- 解説一覧
- オミナエシ(Patrinia scabiosifolia)について
オミナエシ(Patrinia scabiosifolia)
- 【 学名 】
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Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.
基本情報
- 分布
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日本、朝鮮半島、中国に分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 オミナエシ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 663.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 和名の解説
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日本では古くからこの草をオミナエシ、チメグサと呼んでいたが、中国から漢字が入ってくると、『本草和名』(918)では、これに敗醤の漢字をあてた。
これより少しあとの『和名抄』(932)によれば『新撰万葉集』の歌の中には「女郎花」と出ていると紹介している。「女郎花」は万葉詩人の創作した日本製の字で、漢字にはない。『源氏物語』にも、みな「女郎花」で書いてある。
日本では長く、オミナエシは敗醤であるとされてきた。これは中国の文献に生の草にはにおいはないが、刈り取って乾燥させている間に、わずかながら醤油の腐ったにおいがするので名付けたとしてあることによる。
最近は敗醤は別の植物の漢名であるとして、黄花竜牙をオミナエシにあてているが、漢方の専門家は何百年もの昔から、はれものやむくみによい「薏苡附子敗醤散」の配合に、オミナエシを使用している。
オミナエシは女飯の詰まったものという説もあるが、定説ではない。前述の『和名抄』には花を見ると蒸し粟のようだが、オミナエシの名の出所はよくわからないと出ている。
参考文献
- 伊澤一男 1998 オミナエシ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 663.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:オミナメシ、ジョロウバナ(女郎花)
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 人間との関係
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秋の丘陵をかざる七草の1つである。全国各地に野生し、お盆の頃になると、盆花として利用される。
オミナエシは観賞価値もあり、薬用にもされていたため、古くから知られ栽植もされていた。
『万葉集』をはじめ、『古今和歌集』、『枕草子』、『源氏物語』、『新古今和歌集』、『金塊和歌集』、『徒然草』など古典文学にも『本草和名』、『大和本草』、『和漢三才図会』、『物品識名』などほとんどの書物に取り上げられている。
これらの古典には古名として敗醤(おほつち)、於保都知(おほつち)、血眼草(ちめぐさ)、女郎花を、をみなめし、をみなべし、じょろうばななどと読ませたり、をみなへしに対し女良花、姫部思(志)、美妾、娘部思(志)、娘子部四、美人部四(師)、乎美奈敝之、などの漢字をあてている。
それら用字と読み方もほかに類を見ないほど多い。
長い栽植の歴史の割には栽培品種は少ないが、それでも矮性のもの、早咲きのものなどいくつかの品種が育成されている。
【成分】
オレアノール酸を含むほかは、精査されていない。
【薬効と用い方】
はれもの、解毒、利尿に用いられる。乾燥した根 2 g、芍薬 8 gを、水 400 ㏄から半量までに煎じて、1日3回に分けて、空腹時に飲む。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
- 伊澤一男 1998 オミナエシ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 663.
- 山田卓三 1992 オミナエシ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 64.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は対生して、羽裂しており、裂片は狭く先は尖る。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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根茎はやや太く横にふし、株(新苗)がわきに出て増える。
茎は直上し、1.5 mを超すものがあり、上の方ではよく枝をわかつ。そして下の方には少し毛が生えている。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 根の形質
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根は地中によく活着しており、醤油臭がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 花の形質
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分かれた枝先に散房状に群がってつき、鮮黄色をしている。
1花の径は約 3~4 mm、花びらは5裂し、雄しべ4本、雌しべ1本、子房下位で3室、そのうち結実するのは1室だけである。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は楕円形で長さ約 3~4 ㎜、やや平たく、うちわ状の包葉を欠き、背面に縦に棒状隆起がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日当たりのよい山野丘陵の草地に生える。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 オミナエシ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 45.
最終更新日:2020-05-25 ハリリセンボン