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- アカオネッタイチョウ(Phaethon rubricauda)について

アカオネッタイチョウ(Phaethon rubricauda)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phaethon rubricauda Boddaert, 1783
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:55~65 mm
・翼長:317~326 mm
・跗蹠:27~30.5 mm
・尾長:357~412 mm(中央尾羽)、90~105 mm(外側尾羽)
・卵:長径 60.9~67.3 mm×短径 44.1~47 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 分布
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東太平洋を除く世界の熱帯・亜熱帯に分布し、島や大陸の海岸で集団繁殖する。
日本では小笠原諸島の西之島、硫黄列島の北硫黄島・南硫黄島、そして南鳥島に繁殖コロニーが発見されている。
このうち、南硫黄島のコロニーは日本では最大規模である(塚本, 1983)。
八重山諸島の仲ノ神島でも繁殖期の生息が確認されており、繁殖の可能性がある。
本州では岩手県から兵庫県までに記録があり、ごくまれに幼鳥が迷行する。台風など強風が吹いた後に記録されることが多い。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
形態
- 幼鳥の形質
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全身白色で体の上面には黒色の幅の広い横斑がある。
初列風切の各羽端には黒色のスペード型の斑紋があり、黒色の羽軸に引き続いている。
尾の中央の羽は成長の様に朱赤色で細長くない。嘴色は黒色、脚色は黄白色。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は白色の地に赤褐色、暗褐色、褐色などの斑点、斑紋、雲形の斑紋などが散在し、微細な斑点が一面に密生して地色が見えないのが常である。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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繁殖地は海岸や島嶼の海沿いに限られ、断崖の岩の割れ目や岩の下、植物の陰に巣を構える。
南硫黄島では、巣はクサトベラやセンダンなどの低木が生育する樹林帯に多い(塚本, 1983)。
外洋性の海鳥で、繁殖期以外は沖合で生息することが多く、海岸や内陸で記録されることはごくまれである。
洋上で見られるので、船から観察されることが多い。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 食性
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海上を高く飛びながら、トビウオなどの魚やイカを見つけると少し停空飛翔をし、翼を閉じてまっ逆さまに水中に飛び込んで捕食する。
ごく小さなプランクトンなどは、くちばしですくうようにしてとる。
餌を捕えるとすぐ飛び立ち、長く水面にとどまることはない。親は雛に半分消化した魚やイカを吐きもどして与える。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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硫黄列島には夏鳥として渡来し、5~8月に1回、一夫一妻で繁殖する。熱帯では1年中繁殖する。
巣材は用いず、土や砂の上に直接産卵する。1巣卵数は1個、雌雄が交替して41~48日抱卵する(Marchant & Higgins, 1990)。
雛は半晩成性で、巣立ちには84~90日ぐらいを要するらしいが、餌の条件によって異なる(Marchant & Higgins, 1990)。
ミズナギドリ類やウミツバメ類と同様、雛が十分に成長して親鳥より重くなったころ、親鳥は雛を置き去りにして島を離れてしまう。
雛はそれ以後の数週間、絶食したまま島にとどまり、体内の貯えによって翼を完成させてから海上に出る。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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集団で繁殖するが、多数の巣が密在するというよりはむしろルーズコロニーである。
巣の密度は繁殖地の環境に依存し、不適な島では1番ないしは2番で繁殖することもある。
産卵前に20羽前後の個体が騒がしく鳴きながら、コロニー上空をいっしょにヒラヒラと滑翔する集団ディスプレイを行う。
番は巣の周囲の狭い範囲をなわばりとして防衛する。なわばりの面積も巣の密度に左右される。
外洋域に分散してすごすことが多いが、ときには3~4羽ぐらいの小群のこともある。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