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キリ(Paulownia tomentosa)の分類 Paulowniaceae
キリ(Paulownia tomentosa)の概要 Paulownia

キリ(Paulownia tomentosa)

【 学名 】
Paulownia tomentosa (Thunb.) Steud.

基本情報

草丈・樹高

・樹高:8~10 m
・幹径:30~40 ㎝

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最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ

生活形

・広葉樹、落葉高木

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花期

5~6月

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分布

北海道中部、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島に分布。

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原産地

日本産説と朝鮮半島説がある。中国原産ともいわれる。

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学名の解説

属名はシーボルトの後援者であったオランダのアン女王の名にちなんだ。種小名 tomentosa は密綿毛のある、の意味。

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和名の解説

①切るとすぐに芽を出して生長し、最初よりも栄えるためキル(切、煎、伐)の名詞形から。

②木目が美しいためキリ(木理)の意味から。

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別名・方言名

キリノキ、ハナギリ、ヒトハグサ、ヒトハグワ

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分類学的位置付け

ゴマノハグサ科 キリ属

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人間との関係

材は白色で木目が美しくつやがある。

また耐湿・耐乾性に富みやわらかく軽いので、箪笥や長持ちなどの和家具、琴などの楽器、下駄などに広く用いられる。

特に「桐の箪笥」といえば高級家具の代名詞といえるほど知られ、静岡県藤枝市、埼玉県春日部市、新潟県加茂市が三大生産地といわれる。

樹皮は染料、葉は除虫薬にも用いられる。桐炭はデッサン、眉墨、黒色火薬に用いられる。

キリが中国より渡来したのはかなり古く、「桐」の名が最初に見られるのは『万葉集』810。

題詞に「梧桐日本琴」とあるが、これはアオギリを指すという説もある。

『枕草子』には美しい花としてキリが記述されている。『源氏物語』の「桐壺」は宮中にこの木が植えられていたことに由来する。

生長が早く、良質な家具材となるため、かつては女の子が生まれるとキリを植え、嫁ぐときにそれで箪笥をつくった。

キリは鎌倉時代に後鳥羽上皇により皇室の紋章とされたといわれ、花の数によって「五七の桐」「五三の桐」といった。

この桐紋が臣下に下賜されたが、豊臣秀吉の「五三の桐の太閤紋」はとくに有名。明治時代に正式に皇室の紋章になった。皇室の紋章は「五七の桐」で民間では「五三の桐」を選ぶのが慣例となっている。

桐紋は日本の代表的な紋章で、最近までパスポートの地紋に使われていた。

岩手県の県花。昔から雪国の寒さのなかで育ったキリは質が良いといわれ、とくに岩手県の「南部桐」はその質・量ともに秀逸で、全国的によく知られている。

キリは19世紀ごろに北米へ移入された。また南米でも日本人移民によって栽培されている。

1989年現在、日本のキリ材年間需要は約 15万 ㎥であるが、国内生産量は1960年ころから急速に減少し、1989年現在で約90%を中国、台湾、北米、南米から輸入している。

とくに北米産のキリは材質がよく、今津桐、南部桐にも匹敵するといわれる。

桐は中国で鳳凰のすむ木として貴ばれてきた。

日本でも、この思想から天皇の袍の模様に桐竹鳳凰をつけ、その他の調度や器物の模様にもこの模様が多く用いられた。

紋章としての桐文はこうした文様が多く用いられた。紋章としての桐文はこうした文様が固定したものと思われ、皇室では菊花と並んで桐も紋章として用いられていた。

足利氏、豊臣氏の桐の紋も皇室から与えられたといわれ、これがさらにその一族または家臣のあいだに広がったので、武家のあいだにこの紋を用いる家は多い。

紋の種類は、三つ葉に五七または五三の花をつけた大内桐、嵯峨桐、鬼桐などのほか、これを円形に扱った割桐や桐車、桐丸の類から、桐菱、桐蝶、蝙蝠桐などのような変わったものまで、130~140種に及んでいる。

季題は「夏」桐の花。「秋」桐一葉、桐の実。「桐一葉空みればはるかなり 万太郎」「曇日の空のまぶしや桐の花 播水」などの句がある。

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形態

葉の形質

葉身は大形の広卵形で葉脚は心臓形をしている。長さ 12~25 ㎝、縁は全縁。または3~5中裂する。

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茎(幹)の形質

幹は直立、分枝し、樹皮は灰褐色で平滑、枝条は太く粗生する。幼枝には軟毛が密生する。

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花の形質

花は、葉より先に円錐花序を直立し、がくは広鐘形で5裂し、長さ 20~30 ㎝。

花冠は唇形で径 5~6 ㎝。花色は紫色。個体により濃淡がある。

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果実の形質

果実は10月成熟、尖卵形で長さ 3.5~4 ㎝、暗褐色をしている。

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種子の形質

種子は扁長形で膜翼があり、きわめて小形、1果にきわめて多数入っている。

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似ている種 (間違えやすい種)

シナギリ

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生態

生育環境

排水のよい肥沃な深層土を好む。日当たりのよい場所、半日陰地によく生育する。西日を嫌う。生長はきわめて早い。

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その他生態

繫殖は実生、根伏せによる。せん定は切口から腐れが入るのでできない。

キリは生長が早く、切ってもすぐに芽を出す。そのため植えて2.3年目に幹の根元から台切りして強い萌芽を育てる。

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関連情報

病害虫

テングス病、癌腫病

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種・分類一覧