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クズリ(Gulo gulo)の分類 Mustelidae
クズリ(Gulo gulo)の概要 Gulo

クズリ(Gulo gulo)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Gulo gulo (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・体長:アラスカでは 83 cmまで。

・尾長:20 cm

・体重:25 kgまで。アラスカの雄の平均は 15 kg、雌は 10 kg。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134-135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

分布

北アメリカおよびユーラシアの周極地方に分布する。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

亜種・品種

・ユーラシアクズリ
英名:European wolverine
学名:G. g. gulo

・アメリカクズリ
英名:North American wolverine
学名:G. g. luscus

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

分類学的位置付け

イタチ科 イタチ亜科

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

人間との関係

クズリの分布域、例えばカナダ東部やプレーリー地帯は過去100年のあいだに縮小した。また個体数の方も、広い範囲で減少している。こうした減少は、人口密度が高い所ほど著しい。

クズリは絶滅の危機には至っていないが、大部分の地域でその危険性があると考えておいた方がよい。

クズリは大型猟獣、捕食害獣、あるいは毛皮獣とみなされているところでは、銃で撃たれたり、罠で捕らえられたりしている。それでも犠牲者数は16~17世紀と比べるとそう酷くはない(近年アラスカでは毎年800枚の毛皮がとられ、値段は1枚150~250ドルである)。

16、17世紀には、クズリの毛皮は大変高価で、シベリアのトゥリンクス市ではその土地の産業シンボルとして、市の紋章にクズリを取り入れていたといわれている。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

形態

成獣の形質

クズリはどっしとした体つきで、四肢は短い。しかし足が大きいため、荷重は 1 ㎠あたり 27~35 gしかかからない。

その結果、裸の地面や雪の上でも凍結面が十分厚ければ、クズリから逃げることができる成獣のトナカイといえども、柔らかい雪の上では不利になる。

体毛は長く濃い茶色から黒、わき腹からふさふさした尾の上面まで淡い帯模様がある。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

生態

生息環境

寒帯・亜寒帯のツンドラとタイガに生息している。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

食性

冬には主に、ツンドラトナカイとシンリントナカイ(カリブー)を食べる。

自分で殺すかあるいは、ほかの捕食者が殺した死体を食べるのである。

クズリの死肉食の巧みさは、かれらが特によく発達した嗅覚をもつことを示している。

小型の哺乳類はえり首にかみついて殺し、ふつうはすぐその場で食べる。

大型の獲物の場合は、その背側へ飛び乗り、力強い爪で相手が地面へ崩れ落ちるまで抑えて倒す。

力強い顎と咀嚼筋は、獲物の太い首をも砕くことができる。

獲物の死体は完全に利用しつくされることが多いのだが、すぐには食べてしまわずに、まずバラバラにする。その後、広くあちこちに散在する貯蔵所や、割れ目などに隠したり、沼やそのほかの柔らかい土の中に埋める。こうした貯蔵食料は雌のクズリによって、6ヵ月後までも利用される。

雌は自分で食べたり、新たに生まれた幼体に食べさせる。

夏の食性は多様で、鳥、小型・中型の哺乳類、植物、及びオオヤマネコ、オオカミ、ハイイログマなどの捕食者に殺されたトナカイの幼獣、そのほかの獲物の残骸を食べる。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

出産

交尾期は4~8月であるが、受精卵の着床は遅れるため、出産は1月終わりから4月初めである。

産子数は1~4(平均2.5)で、幼体は眼が開いていない。ふつう、深い雪の吹き溜まりの中に掘られた穴で生まれる。

幼体は5月初めまで巣穴の中や周辺に留まるが、新しい場所に移されることもある。巣の近くの足跡が多くなれば、猟師に巣穴のありかを見つけられやすくなってしまうからである。

雌は生後2年目で性的成熟に達するが、食物が乏しいときには繁殖は抑制され、獲物の豊富なときには、毎年幼体を産む。

幼体は夏の間母親とともに過ごし、その後も母親の行動圏内に棲み、少なくとも秋の終わりまでは近くに留まる。

雄の幼体は、一般に次の繁殖期の初めまでには親元を去るが、雌の幼体の中には、母親の行動圏の中あるいは近くにいつまでも留まるものがいる。

成体の雄は、匂いづけと攻撃行動によって、4月から9月の間だけ 50~350 ㎢のなわばりを維持する。雄のなわばりは 600~1000 ㎢に達し、数頭の雌の行動圏と重なるだけでなく、ほかの雄の行動圏とも重なり合う。

匂いづけはふつうは尿、糞、あるいは腹部の腺からの分泌物によって行われる。分泌物による場合は、茂みの多いツンドラの中を歩きまわり、定期的に止まっては茂みにまたがって、そこに臭腺をこすりつける。

ヤナギの藪では、同様にして、枝によじ登って匂いづけをする。

参考文献

  • A.ビャールヴァール/A.J.マグーン 1986 クズリ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 134₋135.

最終更新日:2020-05-18 ハリリセンボン

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