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- ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)について
ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Chamaecyparis obtusa (Siebold & Zucc.) Endl.
目次
基本情報
- 和名の解説
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①「火の木」の意味。昔この木をこすり合わせて火をおこしたとされるところから。
②ヒメハノキ(姫葉之木)の義。
③音韻学的には古代はヒの音には甲、乙二種あり、「火の木」=ヒノキはありえないとされ、「日の木」あるいは「霊(ヒ)の木」を語源とする説もある。
参考文献
最終更新日:2020-05-15 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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材は辺材が黄白色、心材が淡黄褐色ないし淡紅色で、その差が少ない。
年輪が明らかで細かく、木理は通直、気乾比重は平均 0.44。緻密で耐朽性に富み、加工しやすく狂いにくい。
特有の芳香と光沢をもち、建築材として世界最高の針葉樹林とされ、社寺建築などに重用される。
柱、障子の桟などの建築部材や風呂桶などにも使われ、総檜造りの日本家屋は最高のぜいたくに属する。
天平時代以降の仏像には、ほとんどヒノキ材が用いられている。
そのほか卓球のラケットなどの運動具にも供され、薄く削って檜笠にもつくられる。
樹皮は社寺の檜皮葺に使われ、葉や材の精油は薬用ともなる。
庭園樹としての需要も多く、チャボヒバ、クジャクヒバなどの園芸品種がある。
古く記紀や風土記などにその名が見られる。
『日本書記』のスサノオノミコトの神話には、体の各部の毛を抜いてスギ、マキ、クスノキなどの樹木をつくったとある。
ヒノキは胸の毛からつくり出され、宮殿を建てる材料とせよと教えている。
現存世界最古の木造建築として知られる、法隆寺や正倉院の柱にはヒノキが用いられている。
『万葉集』では「檜」はヒヒと読まれ、桧を詠み込んだ和歌が9首ほど見られる。
建築材料としてうたった三例をおのぞいては「檜原」として詠まれている。
伊勢神宮その他の神社で儀式にヒノキを発火材料として用いる。
伊勢神宮の20年ごとの遷宮には木曽からヒノキ材を運ぶ。
木曽にはヒノキ、サワラ、コウヤマキ、クロベ、ヒバとともに「木曽の五木」の1つで、江戸時代は尾張徳川藩の管理下に置かれ、伐採を禁じられ保護されていた。
現在は国有林になっている。
長崎県の県木。
参考文献
最終更新日:2020-05-15 キノボリトカゲ
形態
- 茎(幹)の形質
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幹は直立し、樹皮は赤褐色、外面は灰色を帯びる。平滑で縦に裂け、幅の広く長い裂片となり剥離する。
枝は細く水平に開出、密な卵形の樹形をつくる。
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最終更新日:2020-05-15 キノボリトカゲ
生態
- その他生態
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陽樹で耐陰性もある。生長は酸性の腐植質の多い適潤地で早い。耐潮性、耐煙性もあり、都市の環境でも育つ。
手入れはほとんど必要ない。せん定は実施する場合は弱く行う。肥料は寒肥で油かす、鶏ふん、化成肥料を施す。
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