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ユリ科(Liliaceae)の分類 Liliopsida
ユリ科(Liliaceae)の概要 Liliales

ユリ科(Liliaceae)

【 学名 】
Liliaceae

基本情報

分布

世界に広く分布し、約220属3500種を含む大きな科である。

参考文献

  • 佐竹義輔 1982 ユリ科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 21.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

和名の解説

ユリは茎頂に頭でっかちな花をつけるために、風に吹かれれば揺れる、すなわちユルから変じユリになったという。あるいは、寄り集まった鱗片葉の様子から「寄り」が転訛したとか、「結る」に由来するともいわれる。漢字では「百合」と書き、中国語でも同じだが、これも鱗片葉が多く重なったさまを表したものとされている。

参考文献

  • 林一彦 1997 ユリ, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 4₋5.

最終更新日:2020-12-23 ハリリセンボン

形態

葉の形質

葉には草質、革質、多肉質のものがあり、形状には線形、狭披針形、狭倒披針形、楕円形、卵形、倒卵形などがある。

根生葉または茎上葉で、互生、輪生または叢生、まれに対生する。一般に平行脈をもつが、エンレイソウ属など網状脈のものも多い。

参考文献

  • 河野昭一 1997 ユリ科, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 2₋4.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

茎(幹)の形質

地下に根茎、塊茎、鱗茎、球茎などがある。

外見の形状と内部構造、大きさ、栄養繁殖の有無などの点でさまざまな分化を見せている。

参考文献

  • 河野昭一 1997 ユリ科, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 2₋4.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

花の形質

花は両生花、雌花、雄花、またはそのさまざまな組み合わせからなる。

花被片は普通は離生、ときには基部で合着し筒状となる。

ごくまれにある、マイツルゾウ、ツクバネソウなどの4数性を除いて、通常は単子葉植物のなかでは最も単純な3数性からなり、外花被片は3枚、内花被片も3枚、雄しべは3本ずつ2輪に6本あり、中央部に1本の雌しべをもつ。

子房は3室、中軸胎座で上位、中位、下位までさまざまである。

参考文献

  • 河野昭一 1997 ユリ科, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 2₋4.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

果実の形質

果実は蒴果で胞間裂開、または胞背裂開し、液果のものもある。

参考文献

  • 佐竹義輔 1982 ユリ科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 21.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

種子の形質

種子には豊富な胚乳と、直生または湾曲する胚がある。

種子の大きさや形態も多様で、付属部をとってみても、薄い膜上のウバユリ属、両端に細長い突起の或るショウジョウバカマ属、エライオソームとよばれる脂肪酸や高級炭化水素を含んだ小突起をもつカタクリ属、バイモ属などさまざまである。

参考文献

  • 河野昭一 1997 ユリ科, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 2₋4.
  • 佐竹義輔 1982 ユリ科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 21.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

関連情報

その他

ユリ科は、単子葉植物のなかでも近年その分類形態が研究者によって最も揺れ動いたグループのひとつである。

系統進化学的にみると、起源のうえでは極めて多様な植物群を含んでいるがゆえに、科、亜科の定義を含めて異説が非常に多い。

クロンキスト(A. J. Cronqiust)はユリ科を大きく定義し、その中に新エングラーのヒガンバナ科やキンバイザサ科までも含めている。

しかしダールグレン(R. Dahlgren)らは、胚乳形成の種類、細胞中のシュウ酸石灰の束晶の有無、表皮細胞表面の珪酸の結晶の有無、気孔の孔辺細胞の形態、細胞外壁の蠟物質のタイプなど、さまざまな形質を精査してそれらの分化の状態を評価し、ユリ科は起源のうえでは非常に多元的な数多くの植物群からなるとした。

従来の古典学説では、ひとつの科のなかの亜科、連として扱われていたグループを、それぞれ独立の科に格上げしたのである。

とくにこの中で最も注目すべきは、ユリ科に含められていたエンレイソウ属を独立の科として、サルトリイバラ科とともに、ビャクブ科、ヤマノイモ科などを含むヤマノイモ目に置いたことである。

近年におけるrbcL遺伝子の塩基配列構造に基づく系統解析の結果は、クロンキストの定義したユリ科は明らかに多くの側系統群よりなっており、エンレイソウ、キスゲ、ギボウシ、ネギ、ヒガンバナなどはそれぞれ独立のグループを構成し、ダールグレンらの学説の正しさを部分的ながら立証する結果となっている。

参考文献

  • 河野昭一 1997 ユリ科, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 2₋4.

最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン

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