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- クロウミツバメ(Oceanodroma matsudairae)について
クロウミツバメ(Oceanodroma matsudairae)
【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Oceanodroma matsudairae Kuroda, 1922
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:17~19 mm
・翼長:180~189 mm
・跗蹠:26~28 mm
・尾長:96~100 mm
・卵:長径 34.1~35.4 mm×短径 25.2~27 mm 平均長径 34.6 mm×短径 26.5 mm 重量 11.8 g
参考文献
最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ
- 分布
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日本固有種。世界中で繁殖が知られるのは硫黄島列島の北硫黄島・南硫黄島のみである。
非繁殖期にはオーストラリア大陸北部沖からインド洋の亜熱帯海域に渡り、アフリカ大陸東岸に達するものもあるが、渡りの詳しい経路はわかっていない。
本種は1921年5月に相模湾で採集され(松平, 1925)、1922年に黒田長礼氏によりアメリカウミツバメの別亜種として記録されたが、その後、種として扱われるようになった。
繁殖期の3月下旬から6月には硫黄列島近海でよく見られる。危急種に指定されている。
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最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄雌】
全身は煤けた褐色であるが、オーストンウミツバメのように鉛灰色を帯びてはいない。
翼と尾はこれに酷似しているが、初列風切の羽軸の基部が灰褐色である点が異なる(オーストンウミツバメは淡褐色)。
嘴色は黒色、虹彩は黒褐色、脚色は黒色。
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最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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地上に捕食者のいない海洋の小島で集団繁殖する。
繁殖活動は夜間に行い、夜の7時頃から島に現れ、夜中の2時半頃まで繁殖のための活動をする。
繁殖期の日中は、島を遠く離れた洋上か、巣穴の中に潜んですごす。越冬期も洋上ですごし、陸地に接近することはない。
航海中の船の後をつけて飛び、ミズナギドリのように翼を傾けて水面上を低く飛ぶことが多い。
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最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ
- 食性
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採食時には脚を下げて水面近くを飛び跳ねるように飛び、水面近くの小魚、浮遊するプランクトン、イカ、エビなどを水面に下りることなくくちばしでくわえとる。
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最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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離島で繁殖するため、抱卵・育雛期間や雌雄の役割分担など繁殖生態の詳細は不明である。
集団繁殖地の岩の隙間や土中に穴を掘って巣とする。一夫一妻で繁殖するらしい。
1月に島にもどり、3~4月に1卵を産む(清棲, 1978)。孵化した雛は半晩成性で、7月下旬には島を去って海上生活を始める。
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最終更新日:2020-07-22 キノボリトカゲ