- 解説一覧
- サイ科(Rhinocerotidae)について
基本情報
- 大きさ・重さ
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体長:250~315 cm(スマトラサイ)から 370~400 cm(シロサイ)まで。
体重:800 kg(スマトラサイ)から 2,300 kg(シロサイ)まで。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 分布
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アフリカ、熱帯アジアに分布する。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 亜種・品種
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・クロサイ
英名:black(またはhooked-lipped)rhinoceros
学名:Diceros bicornis
分布:ソマリアからケープまでのアフリカ。山岳地の多雨林から乾燥した藪地まで。
活動時間:昼より夜に多く活動する
採食:木の葉が主食である
体長:286~305 cm
体高:143~160 cm
尾長:60 cm
前角:42~135 cm
後角:20~50 cm
体重:950~1,300 kg
体色:灰~灰褐色(土の色により変わる)で無毛である
妊娠期間:15ヵ月
寿命:40年
保全状況:CR(IUCN)記載なし(環境省)
・シロサイ
英名:white(またはsquare-lipped)rhinoceros
学名:Ceratotherium simum
分布:アフリカ南部及び北東部の乾燥サバンナに棲む
活動時間:日中も夜間も活動する
採食:草を食べる
体長:雄 370~400 cm 雌 340~365 cm
体高:雄 170~186 cm 雌 160~177 cm
尾長:雄 70 cm
前角:雄 40~120 cm 雌 50~166 cm
後角:雄 16~40 cm 雌 16~40 cm
体重:雄 2,300 kgまで 雌 1,700 kgまで
体色:灰色(土の色により種々に着色される)で、ほとんど無毛である
妊娠期間:16ヵ月
寿命:45年
保全状況:NT(IUCN)記載なし(環境省)
・インドサイ
英名:Indian(またはgreater one-horned)rhinoceros
学名:Rhinoceros unicornis
分布:ネパール、インド北東部に分布する。はんらん草原に棲む。
活動時間:日中も夜間も活動する
採食:草を主食とする
体長:雄 368~380 cm 雌 310~340 cm
体高:雄 170~186 cm 雌 148~173 cm
尾長:雌雄ともに 70~80 cm
角:雌雄ともに 45 cm
体重:雄 2,200 kg 雌 1,600 kg
体色:灰色で、無毛である
妊娠期間:16ヵ月
寿命:45年
保全状況:VU(IUCN)記載なし(環境省)
・ジャワサイ
英名:Javan(またはlesser one-horned)rhinoceros
学名:Rhinoceros sondaicus
分布:東南アジアの低地の多雨林に棲む
活動時間:日中も夜間も活動する
採食:木の葉を食べる
体高:170 cmまで
体重:1,400 kgまで
体色:灰色で、無毛である
保全状況:CR(IUCN)記載なし(環境省)
・スマトラサイ
英名:Sumatoran(またはAsian two-horned)rhinoceros
学名:Dicerorhinus sumatrensis
分布:東南アジアの山岳地の多雨林に棲む。
活動時間:日中も夜間も活動する。
採食:木の葉を食べる。
体長:250~315 cm
体高:138 cmまで
尾長:雄 70 cm
前角:38 cmまで
体重:800 kgまで
体色:灰色で、まばらな長毛に被われる
妊娠期間:7~8ヵ月
寿命:32年
保全状況:CR(IUCN)記載なし(環境省)
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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奇蹄目 サイ科
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 人間との関係
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サイは長いあいだ、人間に脅かされてきた。アジア産の3種は、過去100年間にその数が激減し、生息域も縮小した。サイからとれる角などの産物を目的に、乱獲されたためである。
