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- カワウ(Phalacrocorax carbo)について
カワウ(Phalacrocorax carbo)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phalacrocorax carbo (Linnaeus, 1758)
目次
基本情報
- 分布
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ユーラシア大陸、オーストラリア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸北東部など、広い範囲に分布しており、ウ科の中で最も生息域が広い。
日本では北海道から本州、琉球諸島、大東諸島まで全国的に分布している。
参考文献
最終更新日:2021-04-07 ハリリセンボン
- 生息状況
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日本では、1920年以前まで北海道を除く全国で観察できる野鳥であったが、狩猟などにより明治以降、その数が激減した。
1923年から1946年の23年間に狩猟された「う」と記載された個体数は総数168,989羽と記録があり、毎年全国で合計5,000羽以上が撃たれていた (名が「う」という記載であるため、ウミウも含まれているが、本州以南についてはほとんどがカワウであったと考えられる)。
戦後の土壌汚染や開発により、さらにその数は減少し、1971年には、全国3か所のコロニーに3000羽以下となった。その後、生息環境の改善、人間によるカワウ営巣地への圧迫の減少、食物資源となる魚類の回復により個体数が増加。
2000年には50000羽~60000羽が全国に生息するまでに個体数が回復した。
個体数の増加に伴い、現在では水産被害や樹木枯死被害、糞害などの被害報告があり、環境省の設ける特定鳥獣保護管理計画制度の対象鳥獣に指定されている。
参考文献
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- 学名の解説
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属名である Phalacrocorax は "禿げ頭のカラス" の意 (phalakros 禿げ頭の + corax カラス) 。種小名 carbo は "真っ黒の" という意。
参考文献
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- 人間との関係
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日本人とウ類との歴史は古く、日本書紀、万葉集などにも鵜飼の記載があり、弥生時代の集団墓地にウを抱いた人骨が埋葬されていた例や、古墳時代の埴輪の中に魚をくわえた鵜飼いのウをかたどったものが発見された例がある。
ウの生態を利用した鵜飼漁の起源は古く、インド東北部からベトナム、中国などアジア一帯で広く行われてきた。
日本でも古来から九州、四国、本州で広く行われるポピュラーな漁法であったが、現在では岐阜県長良川、京都府嵐山など十か所の地域において主に観光用に残っているのみである。
かつて、鵜飼にはウミウとカワウの両方が利用されていたが、カワウの個体数の減少や、ウミウのほうが大型で大きい魚を捕まえることができるなどの理由から、現在ではウミウがよく利用されている。
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形態
- 成鳥の形質
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全体が黒褐色で肩羽、雨覆、風切は茶褐色で鱗模様のように見える。ウミウと似るが、ウミウが羽に緑光沢があるのに対し、カワウは、褐色みが強い。くちばしは鈎型で基部が黄色。この黄色部のうち、ウミウは口角部分がとがるのに対し、カワウは口角がとがらずなめらかで、黄色部の範囲もウミウと比べ広い。
オスはメスと比べやや大きいが、野外において識別することは困難である。
繁殖期には頭部や腿部に白い繁殖羽が生じ、目の下の露出部が赤くなる。下嘴の付け根の黄色の裸出部は黒ずんで見えるようになる。
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- 幼鳥の形質
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全身が黒褐色だが成鳥に比べると淡色で、白い羽がパッチ状に生える。胸部から腹部が白い個体もいる。若鳥から成鳥の羽に換わるのは、基本的には生まれた翌年の夏である。体の大きさは成鳥とほとんど変わらない。
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生態
- 食性
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魚食性。魚のほかにアメリカザリガニなどの甲殻類を餌としている報告もある。また、わずかながら両生類も餌としている記録がある。
幼体に対しては、親が半消化し、流動食化たものを吐き戻して与えるが、大きくなるにつれ親と同じものを与えられるようになる。
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- ライフサイクル
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カワウの生活史は地域によって異なり、日本に生息するカワウの中でも観測地域により異なった生活史を示すが、多くの観察地で5月~7月は繁殖期となっている。
繁殖齢は1~8才。
平均寿命は3年~4年。巣立った年の死亡率が高い。
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- 産卵
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一回の営巣で産む卵は1~7個で3個が最も多い。抱卵は雌雄が一日に2回以上の交代をして行い、ヒナへの給餌についても雌雄がともに行う。
抱卵日数は24~32日で、孵化後ヒナは31~59日で巣立つ。
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- 特徴的な行動
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多くの潜水性鳥類が撥水性の羽を持つのに対し、カワウは特殊な親水性の羽を持つ。これにより羽毛内の空気層が少なくなり、潜水時の浮力が低下するため効率よく潜水を行うことができる。
後肢は体の後方に位置し、足漕ぎによって潜水を行うことに適した形態である。足趾には水かきがあり、カモ類などが拇趾と第2趾の間には水かきを持たないのに対し、ウは拇趾にまで水かきが広がる全蹼足を持つ。
尾を舵代わりに、水搔きのついた後肢によって潜水を行い、魚を捕まえる。水中で捕まえた魚は、その場で飲み込まず、水面に上がってから飲み込む。
羽が水をはじかないため、岩や樹上で翼を広げ、羽を乾かす行動がみられる。
淡水、汽水、海水域と幅広い範囲での潜水が可能であり、最大で水深約 20 mまで潜水し、長い時には70秒間潜っていることができる。
カワウは大きな群れを形成して移動、採食することが観察されている。また、夜間は数十羽から数万羽の群れで休息する。基本的にはそして水辺に面した場所にねぐらを形成する。ただし、ごくわずかであるが、水辺から離れたような場所にねぐらが作られることもある。
ねぐらとして利用される場所は、河川や湖沼に面した樹林が多く、ほかにも鉄塔、高圧電線、養殖棚などの人工物も利用する。ねぐらでは、互いに嘴が届かない位置を確保しており、それぞれのカワウでおよそ同じ位置に毎日戻り、休息する。
カワウは、ねぐらと採餌場所を往復し、生活している。ねぐらからの朝の飛び立ちはおおよそ日の出の30分前から始まり、夕方のねぐら入りは日の入り30 分後の前までには終了する。ねぐらは、季節によって羽数が変化し、場所によってはねぐらをそのまま繁殖地として利用されることもある。
参考文献
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