- 解説一覧
- オクラ(Abelmoschus esculentus)について

基本情報
- 生活形
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広い地域で帰化した、熱帯および亜熱帯性の一年生植物である。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 原産地
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アフリカと考えられている。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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アオイ科
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 人間との関係
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アオイ科の仲間で、ワタの近縁種である。
古くから西アフリカ、またはエチオピアで栽培されていた可能性もあるが、いつ北アフリカ、中東、インド、東地中海まで広がったかは不明である。
紀元前13世紀には、既にナイル川流域に生えていたという記録があるが、エジプトの墓からは何の証拠も見つかっていない。
新世界へは、アフリカの奴隷貿易を通じて伝わったと考えられている。
17世紀半ばにはブラジル、17世紀終わりにはスリナムに達している。17世紀のあいだに米国南部に伝わったらしく、18世紀には、北はフィラデルフィアやバージニアまで栽培が見られるようになった。
また、インドからゆっくり東南アジアに伝わり、19世紀にはその姿が見られた。そのすぐ後には、中国でも見られるようになった。
わが国には幕末期に渡来したといわれ、明治6年の記録が最初のものとされている。
我が国ではアメリカから渡来したとして、アメリカネリと呼んだが、現在ではむしろ英名のオクラが日本名になっている(アメリカではグンボとも呼ぶ)。
オクラは戦前から野菜の1つとして園芸書には載っていた。しかし食用としてはほとんど栽培されなかった。ただ物好きな人たちが観賞用として栽培したり、コーヒーの入手が困難であった戦時中は、オクラの完熟種子がコーヒーの代用品として珍重された程度であった。
第二次大戦後、台湾、東南アジアなどでの生活の経験者が内地に帰還し、これらの人たちが食べ慣れたものとしてわずかに栽培し始めた。
また高知県あたりで夏のハウスを活用できる野菜として高温性のオクラが選ばれ、栄養豊富な食品として宣伝し、料理法などを説明した印刷物を添えてパック詰めして出荷した。戦後のサラダの利用が増えてきた時期でもあり、これが消費者にうけて爆発的な人気が起こり、消費量の増大に伴って鹿児島県から秋田県まで各地に産地が生まれ、昭和51年からは農林統計にも隔年で載るようになった。
その後も栽培はなお増加し、昭和55年の全国の作付け面積は657ヘクタール、収穫量は1万トンを超している。
また本種の完熟したさやは、生け花の材料にもされる。
【食べ方】
オクラの主な特徴は粘り気であり、米国ではクレオールやケイジャン料理で主に使われる。
肉、魚介、野菜などいろいろなものを煮込んだ、ガンボという、スパイスの効いたスープに近いシチューに使われているのは有名である。その特徴的な粘り気をつけるのにオクラが使われているが、現在は昔ほど好まれなくなっている。ガンボは西インド諸島でオクラを意味する。
また、オクラはインドや中東料理で広く野菜として使われている。
粘り気を出さないためには、さやを壊さず、優しく加熱しなければならない。トウモロコシ粉と一緒に加熱する、若いさやを選ぶなどして、粘りを少なくすることはできる。乾燥させて、とろみづけの粉にもできる。
またおろしてとろろ式にしたり、生、あるいはさっと湯を通してスライスし、酢の物、和え物、サラダ、あるいはバター炒めなどにする。
【効能・有効成分】
さやはアオイ類に共通のペクチン、ガラクタン、アラバンなどの混合物の粘着物を含み、切るとネバネバする。
オクラはタンパク質とビタミンを含み、食品として価値が高い。
参考文献
- 青葉高 2013 オクラ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 157₋159.
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
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形態
- 葉の形質
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葉は長く広い鋸歯状で、5~7つの裂片がある。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
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- 花の形質
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花は根元に赤や紫色がついた、白または黄色の一重である。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
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- 果実の形質
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さや状で肉厚の果実は、緑色または赤色の果皮をもつ。
外側が柔毛に被われており、茎のところから先端まで筋がある。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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結実するには、長く霜が下りない気候が必要である。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
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- その他生態
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高温を好み、種子は20℃以下ではほとんど発芽しない。
参考文献
- 青葉高 2013 オクラ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 157₋159.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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オクラは低温に弱いことを除けば栽培は比較的容易で、夏は家庭菜園でも作りやすい。
茎が伸び花が咲きだしたら、開花後4~7日の若いさやを毎日摘んで、出荷あるいは食用にする。
さやは通常断面が五角形であるが、円形の品種や八角形の品種もあり、近年は一代雑種の品種も育成されている。
収穫期が遅れるとさやが硬くなり、味も落ちる。
参考文献
- 青葉高 2013 オクラ, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 157₋159.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 味や食感
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好き嫌いが分かれる特異な食感をもつ。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 オクラ, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 190.
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