- 解説一覧
- エンジュ(Styphnolobium japonicum)について

目次
基本情報
- 人間との関係
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庭園樹、街路樹、縁起木、風致樹。
若葉はゆでて苦みを抜いて食用とし、茶の代用ともした。飢饉の救荒食糧にも利用された。
つばみは漢方で槐花といい、フラボノイド、ルチンなどのほかトリテルペノイドを含み、血尿や血便の止血、消炎に用いられる。
かつては高血圧の特効薬として利用されたが、現在は下火。
花の色素は黄色の、樹皮は栗色の染料としても用いられた。
材は堅く光沢が美しいので、床柱、床框などの建築材や、机、鏡台などの家具、細工物に使われる。
中国の周代には朝廷の庭に三本のエンジュを植えて、三公(最高位にある三つの官職)がこれに向かって座し、その左右に九卿が並んで執務した。
その故事により、三公を三槐といい、大臣のことを槐位、槐座と呼ぶようになった。
『愚管抄』によれば、神功皇后はこの木にとりすがって応神天皇を生んだと伝えられ、その場所にあたるといわれる宇美八幡宮(福岡県宇美町)は安産の利益で知られる。
豆果を槐実(または槐角)とよび、止血薬や痔薬とする。
ゲニステインなどの色素を含み、蕾を黄色、樹皮や果皮を栗色の染料とした。
果皮はセッケンの代用となり、材は建築用として用いられる。また蜜源植物である。
季題は「夏」槐の花。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は互生し、奇数羽状複葉で長さ 15~25 ㎝、小葉は4~5双ときに7双つき、短柄で、葉身は長楕円形で 3~4 ㎝、全縁である。裏は緑白色。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ
生態
- その他生態
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繫殖は実生、枝ざし、根ざしによる。実生は脱粒後、水に浸し、土中埋蔵して、春まきする。枝ざしはやや難。根ざしは容易。
自然にのばしたい樹木であるので、これといった手入れの必要はない。若木のうち、ヤゴや胴ぶきをかき取る程度。
施肥はほとんど必要ない。葉が色あせてきたものには、鶏ふんなどを少しづつ施すと効果がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