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- モミ(Abies firma)について
モミ(Abies firma)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Abies firma Siebold & Zucc.
目次
基本情報
- 学名の解説
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属名はモミの一種の針葉樹を意味するラテン語で、「高く伸びて地面から離れる abeo」が語源といわれる。
種小名 firma は強い、の意味。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
- 和名の解説
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①一か所に多くあり、風にモミ合うところから。
②モエギ(萌黄)が見事であることから。
③オミ(臣)の木の転訛。
④樹皮、または実がもろく剥がれたり散ることから。
⑤メトミ(芽富)の意味。
⑥同属の朝鮮語名 munbi から。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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樹木園や植物園の標本木。
材は心材とも淡黄白色で、まれに傷害樹脂道を有する。気乾比重約 0.44、加工は容易だが、やや狂いやすく、耐朽性は乏しい。
色が白く美しいため、天井板、腰板などの建築材、建具、家具、器具、割箸、漆器木地、樽、経木、太鼓胴、箱類、柩、葬祭具、製紙パルプなどに用いられる。
薪、鍛冶用の軟炭などにもされる。若木はクリスマス・ツリーとなる。
モミはヨーロッパでは神聖な木として、民間信仰の対象とされてきた。
古代ローマではモミの材で船をつくったため、この木は海神にささげられていた。
ゲルマン民族は、四季を通して緑の葉をつけるモミを、闇と死と寒さの支配する冬にあって、希望と堅実さの象徴として崇拝された。
ドイツ中部の山岳地方では、かつて、モミの木に花や卵、灯をともした蝋燭などを飾り付け、娘たちがその周りを歌いながら踊る祭りがあった。
木に住む小人がいつまでも木にとどまり、村によいことおをしてくれると信じられていた。
これがクリスマスツリーとなり、小人がサンタクロースに姿を変えたといわれるが、異説も多い。
ドイツの多くの地方では、モミの枝を戸口や寝室、穀物小屋や家畜小屋の前に飾り、悪霊除けにする風習がある。
英語名の fir’ 、ドイツ語名の Tanne は火を意味する firr’tan が語源といわれる。昔、モミが発火に使われていたためであろう。
季題は「春」。
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最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は線形で先端は円形でまたは微凹形、長さ 2~3.5 ㎝、幅 0.2~0.35 ㎝、若木や不定芽の葉の先端は2裂する。
裏面には2条の白色気孔線があるが、のち消失する。
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最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
- 果実の形質
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球果は10月頃、灰褐緑色に熟し、円柱形で長さ 10~15 ㎝、径 3~5 ㎝。種鱗は半円形。
包鱗は線状皮針形で鋭尖頭をなし、種鱗の間から飛び出すが反曲はしない。
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最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