- 解説一覧
- ラン科(Orchidaceae)について

基本情報
- 分布
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極地や砂漠のような特殊地域を除くと、ほとんど全世界に分布し、世界に約730属、17,000種(800属35,000種があるともいわれる)があり、特に熱帯地方に多い。
日本にも約75属230種があり、単子葉植物ではもっとも進化したものと考えられる。
参考文献
- 里見信生 1982 ラン科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 187.
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 人間との関係
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熱帯のものは、日本でも明治以来高温室に多数の種属が栽培される。花は一般に、草花のうちで最も高価なものである。
ラン科の多くの種類は観賞用に栽培され、約800の人工交配属と約8万の園芸品種が記録されている。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
- 橋本保 1997 ラン科, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 130₋132.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は通常扁平で基部に筒状の葉鞘があるが、ときに左右から扁平となり、また鱗片状に退化することもある。
葉の断面は柵状組織、海綿状組織の分化が弱く、細胞間隙もほとんど見られない。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
- 里見信生 1982 ラン科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 187.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎は仮軸となり、ときに地下茎または偽球茎となることもある。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
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- 花の形質
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花は両性で左右相称、穂状花序または総状花序につき苞がある。
外花被片(がく片)は3個あってほぼ同形、内花被片(花弁)は左右の2個は同形であるが、中央の1個は唇弁となって形が異なり、ときに距がある。
花軸は子房をこえてさらに伸び、内に花柱をとりこみ外に雄しべをのせる。雄しべは1~2個が完全である。
葯は2室、花粉は2~8個の花粉塊となって基部は腺体につく。
花柱はしばしば先にくちばしがあり、柱頭はその下にあるか、または葯室間の凹所にあって粘着性である。
子房は下位、1室、ねじれて3稜がある。胚珠は倒生、多数、3個の側膜胎座につく。
雄しべと雌しべは合体した1つの器官となっていて、これをずい柱という。ずい柱は、単子葉植物ではラン科以外では見られない。
参考文献
- 橋本保 1997 ラン科, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 130₋132.
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
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- 果実の形質
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果実は蒴果、成熟すると裂開し(ツチアケビのように裂開しないものもある)、種子を散らす。
参考文献
- 里見信生 1982 ラン科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 187.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子は小さく、胚は肉質、胚乳はない。
参考文献
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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生育環境はさまざまで、海岸の砂丘や岸壁に生えるもの、標高約 4600 mの高山帯の草原に生えるもの、あるいは地中だけで生活するものなどがある。
しかし圧倒的に多いのは、ほかの植物上で過ごす着生種である。
参考文献
- 橋本保 1997 ラン科, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 130₋132.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- 送粉様式
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虫媒花である。
ラン科の花は、送粉者である昆虫と互いに関係しながら進化してきた。昆虫の側で口器が吸蜜に適した形態に進化し、花の側では、形や色を昆虫に擬態して、交尾しようとする昆虫を誘っている。
参考文献
- 橋本保 1997 ラン科, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 130₋132.
- 北村四郎, 村田源, 小山鉄夫 1964 らん科, 北村四郎、村田源、小山鉄夫 (著) 原色日本植物図鑑・草本編Ⅲ・単子葉類. 保育者. 1.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン
- その他生態
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根は菌と共生し栄養を得るが、それが進んだものでは葉緑体を失って、腐生生活を営むようになる。
参考文献
- 里見信生 1982 ラン科, 大橋広好(著) 佐竹義輔、大井次三郎 、北村四郎 、亘理俊次 、冨成忠夫(編) 日本の野生植物 草本Ⅰ 単子葉類. 平凡社. 187.
最終更新日:2020-05-19 ハリリセンボン