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- オキゴンドウ(Pseudorca crassidens)について
オキゴンドウ(Pseudorca crassidens)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Pseudorca crassidens (Owen, 1846)
基本情報
- 大きさ・重さ
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成長停止時の雄の平均体長 520 cm、雌の平均体長 436 cm。体重 1.3~1.4 t
最大で雄 6.2 m 雌 4.8 m
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 分布
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日本海、東シナ海、三陸以南の太平洋に分布する。
北九州、日本海方面に多く、これらの地方では本種をゴンドウと呼ぶことがある。
世界中の熱帯から温帯に分布する。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:キュウリゴンドウ、オオイヲクイ
体が細長いため、マグロのような大きな魚も食べる貪食なことから、それぞれキュウリゴンドウ、オオイヲクイの名がある。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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マイルカ科
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 オキゴンドウ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 400pp.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 人間との関係
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イングランドで出土した半化石に基づいて、1846年に初めて記載されたときには、オキゴンドウは絶滅種と考えられていた。しかし、16年後の1862年にオランダで3頭が漂着して、現生種であることが分かった。今では、数百頭の群れが集団座礁することもある、ふつうの種類とされている。
壱岐周辺の漁業者が、釣ったブリを横取りされるとか、イルカ類が食べる分だけ自分たちの分け前が減るという理由で、オキゴンドウを大量に捕殺したことがある。さまざまな情報を総合してみると、この問題の背景には、次の2つの原因があったらしい。
1つは、ブリ資源の減少とほかの能率的なブリ漁法の発達の結果、一本釣り漁業では以前ほどブリが釣れなくなったことである。
もう1つは、恐らく何らかの原因で各種イルカ類が壱岐のブリ漁場に集中したために、操業妨害の発生頻度が増加したことである。
これまで水産資源の枯渇によって漁業環境は次第に厳しくなってきたが、その傾向は今後も続くと思われる。そのため、オキゴンドウに限らず、海生哺乳類による直接・間接の漁業被害を漁業者が訴えて、対策を求めるケースはこれからも予想される。
過去の多くの例にみるように、威嚇によりイルカ類を漁場から追い払おうとしても、彼らはすぐに学習してしまい、その効果は持続しない。
また、捕殺して除去するにしても、イルカの個体群に与える駆除の影響をあらかじめ評価する必要があるし、駆除により漁業者の魚の取り分がどれだけ増えるのかの推定して、社会の理解を得なければならない。
そのために必要なイルカ類の生物学的知識も、海洋生態系の仕組みに関する知見も、今の私たちにはまだ不十分であり、今後一層の研究努力が必要である。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
形態
- 成獣の形質
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全身黒色で、胸鰭間の胸部のみ淡色をしている。頭部は小さく、丸い上あご先端が下あごより前に出る。くちばしはない。
歯は上下左右にそれぞれ8~11本、直径 2.0~2.5 cm。背びれは体の中央よりもわずかに前方にあり、三日月形で先端が細まり後方に向かう。
ユメゴンドウ、カズハゴンドウとは体長、胸鰭の形、唇と腹側の白斑などで区別できる。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
生態
- 食性
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主な餌はイカ類と魚類であるが、シャチの歯に似た大きな歯をもち、英語で「シャチに似て非なるもの」と呼ばれるように貪食である。東部熱帯太平洋では、イルカを捕食するところをしばしば目撃されているし、サケやマグロ、バラクーダなどの大きな魚を捕食することでも知られている。
マグロ延縄漁業で釣り針にかかったマグロが、頭だけを残して、片っ端から食べられてしまう「シャチ食い」と呼ばれる現象は、オキゴンドウの仕業である。マグロ延縄の枝縄に体が絡まっておぼれ死んだ1頭の胃から、1 mぐらいのマグロの胴尾部が3片に食い切られて出たことがある。壱岐周辺のブリ漁業ではイカ類のほかに、ブリやアナゴ、そのほかの魚類を捕食していた。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 生殖行動
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冬季に壱岐で捕獲された個体の解析によれば、繁殖はほぼ1年中で、交尾のピークは12~1月である。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 出産
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出産のピークは3~4月、妊娠期間は約15~16ヵ月。平均出生体長は推定 175 cm、雄は5~10歳で春機発動期に入り、18~19歳(430~440 cm)で、睾丸組織全体が成熟する。この頃繁殖に参加すると推定される。
年間妊娠率は14.5%で、平均出産間隔は6.9年。これは44歳以上の雌が繁殖を停止することによる。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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カチッカチッという音や笛のような音など、さまざまなエコロケーションやコミュニケーションのための音を発している。壮大な跳躍を行い、また上手に砕け波や船首にできる波に乗る。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 オキゴンドウ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 400pp.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
- その他生態
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数十頭から数百頭の群れで生活する。ときには1000頭を超える群れをなし、集団で座礁(ストランディング)することもある。
しばしばハンドウイルカと混群をなすが、ハンドウイルカは体が小さく、背びれが三角形に近く、その先端が上を向いていることで識別できる。ときには船首波に乗って戯れる。
参考文献
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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ワシントン条約の付属書Ⅱに掲載されている。輸出入には両国政府の許可が必要である。日本政府は年間50頭の捕獲許可を与えている。
日本近海の個体数は太平洋南部海域で7100頭(夏)、太平洋北部沿岸では2000頭(夏)、太平洋北部沖合では8600頭(夏)、壱岐・東シナ海東部では3300頭(冬)となっている。
座礁することが多く極端に多く、800~1000頭の大きな群れで座礁することもある。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 オキゴンドウ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 400pp.
- 粕谷俊雄 1996 オキゴンドウ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 64₋65.
最終更新日:2020-07-03 ハリリセンボン