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カンムリカイツブリ(Podiceps cristatus)の分類 カイツブリ科(Podicipedidae)
カンムリカイツブリ(Podiceps cristatus)の概要 カンムリカイツブリ属(Podiceps)

カンムリカイツブリ(Podiceps cristatus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Podiceps cristatus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:40~52 mm
・翼長:172~200 mm
・跗蹠:62~68 mm
・体重:650~1120 g位
・卵:長径 46.5~62.7 mm × 短径 34~39 mm 平均長径 54.8 mm × 短径 36.7 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分布

旧北区。オーストラリア区、エチオピア区。

ユーラシア大陸の中緯度地方に広く分布するほか、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、ニュージーランド南東部など、互いに離れた繁殖地を持つ。

日本には冬鳥として渡来し、以前はまれに見るだけであったが、近年渡来数が増加し、40~60羽の群れも見られるようになった。

1972年に青森県下北半島の小川原湖沼群で初めて繁殖が記録された(日高, 1978)。

ここは、本種の繁殖分布域の東端にあたる。個体数が少なく、独立集団で繁殖しているため、危急種に指定されている。

1990年には淀川(高槻市)でも繁殖が確認されている。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 カンムリカイツブリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

カイツブリ目 カイツブリ科

参考文献

  • 吉井正 2005 カンムリカイツブリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 147-148.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

人間との関係

19世紀のイギリスではカンムリカイツブリの羽が帽子の飾りに使われた。

参考文献

  • 吉井正 2005 カンムリカイツブリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 147-148.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上、後頭は緑色の光沢のある黒色で、繁殖期には後頭の羽が長く延びて 55 ㎜位にも達し、両後頭部に冠様の飾羽をなしている。

眼先から眼の後方まで黒色の過眼線が走り、上部には白色の眉斑がある。

眼先は褐白色で、上嘴の基部から眼の方に黒色、赤灰色、赤黒色などの皮膚の裸出からなる短線がある。

後頭から頸側の上部までは白色で、繁殖期には長く延びて襟巻型の飾羽をなすが、外側の部分は黒色、内側は幅広く濃い赤錆色を帯びている。

眼の後方は幅 15~20 mmくらい、眼の下部は幅 40~50 mmくらい白色で、ときにはクリーム色を呈しているものもある。

腮、喉、前頭、頸側の下部は絹様光沢のある白色である。

後頸、背、肩羽、腰、上尾筒は黒褐色で、上背と肩羽のあるものには褐色の羽縁がある。

胸、腹、下尾筒は絹様光沢のある白色である。脇は赤褐色で、各羽端には灰黒色の斑がある。

下雨覆、腋羽は絹様光沢のある白色である。初列風切は暗褐色で、内弁の基部は白色である。内側のものの先端は白色である。

次列風切は白色で、最外側の外弁には褐色の斑がある。三列風切は白色で、最内側の内外弁には褐色の斑がある。

大、中雨覆は黒褐色で、大雨覆の外側のものの内弁の基部には白色の斑がある。

小雨覆は白色で、下部の翼縁に沿った部分は褐色である。尾は黒色で、ある羽は白色または栗色を呈している。

嘴色は上嘴は暗褐色、側部は赤色、下嘴の基部は暗赤色、先端は淡褐色。

虹彩は赤色で、金色の細い輪がある。脚色は黒色で、蹼は緑黄色または淡褐色、ときには淡色または暗色の斑があるものもある。

【冬羽】
体の上面は暗灰褐色、体の下面は絹様光沢のある白色である。頸側の襟巻様の飾羽を欠き、稀に黒色または赤褐色を帯びている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭と頸は白色で黒色の縦斑があり、眼先と前頭の両側は皮膚が裸出し、頭上には三角形の紅色斑がある。

前頭の中央は白色で、その部分から頭の両側に沿って黒色の線をなした斑があり、眼の上方に向かって走っている。

後頭の中央には白色の斑があり、頸側には黒色の縦線が走り、喉の下部で左右のものが合してV字を逆にした形を呈する。

体の上面と体側とは淡黄色を帯びた汚白色で、黒褐色の縦線がある。胸以下の体の下面は白色である。

嘴は赤色で黒色の帯があり、虹彩と脚は灰色である。

【幼鳥】
成鳥の冬羽に類似するが、頭上のある羽の羽端には白色の斑があり、顔と頸側には暗褐色の線と斑があり、多少赤褐色を帯びている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

卵の形質

産卵直後の卵は淡青色または緑白色で、表面は白色の石灰質で覆われているが、次第に水垢で汚れ、赤褐色または淡褐色を帯びるのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

生態

生息環境

海岸や海岸近くの淡水湖沼や大きな川に多く、まれに内陸の湖沼や大きな川にまで入ってくる。

アカエリカイツブリより内陸部に入ってくることが多い。冬は内湾の海上にも現れる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 カンムリカイツブリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

食性

潜水を繰り返し、魚類を好んで食べるほか、ヨシなどの植物、水生の甲殻類、昆虫、イモリやオタマジャクシなどの両生類も食べる。

カイツブリ類の中では最も大型の種類だけあって、潜水時間が長く、最長50秒ぐらいももぐることができる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 カンムリカイツブリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 28.
  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は3~8月、年に1~2回、一夫一妻(Cramp & Simmons, 1977)で繁殖する。

水草が密生した水辺の浅瀬に、雌雄共同で水草を積み上げて皿形の浮き巣をつくる。1巣卵数は3~4個、雌雄交替で27~29日抱卵する(Cramp & Simmons, 1977)。

抱卵期に巣を離れるとき、卵を、水草で覆う。雌雄共同で育雛し、雛が独立するまでには約70日を要する(Cramp & Simmons, 1977)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 カンムリカイツブリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

鳴き声

雌雄共にキッ、キッ、キッ、グワーと高く鋭い声で啼き、繁殖期に雄がほかの雌と争うときにはバンジョーの様なブーブー言う声で鳴くことがある。

雛はピーヨ、ピーヨ、ピーヨと鳴く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カンムリカイツブリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 649-651.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

特徴的な行動

番が一定の範囲の水面になわばりを構えて分散する。小川原湖沼群では3月下旬に盛んに求愛行動を繰り返す。

多種多様な求愛行動をすることで知られており、本種の求愛行動の研究は、動物行動学の出発点のひとつになった。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 カンムリカイツブリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

種・分類一覧