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- アセビ(Pieris japonica)について
アセビ(Pieris japonica)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Pieris japonica (Thunb.) D. Don ex G. Don
目次
基本情報
- 和名の解説
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①馬が葉を食べると酔ったようになり足が不自由になるため、アシジヒ(足癈)がアシビになり、さらにアシミ、アセビになった。
②アシ(足)タミ、アシ(足)ダミの約転。タミはタワミ(撓み)で病のこと。
③アシミ(悪実)の音便。
④馬酔木の音「アスホ」から。
⑤実が熟すと五つにはぜることから、「はぜ実(び)」がアセビとなった。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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アシビ、アセバ、アセブ、アセボ、アセボシバ、アセボノキ、アセミ、アセモ、ウマクワズ、シカクワズ、ヒガンギ(春の彼岸の時期に花が盛りのため)/チョーチンバナ(秋田、宮城)、ハモロ(和歌山)、ヨロエドーシ(京都)、ホーコーニシンバ(奈良)、ムギメシバナ(中国地方、鹿児島)、ドクシバ(高知、愛媛)
参考文献
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- 人間との関係
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庭園樹、公園樹とする。
葉に毒性(アセボトキシン)があり、有毒植物であるが、その葉を煮出して家畜の寄生虫駆除や殺虫剤などにも用いたことがあった。
材は緻密で薪炭材や挽物細工などに用いる。
『万葉集』ではアセビの名が登場する歌が10首詠まれている。
「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありとは言はなくに」(2・166・大伯皇女)はよく知られる。
アセビを海外に紹介したのはスウェーデンのツュンベリー。
『日本植物誌』(1784)に「シシクワズ」として記載。これは長崎の方言で、シシ(シカ)も食わないというのが由来。
暗い山道を歩く時、オオカミなどに襲われないようにアセビの枝を腰にさして歩くというのは、江戸時代の奥武蔵地方の風習。
短歌雑誌『馬酔木』は、正岡子規没後の根岸短歌会の機関誌として、伊藤左千夫を中心に1903年(明治36)に創刊、1908年(明治41)廃刊。
水原秋櫻子主宰の俳句雑誌『馬酔木』は、1922年(大正11)に創刊された『破魔弓』を1928年(昭和3)に改題したもの。
季題は「春」。馬酔木の花。「馬酔木より低き門なり浄瑠璃寺 秋櫻子」「もの古りし石段ありて花あせび 茶女」などの句がある。
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最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は枝の先に集まって互生し、広倒皮針形で長さ 3~8 ㎝、幅 1~2 ㎝、先はとがり、革質で縁には細かい鋭頭のきょ歯がある。
葉柄は 0.2~0.7 ㎝ほど。
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- 花の形質
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枝先に花序を下垂し、多数の白色でつぼ状の花を開く。
花冠の長さは 0.6~0.8 ㎝、先は短く5裂する。雄しべは10本、雌しべは1本。
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生態
- その他生態
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繫殖は実生、さし木による。梅雨期にさすとよくつく。萌芽力が強く、せん定もでき、移植も容易である。
肥料は早春に油かす、骨粉などを施すとよい。病害虫はほとんどない。
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