アフリカでも、銃の出現以来、ミナミシロサイが減少し、19世紀末には絶滅寸前となった。アフリカではサイの角に対する需要はほとんどなく、サイからとれる産物はおおむね輸出用であった。白人が移住してきた直後に、ケープ地方のクロサイは絶滅した。しかし、それ以外の地域では、クロサイは最近まで分布も広く、数も多かった。ところが、アフリカ諸国とアジアとの貿易が盛んになるにつれ、1970年代にアフリカ東部、中部、西部のクロサイの数は急激に減少してしまった。
最近、サイの数が減少している理由としては、サイの角の値打ちが急激に上がっているという背景がある。サイの角の粉末は、北インドでは催淫剤として使用され、中国や極東諸国では解熱剤として用いられている。それはまた、頭痛や心臓、肝臓の病気、皮膚病にも使われている。ひづめ、血液、尿などを材料としたそのほかの製品も、東洋ではその薬効が信じられてきた。化学的には、サイの角はケラチンからできているため、ひづめ、指の爪、ウシやアンテロープ類の角鞘などと同じたんぱく質であり、薬理作用はない。
しかし、サイの角は短剣の柄としても利用されており、これが最近の価格急騰の主要な原因である。その短剣というのは、北イエメンの人たちが、ステータス・シンボルとして伝統的に身に着ける、ジャンビーヤと呼ばれるものである。1969年から77年のあいだに、北イエメンだけで8000頭近くのサイの殺戮に見合う数の角が輸入されている。サイの角に対する需要が増加した理由として、イエメンの1人あたりの所得が、石油資源のおかげで5倍に増加したことが挙げられる。
角の交易による強大な圧力が、アフリカではクロサイに、アジアではスマトラサイにかかっている。クロサイは、今でもなおもっとも数が多く、広い分布をしている種だが、約1万頭に減少している。スマトラサイはわずか数百万頭ほどがスマトラ、マレーシア、タイ、ビルマに散在しているに過ぎない。インドから中国、インドネシアにかけて、かつては広く分布していたジャワサイは、現在ではジャワ島西部のウジュン・クロン保護区に約50頭が残るだけとなった。インドサイは、アッサム、西ベンガル、ネパールの保護区に約1500頭がいる。
シロサイの状況はほかの4種とは大きく異なっている。シロサイは変わった分布をしており、ザンベジ川以南の南アフリカと、ナイル川以西のアフリカ北東部にいる。北の亜種(キタシロサイ)は近年の密漁により激減し、ザイールとスーダンに100頭足らずが残るだけとなった。南の亜種(ミナミシロサイ)は、19世紀を通じて乱獲され、絶滅寸前となったが、1920年以降の保護策が功を奏し、南アフリカ共和国のアンフォロジー動物保護区に、唯一残る群れが着実に増加している。当初200頭だったものが、1960年代中頃までには2000頭近くになった。そこで、ナタール州公園課によってサイを捕獲して、かつて分布していた地域に移動させるという、有名なサイ作戦が実施されることになった。結果的にこの作戦は大成功を収めたため、シロサイは稀少動物のリストから除外されることになった。1982年には、フルフルウェ=アンフォロジー動物保護区に1200頭と、それ以外のアフリカ南部にある保護区全体で同じくらいの数のシロサイが棲むまでに回復した。それどころかアンフォロジー動物保護区では、今や過密による生息環境の悪化が最大の脅威になっている。毎年余剰個体を間引く必要があり、年取った雄の一部は、サファリの運営者に売られ、そこで合法的な狩猟の対象となっている。
この矛盾した状態は、保護団体などで面倒な争いのもととなっている。アフリカの多くの地域で行われている、違法なサイの狩猟を防止するための国際的な協力が行われている一方で、かつては稀少動物の筆頭でもあったシロサイが、正当な名目のもとに、南アフリカで合法的に狩猟できるからである。保護関係者が効果的な保護策を検討しているあいだに、サイが生息するほとんどの地域で、状況は急速に悪化の道を辿っている。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
形態
- 成獣の形質
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ウシやヒツジやアンテロープなどの角とは異なり、サイの角には骨質の角心がない。ケラチン質の繊維の集まりが、頭骨のでこぼこした部分にのっかっているだけである。アフリカ産の2種とスマトラサイでは2本の角が前後に並んでいるが、前方の方が長い。インドサイとジャワサイでは前方の1本だけがある。
サイの大きな体を支える四肢は短く、がっしりしている。それぞれの足の先には3本の指があり、足跡は典型的なトランプのクラブのエースの形をしている。インドサイの皮膚は厚く、表面はでこぼこで、ひだがあり、まるで鎧を着ているようである。シロサイのくびのうしろは大きく盛り上がっているが、これは大きな頭を支える靭帯が発達しているためである。シロサイとインドサイでは、雄は雌より明らかに大きいが、ほかの種類では、雄と雌はほぼ同じ大きさである。クロサイの上唇の先は自由に動くようになっていて、小枝などを引き寄せられるが、シロサイは前後に長い頭と、幅の広い唇をもち、丈の低い草をむしり取りやすくなっている。この2種の体の色に大差はない。
