- 解説一覧
- ネムノキ(Albizia julibrissin)について
目次
基本情報
- 別名・方言名
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コウカ、コウカギ、ゴウカン、ネム、ネブ、ネブタ、ネブリノキ、ネブノキ、ネフリ、ネンネコノキ/マッコ(山形、宮城)、コゴ(山形、新潟)、ネムリコカ(宮城、鹿児島)、ネムッタ(福島、茨城)、ネンプリノキ(静岡)、カアカノキ(鳥取、島根)
参考文献
最終更新日:2020-05-18 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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庭園樹、公園樹、街路樹、緑化樹に利用される。材は心材が黄灰褐色をした環孔材で、気乾比重約 0.53。
木材としては一般に木が小さいので定まった用途はないが、建築や家具の一部、器具などに用いられる。
中医方では花や樹皮を、精神安定、安眠、熱のある咳や打撲傷の痛みなどに用いる。
樹皮はタンニンを含む。漢方では合歓皮といい、打撲傷、関節痛、腰痛などに用いる。
ネムノキが和歌の題材となるのは、古典和歌では『万葉集』で、夜にぴったりと葉が合わさるイメージから相聞歌として歌われた。
紀女郎の歌に「昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓の花君のみ見めや戯奴さへに見よ」がある。
この植物が本格的に和歌に詠まれるようになるのは近代以降。「ねむの花うすくれなゐに咲きいでてこまかなる葉のそよぎすずしも」(若山喜志子)
中国の伝説に、この花を酒に入れて飲ませ、不機嫌な夫をなだめた妻の話がある。
これは葉が合わさるネムノキの特徴から、中国では一家和合、夫婦和合の象徴となったため。
庭に植えたり、この木からすりこぎを作るのも、縁起をかつぐ中国の風習。
日本ではこの枝で頭をなでると早起きになる、体をさすって眠りを流せば、農作業に精が出るなどという言い伝えがある。
季題は「夏」。「象潟や雨に西施が合歓花 芭蕉」「雨の日やまだきにくれてねむの花 蕪村」などの句がある。
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形態
- 葉の形質
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葉は互生、2回羽状複葉、長さ 20~30 ㎝。羽葉は5~15対で、小葉は15~40対。葉柄の基部の上面に盃状の腺がある。
葉軸は、小葉軸の上面に短毛がある。小葉は革質、全縁で 0.5~1.3 ㎝。
上面は光沢のある濃緑色、下面は粉白色。葉は夜間睡眠減少を示す。
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- 花の形質
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小枝の先に約20個の花が集合した頭状花序となる。無梗で夕方開く。
淡紅色で、長さ 0.7~1 ㎝、花糸は細長く抽出し、雄しべはきわめて多く淡紅色、長さ 3.5~4 ㎝。
雌しべは白色の糸状で雄しべより長い。
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生態
- 生育環境
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日当たりのよい乾燥した山野、川岸に自生。または栽植される。
適潤な肥沃地に生じるものが最も良好な生育をする。暖地性であるが北海道南部にも植栽される。
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