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- アオツラカツオドリ(Sula dactylatra)について
アオツラカツオドリ(Sula dactylatra)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Sula dactylatra Lesson, 1831
基本情報
- 分布
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世界中の熱帯・亜熱帯の海域に分布し、島や大陸の沿岸部で集団繁殖する。
日本では南西諸島の南西端に位置する尖閣諸島で繁殖するが、繁殖個体群の規模は小さい。
希少種に指定されている。小笠原や琉球の近海でときどき見かけるほか、佐渡島に迷行した記録がある。
足環による標識調査の結果、中部太平洋のホーランド島で標識された個体が佐渡島で回収されている(山階鳥類研究所, 1985)。
また、フェニックス諸島のマッキーン島で標識された雌が朝鮮半島でも回収されていることより(Cramp, 1980)、かなりの長距離を移動するものと考えられる。
参考文献
最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄】
頭部・頸・背・胸・腹・脇・腰・上尾筒・下尾筒は白色である。眼の周囲および嘴の周囲は皮膚が裸出して、暗石盤青色である。
肩羽は白色で、先端の部分の各羽は暗チョコレート色である。
初列風切・次列風切・大雨覆は暗チョコレート色、三列風切・小雨覆は白色である。尾は暗チョコレート色である。
嘴色は黄色、虹彩は黄色、脚色は緑青色。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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外洋性の海鳥で、繁殖期以外は沖合で生息することが多く、海岸や内陸で記録されることはごくまれである。
洋上で見られるので、船から観察されることが多い。
繁殖期には、島の平坦地や断崖の緑辺部や稜線、斜面などの岩棚に巣をつくる。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
- 食性
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翼をゆっくり動かし、比較的高い空を滑翔を交えながら飛んで餌を探す。
餌を見つけると翼を後方に伸ばしたまま水の中に突き刺さるように、くちばしから飛び込んで捕える。
低空飛翔をして狙いをつけることもある。
水中に突入して捕食するばかりでなく、ときには水中に 2~3 mぐらい潜水して魚を捕える。
集団で繁殖するが、採餌のために沖合に出たときは1羽から数羽でいることが多い。
主にトビウオ科の魚類を食べるが、そのほかにトビイカ、エビなども食べる。空中でトビウオをとることもある。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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日本には繁殖生態に関する詳細な記載はない。亜熱帯・熱帯では1年中、一夫一妻で繁殖する。
巣は地上にあり、巣材をほとんど用いず、地面を体でならし産座には砂を敷く。
1巣卵数は1~2個で、2個の場合、5~8日おいて1個ずつ産卵する。
まれに隣接する巣から転がり出た卵をとり込み3卵以上になることがある(Merchant & Higgins, 1990)。
カツオドリと同様、抱卵斑ができないため、卵を毛細血管が集まった脚の水かきの下で42~46日、雌雄交替で温める(Merchant & Higgins, 1990)。
雛は晩成性で、無毛の状態で孵化する。
早く孵化した雛は、孵化後4~5日たったころ、まだ孵化していない第2卵を両翼と背中の上に乗せて巣外に押し出そうとする。
第2卵が孵化していても、早く孵化した雛は、第2雛を巣の外に追い出そうとしてくちばしで執拗に攻撃を繰り返す(Merchant & Higgins, 1990)。
こうした兄弟殺しのため、2卵を産んでもふつうは1羽しか育たない。
雛には雌雄共同で113~120日給餌するが、気象条件や餌条件によって育雛日数は異なる。
雛は1日に1~3回の給餌を受けて成長し、親より大きく育ったころ、給餌回数は1日あるいは数日間に1回となり、その後2~3週間で巣立つ(Merchant & Higgins, 1990)。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
- その他生態
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密集したコロニーで繁殖する。番は巣を中心に狭い範囲をなわばりとして防衛する。
毎年、同じ番が同じ巣を使用する。なわばり防衛のディスプレイや求愛ディスプレイは高度に発達している。
これらのディスプレイは儀式化されており、頭や翼、脚、尾の姿勢や動きが誇張されている。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