サイの視覚は弱く、30 m以上離れるとじっとしている人を見つけることはできない。眼は顔の両側に離れてついているため、真っすぐ前のものを見るとき、まず片眼で凝視してから、次にもう片方の眼で見つめる。聴覚はよく、ラッパ形の耳は自由に向きを変えることができ、どんな小さな音でも拾い上げる。しかし、サイが周囲の状況を知る上でもっとも頼りにする感覚は嗅覚である。驚くことに、匂いを嗅ぐために鼻孔に蓄えられている空気の体積は、脳の体積よりも大きい。
またゾウと同じように、雄の精巣が陰嚢内に降下しない。ペニスも通常は後方を向いており、おしっこを雌と同じように後方へ飛ばす。雌の乳頭は2個で、後あしの間にある。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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インドサイは沖積地平原の沼沢地と草深い草原を好み、そこにさまざまな方向に草のトンネルのような通路をつける。川や丘に沿った深い低木林にも棲む。ネパールなどでは、乾燥林に棲む。
スマトラサイは、生息地が狭められた現在では沿岸の低湿地から高地にまで見られる。とくに丘陵地の水辺に多い。山地の湿潤林や熱帯林をはじめ、多様な植生の地帯にすむ。
ジャワサイは深い熱帯雨林に生息し、泥遊び場に恵まれた川や沼地を好む。標高 1,000 mの所でも見かけられるが、むしろ低地で単独で暮らすものが多い。
クロサイは、サハラ以南の熱帯雨林地帯を除くブッシュをすみかとするが、産地の林のある地域でも見られる。
参考文献
- 小原秀雄 2000 インドサイ, 小原秀雄 、太田英利 、浦本昌紀 、松井正文 (著) レッド・データ・アニマルズ : 動物世界遺産 4. 講談社. 151.
- 小原秀雄 2000 スマトラサイ, ジャワサイ, 小原秀雄 、太田英利 、浦本昌紀、松井正文(著) レッド・データ・アニマルズ : 動物世界遺産 5. 講談社. 133₋134.
- 小原秀雄 2000 クロサイ, 小原秀雄 、太田英利、浦本昌紀 、松井正文 (著) レッド・データ・アニマルズ : 動物世界遺産 6. 講談社. 157.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 食性
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サイはどの種も、植物の葉を主食とする草食獣で、その大きな体を維持するため、毎日多量の食物を摂取しなくてはならない。体が大きいことと、後腸で消化するため、比較的繊維質の多い食物でも我慢できる。もちろん栄養価の高い葉の部分があれば、そちらを好んで食べる。
アフリカ産の2種は、いずれも前歯が完全に消失しているが、一方アジア産のものは門歯があり、スマトラサイには犬歯もある。これらの歯は採食のためよりも、むしろ闘いのために変形したものである。
シロサイの幅の広い唇は、一度に広い範囲の草をむしり取るのに適しており、1年のほとんどの期間を過ごす丈の短い草地で、効率良く採食することができる。クロサイの自由に動く先の尖った上唇は、木の葉を食べるときに、一度にたっぷりと引き寄せて口へ運ぶのに役立てられる。
インドサイも同じような上唇をもち、丈の高い草や低木をとりまとめるのに使う。冬の間は木の葉が20%で、あとは草を食べているが、短い草を食べるときなど、上唇の先を横へ曲げている。
ジャワサイとスマトラサイは完全に木の葉食いで、ときには若木を倒して、葉や若芽を食べる。また、一部の果実も食べる。果実はクロサイも食べるし、インドサイも少量食べる。
全てのサイは、基本的には水がなければ生きていけず、手近にあれば水たまりや川の水を毎日のように飲む。しかし、乾燥した環境にいるアフリカのサイ2種は、4~5日水場へ行かなくても平気である。水場では泥浴びも好んでする。とくにインドサイは長時間、水に体をつけている。一方アフリカのサイは、地面に体を転がして泥をつけることをよく行う。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
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- 鳴き声
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サイの鳴き声は、鼻を鳴らすような声、プッと吹くような音、うなり声、キーキーという声、金切り声、ブーブーという声など、さまざまなものが知られており、人が近づかない場所では意外と賑やかな動物である。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 生殖行動
