- 解説一覧
- トチノキ(Aesculus turbinata)について
トチノキ(Aesculus turbinata)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Aesculus turbinata Bl.
目次
基本情報
- 学名の解説
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属名は「食う aescare」に由来。果実が食用となることから。種小名 turbinata は倒円錐形の、の意味。果実の形から。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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トジ(青森、秋田、宮城)、トツノキ(岩手、宮城)、ホンドチ(三重、和歌山)、ダイシグリ(徳島)、ヒョーヒョーグリ(熊本)/トチニ(アイヌ「トチの木」日本語から)
参考文献
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- 人間との関係
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公園樹、庭園樹、街路樹に利用される。秋の黄葉を楽しむために街路や公園に植えられ、皇居の桜田門外には立派な並木がある。
種子はサポニン、アロインなどを含んでおり苦いが、これを十分に精製すると、デンプンが多量にとれる。
これからトチ餅やトチ粥をつくる。縄文時代以来、重要な食糧資源として用いられている。
材は散孔材で、辺材と心材の違いがない黄白から淡黄褐色を示し、気乾比重約 0.52 、軽軟で工作容易だが、やや狂いの出やすいのと、耐朽性の低いのが欠点である。
しかし、大径材が得られるので、建築造作用、家具、彫刻、漆器木地など広い用途がある。
板目面にリップルマークとよばれる微細なさざ波模様がみられるのが特徴で、また美麗な縮み杢があらわれることがあり、家具、盆、鉢、指物工芸品に賞用される。
木目が美しく、加工も容易なため、彫刻材、漆器の木地、器具、建築、家具材などに用いられる。
ヨーロッパでは種子、花、皮が薬用に用いられる(セイヨウトチノキ)。
日本でも民間では、種子を乾かし粉末にし、水虫、たむしに用いたり、しもやけに塗ったり、飯に混ぜて練り、腫物に貼るなどする。
種子の液汁は馬の眼病などに効くという。
その名にちなみ、栃木県の県木とされる。
種子からトチ麺をつくる時の棒をトチ麺棒というが、手早く伸ばさねばならないことから、あわて者のことをトチメンボウという。
古くから山村では、種子の中身を刻んで木灰汁で煮て水にさらして渋を抜き、とち餅、とちめん(麺)や、とち団子をつくった。
花からは良質のハチミツが集められる。
季題は「春」橡の芽。「夏」橡の花。「秋」橡の実。「木曽のとち浮世の人のみやげ哉 芭蕉」「橡咲けり白峰北岳を見る岨に 秋櫻子」などの句がある。
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形態
- 葉の形質
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葉は対生、長柄 15~18 ㎝、葉身は大きな掌状複葉、小葉は5~7片、長倒卵形、急鋭尖で長さ 20~30 ㎝。
縁はきょ歯があり、平行脈が多数ある。表面は濃緑色で無毛。裏面は淡緑色の軟毛がある。
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- 花の形質
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両性または雌しべが退化した雄性。花は長さ 15~25 ㎝の円錐花序を直立し、白色に帯紅色のぼかしがある径 1.5 ㎝の花を密生する。
がくは鐘状不整に5裂し、花弁は4枚。
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生態
- その他生態
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繫殖は実生、さし木による。実生は湿り気のある砂に混ぜ土中埋蔵、3月に播種する。発芽率は高い。
一定樹形のものは支障枝の枝抜きをして整える。乾燥時にかん水する。生育の悪いものには施肥する。
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