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シャチ(Orcinus orca)の分類 Delphinidae
シャチ(Orcinus orca)の概要 Orcinus

シャチ(Orcinus orca)

情報不足種 (DD)

【IUCN】評価するだけの情報が不足している種

【 学名 】
Orcinus orca (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

サイズ:成長停止時の平均体長は雄で 7~8 m、雌で 6 m前後になる。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

分布

南北両極の結氷域を除くすべての海洋に分布する。日本近海では、北海道から沖縄までの海域で見られる。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

別名・方言名

別名:サカマタ、オルカ

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

分類学的位置付け

マイルカ科

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 シャチ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 194₋195.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

形態

成獣の形質

体形は紡錘形で不明瞭な短いくちばしと丸い頭部、高くとがった背びれ、体長の4分の1になるうちわ形の胸びれがある。成熟雄の背びれは高さ 2 mになり、細長い二等辺三角形をなす。背びれの後ろの鞍形の模様は、1頭1頭形や濃淡が異なり、個体識別に役立つ。

体色は背中側の黒色と腹側の白色が明瞭に分離、眼の上後方に長円形の白色斑、背びれ直後に薄灰色または白色の鞍上斑があり、両体側には腹側白色部から続く湾曲した帯状の白色部がある。

参考文献

  • 宮下富夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.
  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

生態

生息環境

世界中に生息する。河口域から外洋、氷原、沿岸域や海の生物相が豊かな海域に多い。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 シャチ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 194₋195.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

食性

シャチは「海の王者」や「海のオオカミ」のニックネームがあるように、海洋の中では食物連鎖の最上位にある肉食哺乳類である。海域、季節、年齢、性別により食べるものは異なるが、ほとんどの海洋生物を食べている。シャチの胃からは、イカ類や多くの魚類、エイ、サメなどの軟骨魚類、ウミガメ類、ペンギン類、ほかの海鳥類および海獣類のネズミイルカ、イシイルカ、シロイルカ、アザラシ類、アシカ類、セイウチ、ジュゴンなど多種多様なものが見つかる。またミンククジラ、コククジラ、ザトウクジラなどのヒゲクジラ類や、マッコウクジラやツチクジラのような大型ハクジラ類を襲うことがある。
イカや魚などの小型の餌は丸ごと飲み込むが、大型の餌は、上下左右のあごに各10~13本ある、先のとがった円錐形の太い歯を使い、引き裂いて食べる。砂浜にいるアシカやアザラシなどは、自らの体を砂浜に乗り上げて捕まえ、水中に引き込んだあと、水上に投げ上げて引きちぎって食べる。このような行動は学習によってポッド内に広がるらしい。人に対しては襲うような挑発的行動は見られているものの、危害を加えた例は知られていない。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

ライフサイクル

シャチは複数の群れが集まり、まれに数百頭以上の大きな集団をなすこともあるが、5~30頭で生活している。これがポッドと呼ばれるシャチの群れである。このポッドは母系の血縁集団で、幼獣から成獣までの広い年齢範囲の雌雄で構成されている。ときには1つのポッドに同じ血縁の母親から分かれた複数の母系が認められることもあるが、これは年老いた雌が死亡したために、かつての母系が不明瞭となったものと考えられている。群れが大きくなると最終的には分裂して群れ数が増える。一時的に2つのポッドがいっしょになっているものも見られる。
バンクーバー島周辺の海域では、1年中そこで生活し、主として魚類を食べている定住型と呼ばれる個体と、海洋を移動しながらおもに海獣類を食べ、沿岸域にはときおり立ち寄る回遊型と呼ばれる個体が知られている。そして定住型では、すべての個体が母親のポッドで一生を過ごし、親密なポッドがいくつか集まって1つのコミュニティをつくり、子を産み育てている。交尾はポッド間で起こり、同じコミュニティのなかの複数のポッドが一時的に合流したときに行われるらしい。バンクーバー島周辺には、このような定住型のコミュニティが2つ知られているが、両者のあいだには繁殖のための交流は行われていない。
回遊型のポッドでは、雄が母親の群れを離れてほかのポッドに移る例が知られている。定住型と回遊型の存在はよそでも知られているが、日本近海ではこのような研究がなく、定住型の群れは今のところ確認されておらず、回遊型しか知られていない。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

出産

シャチの雌は、雄の存在とは無関係に排卵する。不規則な長さの無発情期間のあと数日間の発情が平均45日間隔で訪れる。妊娠期間は17ヵ月で、秋から冬にかけて1子を出産する。新生子は産道から吻部が見え、はじめてから約2時間かかって産み出され、その時の体長は 2.3~2.4 mである。小型ハクジラ類の場合は、通常尾部から産み出され、頭部から産み落とされることはまれであるが、シャチの飼育の場合は飼育下での観察によると、頭部からと尾部からはほぼ同数であった。
出生時の新生子は、水族館での観察によれば1回に10秒弱の授乳を繰り返して、初日には1日30分弱、2日目から1週間後までは60~90分の授乳をする。その後は日数の経過とともに1日の授乳時間が短くなる。3ヵ月後には歯がほぼ生えそろい、3.5~5.5ヵ月後には餌を食べ始め、18ヵ月後には授乳が終わって魚だけを食べるようになった例がある。出生後の成長は7ヵ月で 2.7 m、2年5ヵ月で 4 mになり、雄は15歳で約 5~6 m、雌は13~14歳で 4.5~5.4 mになって性成熟に達する。そして雌は平均14.9歳で初産を迎え、約5年間に1頭の間隔で出産し、約40歳で繁殖活動が終わる。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

特徴的な行動

シャチは時速 50 kmを超すスピードで泳ぐことができ、1日に約 100 kmも移動することがあるといわれているが、ときには時速 2~4 kmのゆっくりとしたスピードで泳ぐこともある。このゆっくりとしたスピードで泳いでいるときには、各個体が体をふれあうように密集し、呼吸のリズムも合っていることが多いので、休息中か睡眠中であろうと考えられている。通常は1~4分間の長い潜水に続いて、10~30秒の短い間隔で5回以上連続的に呼吸をくりかえす。
もっともふつうに見られる特徴的な動作としては、水面上に胸びれまで体を持ち上げて、頭部を出したり沈めたりするスパイホップ(偵察)と呼ばれる動作と、水面上にジャンプして体を横倒しにしながら落下するブリーチングと呼ばれる動作がある。スパイホップは周囲の状況を観察するためであり、ブリーチングは遊びや仲間との交信のためといわれるが、水族館ではフラストレーションのたまったときにブリーチング動作が見られている。イルカでは航海中の船の船首波に乗って泳ぐ行動がよく見られるが、シャチではまれに磯波や航海中の船の横に来て波に乗ることがある程度である。座礁することはまれであり、それもほとんどが1頭による座礁で、しかも雄の方が多い。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

関連情報

その他

1991年より水族館飼育用を除き日本では捕獲禁止となっている。日本近海では三陸・北海道東部方面に1000頭前後生息しており、その他の海域では生息数不明である。

参考文献

  • 鳥羽山照夫 1996 シャチ, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. 62₋63.

最終更新日:2020-05-12 ハリリセンボン

種・分類一覧