- 解説一覧
- スイカズラ(Lonicera japonica)について
基本情報
- 和名の解説
-
①花の中に蜜があり、吸うと甘いため
②水を吸うカズラ(蔓)の意味。スヒカツラ(吸蔓)。
③毒分を吸い取る作用があるため。
④常緑であるため、冬を忍ぶシヌヒカツラ(忍蔓)の意味。
中国名「忍冬」は、冬でも葉の一部が残るため忍冬という。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 人間との関係
-
葉、花を薬用とする。果実を染料に利用。
開花期には花を摘んで乾燥させたものを金銀花といい、関節痛や風邪の解熱、利尿などに用いる。
また浴湯料として用いると神経痛や痔の傷みに効く。茎葉と花を酒に浸して忍冬酒として飲むこともある。
古代エジプトでつくられた装飾模様のひとつに忍冬文がある。
これはギリシャ、ローマから中国を経て日本に伝わり、正倉院御物や法隆寺の玉虫厨子の透かし彫り金具などに見ることができる。
北アメリカやヨーロッパでは観賞用に導入したものが野生化して繫殖し、雑木として嫌われている。
葉を乾かしたものはタンニンを含み、茶の代用とされる。生薬では花を金銀花、茎および葉を忍冬あるいは忍冬藤という。
花は脂肪酸、フラボノイドなどを含み、単独で、あるいは漢方で他の生薬と配合して、解熱・解毒薬として流行性感冒、できものなどに、また黒焼きは止血薬とする。
忍冬はタンニン、サポニンおよびフラボノイドなどを含み、金銀花と同様に用いられるほかに利尿の効がある。
忍冬または金銀花水は夏季、清涼飲料となる。また香りが強いこともあって忍冬酒ともする。
季題は「夏」。「すひかづら今来し蝶も垂れ下がり 式子」「蚊の声す忍冬の花散るたびに 蕪村」などの句がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
-
葉は有柄で対生し、葉身は楕円形または長楕円形で長さ 3~7 ㎝、先端は鈍くとがるか丸く、基部は円形または広いくさび形で、全縁、両面に多少の毛がある。
葉柄は有毛でながさ 0.4~0.8 ㎝。冬期、葉じゃ裏面に巻き込み越冬する。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 茎(幹)の形質
-
茎は右巻きで長くのび、枝は丸く、若枝には開出する褐色の軟毛と腺毛が密生し、のち無毛となり赤褐色を帯びる。樹皮は縦にはげる。髄は中空。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ
- 花の形質
-
枝先の葉えきから短枝を出し、2個の花を対につけ、穂状または円錐花序をつくる。包は卵形で長さ 0.5~1.9 ㎝。
小包は円形で長さ 0.15 ㎝。がくは5裂し、裂片は皮針形または卵形で長さ 0.1~0.2 ㎝、有毛。
花冠は白色で淡紅色を帯び、のち黄色になり、細長い漏斗状で長さ 3~4.5 ㎝。
先は2深裂し、上弁は先が4裂して立ち、下弁は線形で下方へそり返る。花柄内面には軟毛があり、外面には毛と腺毛がある。
雄しべは5個、花糸は筒部の上まで合生し、離生部は花冠より突き出る。花柱は細く雄しべよりやや長い。
参考文献
最終更新日:2020-05-19 キノボリトカゲ