- 解説一覧
- フヨウ(Hibiscus mutabilis)について
目次
基本情報
- 人間との関係
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庭園樹、公園樹、鉢植え、まれに生垣とする。
茎の皮は強靭で、和紙の補助原料、製紙材料などとされたほか、沖縄では茎の皮をはいで漁網やかご、下駄の緒などをつくり、木部を魚形に削り擬餌とすることもある。
原産地は東アジアの暖地とされるが、わが国の野生のものがもともとの自生種か、中国から持ち込まれたものであるかは明らかではない。
とくに中国、韓国、日本で好んで観賞用とされ、詩歌や絵画に多く登場する。
わが国で栽培・観賞が始まった時代は明らかではないが、一條兼良(1402-81)の作とされる『尺素往来』に秋の庭植えの花24のうちの1つとしてフヨウを挙げていることから、室町期にはすでに栽培・観賞されていたと思われる。
「芙蓉の顔」は美女をたたえるたとえ。また富士山の雅称に「芙蓉峰」の呼び名がある。
季題は「秋」。「枝ぶりの日ごとにかはる芙蓉かな 芭蕉」「松の間の芙蓉にそそぐ朝日かな 泊月」などの句がある。
参考文献
最終更新日:2020-04-27 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は互生し、やや光沢のある膜質で、直径 10~20 ㎝の五角状心臓形または卵形、卵状菱形となり、五行脈があり3~5浅裂、ときに7浅裂する。
基部は心脚またはくさび形、裂片は三角状鋭尖、縁には鈍きょ歯、波状歯牙があり、長さ 9~12 ㎝の葉柄がある。
表面は星状毛および細突起点があり粗渋、裏面は灰色の毛がある。
参考文献
最終更新日:2020-04-27 キノボリトカゲ
- 花の形質
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花は枝の上にえき生、まれに頂生する。ふつう淡紅色で直径 10~13 ㎝、長さ 10 ㎝ぐらいの葉柄があり、朝開花し夕方に萎凋する。
1日のうち、早朝は白または紅色、昼間は淡紅色、夕方は深紅色に変化するものもある。
花下に線形小包が10個あり、基部は合着する。雄しべは多数、雌しべは1個で柱頭は5個に分かれる。
参考文献
最終更新日:2020-04-27 キノボリトカゲ