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- イチイ(Taxus cuspidata)について

イチイ(Taxus cuspidata)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Taxus cuspidata Siebold & Zucc.
目次
基本情報
- 別名・方言名
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シャクノキ、アカギ、オンコ(アカギに東北地方独特の愛称「コ」が付き、アカギッコ→アッコとなり、転じてオッコ、オンコとなった)、アララギ(アイヌ語ララマ二 raramani の転。ララマ二は塔の異称でイチイの高さを表す)、スオウノキ/オッコノキ(青森、秋田)、キャラ(岩手、宮城、山形)、ヘダ(山梨)、ミネゾー(山梨、長野)、シャクノキ(岡山)、アカキ(九州地方)/ラルマニ、クネニ(アイヌ「弓になる木」)
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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常緑で赤色の実が美しいので生垣や庭木として植えられる。
材は緻密で堅く、細工しやすいので鉛筆材として最適。
ほかに笏、家具、彫刻材、機械材、建築材として天井板などの装飾部分的に用いられる。
飛騨高山は一刀彫りをはじめイチイ細工が有名で、アイヌではこれで弓をつくると弾性が強く狂わないといわれた。
葉にはアルカロイドの一種タキシンなどが含まれ、糖尿病などの利尿に用いる。
成熟した仮種皮はゼリー状で甘く食べられるが、中にある種は有毒。
この木を笏の材料としたのは『和名抄』(931~38)のイチイの項に「木可為笏也」とあることから、かなり古くからの伝統と考えられる。
古代ギリシャでは死や悲哀の象徴とされた。イギリスの教会の墓地にはイチイが多く植えられている。
一方、常緑であるため中世、ルネサンス時代には不死の象徴として木の枝が葬式に用いられたという。
岐阜県の県木。
心材の浸出液は蘇芳色の染料となる。
中国では枝や葉を紫杉の名で薬用とし、利尿、通経、糖尿病に効果があるとされる。
季題は「秋」一位の実。「一位の実含みて吐きし旅遠し 富安風生」などの句がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は扁平の線形で急尖突頭、長さ 1.5~2.5 ㎝、上面は深緑色で下面は淡緑色。
主脈両側に2条の気孔線があり、葉枕はやや隆起する。葉は2列に水平に着生することが多い。
参考文献
最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ
生態
- その他生態
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繫殖は実とさし木による。実生は秋に採種し、果肉を水洗、陰干しし、土中に埋蔵、春に播種する。
さし木は春は前年生枝をさし、夏秋には当年生枝をさす。
円柱状仕立て、散し玉、生垣などは、形を維持するために、新梢の固まる7月頃と、11月か春の3月萌芽前に刈り込みを行う。
徒長枝、とび枝などは早く切る。施肥は萌芽前と、葉の固まる7月頃と、寒さに向かう9~10月に鶏ふん、油かすなどを株の周囲に埋める。
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最終更新日:2020-05-13 キノボリトカゲ