- 解説一覧
- ハジロカイツブリ(Podiceps nigricollis)について

ハジロカイツブリ(Podiceps nigricollis)
- 【 学名 】
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Podiceps nigricollis C. L. Brehm, 1831
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:20~25 mm
・翼長:127~137 mm
・跗蹠:38~44 mm
・尾長:21~34 mm
・体重:270~325 g
・卵:長径 39~50.2 mm×短径 27.1~34 mm 平均長径 43.9 mm×平均短径 30.2 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 渡り区分
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本州以南には冬鳥として秋の10月頃渡来し、翌春の3月頃まで留まる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 分布
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全北区、エチオピア区に分布する。
ユーラシア大陸西部、中国東北部、アフリカ大陸、北アメリカ大陸北部など、互いに離れたいくつかの繁殖地を持ち、冬はやや南下して越冬する。
日本にはウスリーから中国東北部にかけての地域で繁殖するものが、冬鳥として各地に渡米する。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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カイツブリ目 カイツブリ科
参考文献
- 吉井正 2005 ハジロカイツブリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 393.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
形態
- 成鳥の形質
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雌雄 夏羽:額、頭上、後頭、後頸、腮、喉は黒色をしている。眼の後方から耳羽まで扇形に拡がる長さ 35~45 mmくらいの飾羽があり、上部は褐色を帯びた麦わら色の淡黄色、下部は黄金色を帯びた赤褐色である。
頸は黒色をしており、肩羽、背、腰、上尾筒は石盤黒色で、腰の両側は暗栗色である。胸、腹、下尾筒は絹様光沢のある白色で、胸には灰黒色の斑があり、腹は赤褐色で、肛門付近は灰褐色を呈する。
初列風切は褐色で、羽軸は黒色、内側の第1から第3までの風切羽は全部または大部分白色である。
次列風切は白色で、内側のものの各羽端には黒褐色の斑がある。
三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は黒褐色をしている。尾も黒褐色である。嘴色は黒色、基部は赤錆色、虹彩はオレンジ赤色で、白色の細い内輪がある。脚色は跗蹠の外側が黒色、内側は緑色を帯びた鉛青色を呈する。
雌雄 冬羽:ミミカイツブリ(Podiceps Auritus) の各羽に類似するが、体はそれより小さく、初列風切の内側の第1から第3までの風切羽が白色である点が異なる。嘴は上方に反っている。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 幼鳥の形質
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雛:孵化直後の雛は全身に綿羽が生え、体の上面は黒色であるが、淡色の縦線は概して不明瞭である。頭上の両側及び眼の上、後頭などには灰色の幅の狭い縦線があるが、翕と背では縦線が極めて不明瞭である。
顔及び頸の両側には、灰色のやや明瞭な縦線がある。腮の両側には黒色の縦線があり、合してV字を逆にした形をしている。ときには、腮の中央に短い黒色の縦線が現れることもあるが、多くは喉と同様に白色で、縦線がないのが常である。
上胸と腹は白色で、胸は黒色で白色の斑があり、下腹は黒色を帯びている。嘴は肉色で、黒色の横帯が2つある。頭上と眼先は皮膚が裸出し、鮮紅色を呈する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 卵の形質
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産卵直後の卵は淡青緑色で、表面を白色の石灰質が覆っている。次第に水垢で赤褐色に汚染するのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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海岸近くの湖沼、河口部、内湾でよく見られ、内陸の大湖沼や大きな川にも現れる。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 食性
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他のカイツブリ類と同様に潜水が巧みである。小型の魚、水性の甲殻類、昆虫などを、先が少し反りあがった嘴でくわえて食べる。ヨーロッパの研究では、昆虫や甲殻類を多食するようで、動物質以外には藻類などの植物質の餌も食べる(Cramp & Simmons,1977)
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 鳴き声
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ピープ、ピープと鳴き、繁殖期にはビディー、ビディー、ビディー、ビディーと鳴き、警戒時にはフィーツ、フィーツと鳴く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 生殖行動
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繁殖期にはカンムリカイツブリ同様に、雄雌が向かい合い、互いの頸を振り動かしながら誇示(ディスプレイ)する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 産卵
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ヨーロッパでの繁殖期は5~8月、年に1~2回、一夫一妻で繁殖する。池や沼の岸の水草が生い茂った場所に集団で営巣する傾向があり、小型のカモメ類と混生コロニーをつくることが多い(Cramp & Simmons,1977)。雌雄共同で浮き巣をつくる。1巣卵数は3~4個、雌雄交替で20~22日抱卵する(Cramp & Simmons,1977)。抱卵期に巣を離れるとき、卵を水草で覆う。
参考文献
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 産卵
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ヨーロッパでの繁殖期は5~8月、年に1~2回、一夫一妻で繁殖する。池や沼など、水草が生い茂った場所に集団で営巣する傾向があり、小型のカモメ類と混生コロニーをつくることが多い(Cramp & Simmons,1977)。雌雄共同で浮き巣をつくる。
1巣卵数は3~4個、雌雄交替で20~22日抱卵する(Cramp & Simmons,1977)。抱卵期に巣を離れるとき、卵を水草で覆う。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 子育て
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雌雄共同で育雛し、雛が独立するまでに少なくとも21日を要する(Cramp & Simmons,1977)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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番の形成は繁殖地への渡りの途中や、早いものでは越冬地で行われる(Cramp & Simmons,1977)。繁殖地では数百もの巣が近接し、かなりの数の番が集合した大規模なコロニーを形成することがある。(Cramp & Simmons,1977)。越冬地では単独ないしは数羽でいることが多いが、ときには数十羽の群れをなし、次々に潜水する活発な行動が見られる。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ハジロカイツブリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 29.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- その他生態
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冬季は単独または雄雌で海岸や河口の水上に生活し、陸上には上らない。水上をよく泳ぎ、巧みに水中を潜る。水上では体を水面より高く浮かし、頸を真っすぐに立てていることが多いが、危険を感じると背または水中深く浸けているのが常である。潜水時間は5~29秒程度、ふつうは10秒くらいで浮き上がる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ハジロカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 654-655.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定指定種である。
参考文献
- 吉井正 2005 ハジロカイツブリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 393.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン