- 解説一覧
- ニンジン(Daucus carota)について

基本情報
- 生活形
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二年草
参考文献
- 青葉高 2013 ニンジン, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 342₋346.
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 原産地
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アフガニスタンの周辺に野生があり、野生品には紫赤色、黄色、白色個体などがみられ、この地域がニンジンの第一次原生地とされている。
参考文献
- 青葉高 2013 ニンジン, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 342₋346.
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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ニンジンには、薬用の人参(チョウセンニンジン)に対する称呼として、セリニンジン、ナニンジン、ハタニンジンの別名がある。
参考文献
- 柴田桂太 2001 ニンジン, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 546₋547.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 人間との関係
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ニンジンは5000年以上前から中央アジアに生えていた。
野生のニンジンはオレンジ色以外のさまざまな色があり、主な色は紫色であった。
葉と根は硬くて苦味があり、薬や味付けのためのハーブとして使われた。
改良によって根が大きくなり、苦味もやや薄れたが、このように改良されても、まだニンジンを一般的な食物にするまでには至らず、薬や媚薬として長く使われ続けていた。
ギリシア人は全くニンジンを食べなかったが、ローマ人は強い味を好んだため、ニンジンを受け入れるようになり、生、または加熱して食べた。
古代ローマの料理書『アピキウス』には、ニンジンの調理法がいくつも述べられている。
12世紀には、ムーア人によってヨーロッパ大陸にニンジンが伝えられ、まもなくイングランドへも広まった。その後、新世界へも伝えられている。
品種改良によって、ニンジンの色が今日見られるおなじみのオレンジ色に変わるとともに、さまざまな改良も広く知られるようになり、ニンジンの地位は香味野菜から野菜へと変わっていった。
わが国では『多識編』(1612)に胡蘿匐、今案世利仁牟志牟とあるのが最初で、おそらく16世紀に中国から渡来したものとされている。
ニンジンはわが国で古くから知られていた、薬用のオタネニンジンと根の形が似ていたため、それと区別してセリニンジン、人参菜(『本朝食鑑』)と呼んだ。
そして『和爾雅』ではセリニンジン、ニンジンとして、『重修本草鋼目啓蒙』でもセリニンジン、ニンジン、ナニニンジンなどとあり、やがて単にニンジンと呼ぶようになり、『百姓伝記』、『農業全書』、『大和本草』では胡蘿匐をニンジンとしている。
ニンジンは当時渡来後間もない野菜であったが、『農業全書』では「是菜中の賞翫にて味性も上品の物なり、菜園にかくべからず」とし『菜譜』では「菜中第一の美味なり性亦尤よし」と栽培を勧め、かなり多くの字数をあてて記述している。
当時のニンジンはいわゆる東洋系の品種で、紫赤色の品種や白色の品種も各地で栽培されたらしい。
ヨーロッパ系のニンジンが渡来したのは江戸時代の後期以降で、まず長崎に入り、それから長崎五寸などの品種が生まれた。
明治初期には欧米の品種を積極的に導入し『舶来穀菜要覧』ではアメリカ6品種など9品種について解説している。
北海道にはまた別に欧米から導入された。
その後これらの欧米の品種から、わが国の風土になじんだ品種が相次いで育成され、東洋系の品種にとって代わった。
現在残っている東洋系品種は、金時だけとなる。
第二次大戦後は五寸ニンジンと呼ばれる短根品種が主体になり、ニンジン品種は大きく変わった。
【食べ方】
ニンジンはスープストック、スープ、煮込み、油でいためてから蒸し煮にする料理などに、強い甘味を加える。
茹でる、焼く、ソテーなどして、つけ合わせ野菜にする。それだけで蒸すか、または新鮮なディル、ハチミツ、バターを少量加えて茹でてもよい。
また昔、田舎では、冬、根を割って蒸したり、茹でたりして干野菜に作った。
生で使うときは、その色、甘味が野菜料理やサラダに趣を加える。
参考文献
- 青葉高 2013 ニンジン, 青葉高(著) 日本の野菜文化史事典. 八坂書房. 342₋346.
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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太い主根を収穫するために栽培され、根の太さ、長さ、色は品種によって異なる。
種子で繁殖させ、よく耕された砂質の土壌と、やや低い温度がもっとも適している。
根が食用になる大きさに育ったら、すぐに収穫できる。
非常に短期間で根が太くなる品種は、ベビーキャロットとして収穫される。
春3~4月になると、根は老いて食べられなくなり、やがて、夏のはじめ頃花になり、その後実を結んで、苗も根も共に枯れる。
冬のうちに掘り出して土に囲っておくと、久しく硬くならず、貯蔵もきくため重宝な野菜である。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
- 柴田桂太 2001 ニンジン, 柴田桂太(著) 資源植物辞典. 北隆館. 546₋547.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- 味や食感
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甘く快いポリポリした食感である。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン
- その他
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今ではおなじみのオレンジ色にニンジンを品種改良したのは、オランダ植物学者たちだといわれている。
栽培者たちは北アフリカから来た、突然変異の黄色いニンジンの種子で、苦味が少ないニンジンを開発する実験をしていたのである。
やがて黄色いニンジンが、一般的な紫色や赤の栽培品種と掛け合わされて、オレンジ色のニンジンが生まれた。オレンジ色のニンジンの味と歯ざわりは格段に優れており、栽培品種の主流になった。
参考文献
- バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント 2012 ニンジン, バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(著) 世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理. 柊風舎. 151.
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