- 解説一覧
- カバ(Hippopotamus amphibius)について
カバ(Hippopotamus amphibius)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Hippopotamus amphibius Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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体長:3.3~3.45 m
体高:1.4 m
体重:雄 1,600~3,200 kg、雌 1,400 kg
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 分布
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サハラ以南のアフリカ東部と南部に分布する。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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カバ科
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
最終更新日:2020-12-08 ハリリセンボン
形態
- 成獣の形質
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カバは短くてずんぐりとした四肢と樽のような胴体を持ち、その大きな頭は水中の生活に適応していて、眼、耳、鼻孔は上方についている。そして、5分間にもわたり潜水ができる。口の横幅は最大 50 cm、あごは150度まで開くことができる。
カバの皮膚はなめらかで、厚い上皮と真皮、及び極めて薄い表層(角質層)からできている。これは水中生活への独特な適応といえる。角質層が極端に薄いため、皮膚がちょうど毛細管のような働きをし、水分を外側へ通してしまう。このため、乾燥した空気中での皮膚の水分消失率は、ほかの哺乳類より数倍高い。消失率は 5 ㎠・10分間当り約 12 mgで、これは同じ条件のもとでの人間の3~5倍にあたる。そのため、日中は湿気が多いか、水のある場所にいなければならない。そうしなければ、ひび割れや脱水症状を起こすことになる。
カバの皮膚のもう1つの特徴は、皮脂腺や体温調節作用を持つ汗腺が存在しないことである。そのかわり、ピンク色の液体を分泌する腺があって、この液体は乾くと皮膚を被う塗料となる。昔カバが血の汗をかくといわれた理由はこれである。この汗はアルカリ性で、非常にネバネバしている。赤い色素は紫外線を通さないため、日光から皮膚を保護するが、同時に細菌の感染を防ぐ働きも持っているらしい。なぜなら、大きな傷口を泥地や池の不潔な水につけてもいつもきれいで、化膿するようなことはないからである。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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日中は沼・川・湖に、夜は草原に生息する。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 食性
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カバ類はほとんど陸上の植物だけを食べる。カバは丈の低い数種のイネ科草本だけを、大きな口で引き抜くようにして食べる。このような食べ方は、根の浅い草だけが選択的に摘み取られるということを意味し、カバの生息密度が高いところでは、過剰な食い荒らしと土壌の浸食が起こる。また小型の有蹄類や腐肉を食べるのも観察されている。
採食は夜間に5~6時間集中して行い、残りの時間は水の中で過ごす。食物は3室に分かれた胃で反芻類と似たような形で消化されるが、効率はあまり良くないらしい。しかし、食物の要求量は1晩あたり平均 40 kgと少なく、乾重量になおすと、体重の約1~1.5%にすぎない。実際の採食時間が短く、残りの時間を消耗が少なく、温度変化が少ない暖かい水中で休息するか、ほとんど動かないで過ごすためである。さらに、筋収縮時のエネルギー消費量も少ない。また、しょっちゅう口を開けてあくびをする。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 活動時間帯
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夜行性
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
最終更新日:2020-12-08 ハリリセンボン
- 鳴き声
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ブー、ブーという一連の断続した、一続きの声である。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 生殖行動
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配偶行動は、集団がもっとも密集する乾季と相関している。カバは水中で交尾するのを好む。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 出産
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雌は身体の一部または全身を水中にしずめ、呼吸のためにときどき頭を出す。妊娠率は降雨量によって異なり、日照りの年の6%から、雨の多い年の37%まで変化する。雄は平均で7歳(4~11歳の幅)、雌は9歳(7~15歳)で性的に成熟する。雄が一人前の成体として社会的に成熟するのは、約20歳になってからである。
