ヌルデノミミアブラムシという名の小さな昆虫の産卵で、葉に虫こぶができる。秋にこれをとり、蒸して中の虫を殺し、乾燥したものを五倍子、またフシとも言う。『本朝食鑑』に、「わが国(日本)の当世の女子は、鉄漿に膚子を合わせて、歯牙に塗っている…通称、鉄を着けるとか、お歯黒を着けると云う…」とある。鉄なべのこわれたのを米のとぎ汁につけ、暖かい所において、この上澄みに五倍子の粉末を混ぜて歯に塗ったようであるが、なぜ女子が歯を染めるのか、「博識の人を俟って、この理由を明らかにしたい」と結んでいる。
ほかにもタンニンをとったり、正月の箸をはじめいろいろな用材として用いられていた。染料や写真の製造原料などにも利用される。
晩秋の頃、果実の表面が白い粉で覆われる。この房を子どもたちはシオナメといって果実ごと口に入れ、なめていた。
生薬名は五倍子という。
【成分】
酸性リンゴ酸カルシウム、クエン酸、酒石酸、タンニンを含む。
【薬効と用い方】
・下痢、痰、咳に用いる
1回量 10~15 gを、水 400 ㏄で3分の1量に煎じて服用する。
参考文献
- 1998 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて - 書籍全体, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. .
- 1992 野草大百科 - 書籍全体, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. .
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形態
- 葉の形質
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葉は枝先に集まって互生し、奇数羽状複葉で、小葉は3~6対あり、卵形~楕円形~長楕円形で先は尖り、へりはやや粗く鋸歯状に切れ込み、表面には短毛がまばらに生える。裏側には軟毛が密生していて、対生する小葉と小葉との間の葉軸には翼があり、間々瘤が附着する。
参考文献
- 1980 原色版日本薬用植物事典 - 書籍全体, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. .
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- 花の形質
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枝先に円錐状につき、その花軸には軟毛が密布し、白色でごく細かい。がく片5、花弁5、雄花では、雄しべ5、雌花では発育不良の雄しべ5と花柱3、子房は1室ある。
参考文献
- 1980 原色版日本薬用植物事典 - 書籍全体, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. .
最終更新日:2021-04-30 ハリリセンボン
- 果実の形質
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花後実る果実は、小扁円形で赤紫色、ときには白緑色を帯び、短毛が密布し、熟すと白粉を帯びる。
参考文献
- 1980 原色版日本薬用植物事典 - 書籍全体, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. .
最終更新日:2021-04-30 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日のあたる山野丘陵に生える。
参考文献
- 1980 原色版日本薬用植物事典 - 書籍全体, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. .
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