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雄は野生では7~8歳で性成熟に達する。しかし社会的制約があるため、実際に交尾できるのは、なわばりを持ったり優位に立つことができるようになる10歳ごろである。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- 出産
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サイのように大型で長命な動物は、生活史の過程が引き延ばされて遅くなる傾向がある。シロサイとインドサイの雌はほぼ5歳で性成熟に達し、6~8歳で最初の子を産む。少し体の小さいクロサイでは、これより1年ばかり早く繁殖する。通常は一産1子で、出産感覚は最短で22ヵ月であるが、野生のインドサイ、シロサイ、クロサイでは、間隔は2~4年の範囲であることが多い。
新生児は比較的小さく、体重は母親の約4%しかなく、シロサイとインドサイでは約 65 kg、クロサイでは 40 kgぐらいである。出産が近づいた雌はほかの個体から離れる。シロサイの子が母親について歩けるようになるのは、約3日後である。インドサイの母親は、地面に横たわった子どもを残して 800 mも離れることがある。インドサイとシロサイの子は、母親の前を走ることが多いが、クロサイの子はふつう母親のあとについて走る。シロサイの母親は子どもに危険が迫ると、その前に立ちはだかって守る。
出産は年中いつでも見られる。アフリカのサイでは、交尾のピークが雨季にくる傾向があるため、出産は雨季の終わりから乾季の中頃までに見られることになる。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
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- 特徴的な行動
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いずれの種の雄も、激しく闘い、相手に大きな傷を負わせることがある。
アフリカ産の2種は、前方の角を用いて互いに相手をかち上げるようにして闘う。これに対して、アジア産のサイは、口を開けて下あごの牙のような門歯で、あるいはスマトラサイでは下あごの犬歯で、突きかかって攻撃し合う。
クロサイは、むやみやたらと攻撃するといわれるが、ほとんどの場合、単に侵入者を追い返すために脅かしているに過ぎない。しかし、人間や自動車がすぐに退散しない場合には、その角を使って攻撃してくる。
インドサイも、平穏を乱された場合など攻撃してくることがあり、ときには国立公園などで観察用に使われているゾウに突っかかっていくこともある。 これに比べて、シロサイは性質がおとなしく、あまり向かってくることはなく、その大きな体に似合わず、すぐに逃げていってしまう。
シロサイの群れが、尻を中心に寄せ合い、頭を四方に向けた防御体勢をとることがしばしば観察されている。このような体勢をとることによって、ライオンやハイエナなどの肉食獣から身を守ることができる。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン
- その他生態
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サイは原則として単独生活をするが、母子だけは次の子が生まれる直前まで一緒にいる。インドサイも多少はその傾向があるが、シロサイは成熟に達しない若ものが2頭で一緒に暮らし、ときには大きな群れを作ることもある。
5種のサイの中では、シロサイがもっとも社会的で、しばしば子どものいない雌同士が一緒に集まる。その際、1~2頭の若ものを仲間として受け入れることがあり、こうして、7頭ぐらいまでの永続的な群れができ上がることがある。休息場所や食物の豊富な場所では、一時的にもっと多くの個体が集まることもある。成体の雄はどの種類でも、発情した雌と一緒にいるとき以外は単独で暮らす。
シロサイとインドサイの雌は、9~15 ㎢の行動圏の中で暮らすが、場合によっては、その外側にでて採食や飲水を行う。クロサイの雌の行動圏は、ところどころに林のある地区では、3 ㎢ぐらいだが、乾燥したところでは 90 ㎢近くにも及ぶ。いずれの種でも、雌の行動圏は互いに重なり合っていて、なわばり性の存在を示すようなものはない。
シロサイの雌は互いに親しげに鼻と鼻を合わせて挨拶を交わすが、インドサイでは雌同士が接近すると、一般に攻撃的な反応をみせる。しかし、どちらの種でも、若ものは、成体の雌や子どもやほかの若ものに対し、鼻と鼻を合わせて挨拶をしたり、ときには遊びとしてのじゃれ合いをすることもある。
参考文献
- N.オーエン=スミス 1986 サイ, R.F.W.バーンズ(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科4 大型草食獣. 平凡社. 46₋53.
最終更新日:2020-05-15 ハリリセンボン