出産期は雨季である。従って、アフリカ南部では1回、頭部では2回のピークがある。出産が近づくと、雌は群れから離れ、陸上か浅い水辺で、体重 42 kgほどの幼体を1頭産む。ときどき水中で出産することもあり、その場合幼体は、最初の一息を吸うために水をかいて水面まで浮上しなければならない。双子の確率は1%以下である。妊娠期間は240日である。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 子育て
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母親は子をよく保護する。母と子は出産後10~14日で再び群れに戻るが、水が深い場所では子を背中にのせる。授乳は陸上でも水に浮かんでも潜っても行われる。授乳期間は約8ヵ月である。自然死亡率は生後1年目で45%、2年目は15%、以後30歳まで約4%で推移し、それ以降再び増える。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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威嚇のディスプレイとしては、口を開ける、糞をまきちらす、突進、潜水、後あしで立ち上がる、泥を跳ねとばす、突然の浮上、口をバケツ代わりにして水をかける、鼻からの水鉄砲、そして一連のブーブーという断続的な声を含めた、いくつかの声などがある。
頭と身体を低くすると服従姿勢になる。なわばりの境界で2頭の雄が出会うときには、儀式的行動がみられる。互いに立ち止まると、垂直にピンとのばした短い尾をふって脱糞しながら見つめあい、尻を差し出す。そのあとで、自分のなわばりの中央へ戻っていく。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
- その他生態
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カバの群れの大きさの平均は10~15頭であるが、場所と密度によって異なり、最大150頭程度にもなる。カバは単独(ふつうは雄)生活をしているか、保育群(雌とコドモ)か、若い雄の群れでいるかのいずれかである。単独性の雄はしばしばなわばりを持つが、それ以外の雄も、内部に雌と子どもたちからなる保育群をかかえたなわばりを保持し続ける。環境条件が安定しない河川では、ほとんどのなわばりは数ヵ月で持ち主が交代してしまうが、なかには4年間も持ち続ける個体もいる。
カバの生息密度は水辺沿い 100 mあたり、湖で7頭、川で33頭である。なわばりの大きさは沿岸の長さになおすと、湖で 250~500 m、川で 50~100 mである。なわばり雄は、自分のなわばり内では交尾する権利を独占するが、服従行動をとりさえすれば、ほかの雄もその中に入ることを許す。したがって、なわばりを持てない雄は繁殖に参加することはない。雄同士の争いの頻度は、儀式化された一連のおどしや威嚇のディスプレイによって低く抑えられている。だが、一度争いが起こると、最長1時間半も続き、ときには死をもたらす可能性もある。カミソリのように鋭い下あごの犬歯は、成長すると 50 cmにもなり、左右合わせた重量は雌で 1.1 kg、雄で 2.1 kgにもなる。この攻撃から身を守るのは、よく発達した鎧のような皮膚で、脇腹の部分がもっとも厚い。成体の雄がかなりの深手を負うことがあり、ときどき大きな傷跡がみられる。しかし、皮膚は目を見張るほどすみやかに傷を癒す能力を持っている。
参考文献
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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DNAの分析から、カバはほかの有蹄類よりもクジラにより近縁であることがわかった。
夕方になると、水の中の群れはバラバラになり、単独か母と子連れになって陸へ上がる。かれらはため糞のあとを手掛かりに、いつも決まった道を通る。ため糞によるにおいづけは、夜間の道しるべとしての役割を果たしており、なわばりを宣言するという機能は持っていない。移動する道すじは長さ 2.8 kmにも及び、内陸部では枝分かれしてカバの芝地と呼ばれる、丈の低いイネ科草本が生えた採食上へと続く。採食場は共有されていて、食べ終わると深夜か早朝になると、再び同じ道を通って水場へ戻る。個体識別した観察によると、水場での群れの構成は数ヵ月以上にわたってかなり安定したもののようである。もっとも、ゾウなどの家族群などに比べると、かなり不安定ともいえる。
カバは水浴び場を持っており、極めて大きい。カバの場合、比較的小さな泥浴び場は雄たちが使う。各所に泥浴び場があることで水分が供給され、内陸へ 10 km以上も入ったところに採食場を作ることができる。いくつかの地域では、1 ㎢あたり31頭という高い密度に達し、植生が過剰に食い荒らされるため、間引きによる管理が行われている。
参考文献
- ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 カバ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 329.
- R.M.ローズ 1986 カバ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 62₋67.
最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン