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- キクイモ(Helianthus tuberosus)について
キクイモ(Helianthus tuberosus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Helianthus tuberosus L.
目次
基本情報
- 和名の解説
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キクに似た花が咲き、塊茎があることによる。
参考文献
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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方言名:カライモ、イットイモ、シシイモ、ハナイモ、ブタイモ、イモギク
カライモは唐芋の意味で、昔、中国から渡来したものと考えてこの名がある。シシイモ、ブタイモは、猪や豚が好んでこの芋を食べることによる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 人間との関係
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江戸時代前期の飢餓のときに、サツマイモをたくさん栽培していた南九州では餓死者が少なかったことから、救荒作物が見直され、キクイモもその1つとなった。
塊茎はイヌリンを多く含んでいるので、果糖製造、アルコール発酵、飴などの原料となり、第二次大戦前に食用として輸入され、栽培を奨励した時期もあった。現在ではブタなどの家畜の飼料にされることが多い。
切るといったんしおれたようになるが、水につけるとすぐ元気になり、長持ちするため、切花にもよい。
食用にする場合は、葉が枯れた頃から、春の新芽が伸びだすまでの間に塊茎を掘り取る。きれいに洗い、ごく小さい塊茎はそのまま、大きい塊茎は皮を剥いて輪切りにする。
一度茹でこぼしてから、煮物などにする。ジャガイモの歯切れと、ゴボウの味をミックスしたような風味があり、甘口の味噌漬けにすると、キクイモの味を最高に引き出せる。
春の若芽を摘み生のまま天ぷらに、もしくは塩ゆでしてバター炒めなどにできる。
【成分】
塊茎にはデンプンを含まず、イヌリンのみを含む。
【薬効と用い方】
糖尿病、薬物中毒、アルコール中毒などに、水分や熱源補給を目的に、専門医が果糖の注射剤として使用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は縁に鋸歯があり、卵状長楕円形で先端は尖り、基部は急に細くなって対生する。上部の葉はときに互生することもある。
葉には粗い毛が生え、触るとざらつく。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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地下に親指大の塊茎を何個もつける。茎には粗い毛が生え、触るとざらつく。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 花の形質
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花径は 7~8 cmで、外側の舌状花は濃黄色で10~12個つく。中心の管状花は黄色である。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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・イヌキクイモ
夏期がイヌキクイモの方が早く、根茎の先があまり大きなイモにならない。葉の色がキクイモに比べて黒っぽい。
参考文献
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
生態
- その他生態
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芋にたくさん芽があり、繁殖力が強い。
参考文献
- 山田卓三 1992 キクイモ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 52.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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【採取時期と調整法】
10月、茎葉が枯れる頃に塊茎をとり、水洗いして用いるが、太平洋戦争中この栽培が各地で盛んであったのは、食料補給以外に果糖製造の原料に利用するからであった。
参考文献
- 伊澤一男 1998 キクイモ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 734.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン