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- アオサギ(Ardea cinerea)について
アオサギ(Ardea cinerea)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Ardea cinerea Linnaeus, 1758
基本情報
- 分布
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イギリス、ヨーロッパ、中央ミャンマー、南アフリカ、マダガスカルなどに分布する。
日本産は亜種 A. c. jouyi で、北海道・本州・四国・九州・対馬で繁殖。
参考文献
最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄成鳥】
(冬羽)額および頭頂は白色。眼先は裸出して黄色を呈する。
額の両側から眼の上を通り、後頭で合わさる広い黒帯があり、その後端の羽毛は伸長して長さ 180~220 mmに達する細い飾羽をなす。
そのほか頭・頸はすべて白色であるが、頸の前方中央に黒色小斑が並び2~3本の縦線を現わしている。
頸の下端の羽毛は長くて尖り、飾羽をなす。背・肩・腰・上尾筒はすべて蒼灰色。
肩羽は長くて細く裂け、飾羽をなすが、シラサギ類と異なり線状はなさず、またその長さは次列風切より遥かに短い。
なおこの飾羽の一部または大部は背より淡く、淡灰色なのを常とする。尾は角色で短く尾羽の数は12枚である。
翼は大きいがやや丸い。初列風切は黒色。次列風切は大部分が黒色であるが、内側の3~4枚は暗灰色。
三列風切は背と同様の蒼灰色。雨覆は蒼灰色であるが、翼縁に沿う部分および外側大雨覆は淡灰色を呈している。
胸側および腹は黒色。そのほかは白色。ただし腹には片鱗のみ白色の羽毛を混じるのを常とする。
脇・腋羽・下雨覆の大部分は暗灰色。下雨覆の内、翼の外縁に沿う部分は白色。下尾筒は白色。
胸の中央・腹および下背の両側に粉羽がある。この羽衣は完全な換羽によって得られるものである。
本邦産のものでは体羽の換羽は7月頃よりはじまり11月にはまだ完了しないものも多く、完了は12月または1月の様である。
風切は体羽より遅れて9月または10月頃から始まり、翌年の2月または3月頃に完了する。
(夏羽)日本産のアオサギは秋の換羽の末期、すなわち11月または12月頃に後頭の飾羽を生じるらしく、1月以後の換羽は見られないようである。
すなわち特別の夏羽はないらしい。白色部は汚染されて汚白色となるもの多く、背面の灰色は淡くなるものと汚染によって暗色となるものとがある。
【雌成鳥】
雄成鳥に酷似する。概して少し小型で特に嘴は短く、また頭上に灰色の羽毛を混じることが多く、肩の飾羽は短いものや短いものもあり、区別はかなり困難である。
嘴は帯褐黄色で雄の春夏のもの最も黄色を帯び、雌の秋冬のものは最も褐色を帯びている。
脚は褐色。虹彩は黄色。眼先は皮膚は黄色。囲眼部の皮膚は緑黄色。
参考文献
最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
頭上の初毛は帯褐灰色。しかしその羽軸は長く伸びて毛状をなし、頭上全体に顕著な毛冠を形成している。
そのほかの背面の初毛は長いが尋常の形を有し、背の中央のものは灰褐色、背の両側のものは灰色を呈している。
下面は汚白色。眼先・囲眼部・腮・喉および後頸は裸出し、背の両側と腹とは羽ツゲが疎らに生えている。
なお幼羽が生じはじめると同時に粉羽も生じはじめる。
【幼鳥】
額・頭頂はスレート色、成鳥で黒い眉および後頭もスレート色で、ただ後頭が少し暗色であるのみである。
長い飾羽はない。頬・腮・喉は白色、後頸および頸側はバフ色を帯びた灰色、前頸は白色で黒色斑が成鳥より多い。
背面は成鳥より褐色を帯びたスレート色で、肩羽は普通の羽毛の形をなしている。
翼は成鳥のものに似ているが、小雨覆は背と同様に帯褐スレート色を呈し、中雨覆および大雨覆は外縁と先がバフ色を帯びている。
頸の下部の羽毛は普通の形で飾羽はなしていない。
下面は脇以外はバフ白色で暗褐色の縦斑があり、胸側および腹の中央の黒色大斑はこれを欠き、脇および下雨覆は暗スレート色である。
この羽衣の上嘴は褐色である。
(第1回冬羽)幼鳥はその年の11月頃から頭頂・頸の一部を換羽するがそのほかは換羽することなく越冬する。新たに生じた羽毛は幼羽と違いはない。
(第2回冬羽)幼鳥は第2年の夏に換羽に入り、まず体羽の換羽をなし、後に風切を換羽して第3年の春に完全なこの羽衣を取得する。
この羽衣は幼羽と成鳥冬羽との中間の色および形を有し、背面は褐色味が少なく灰色味に富み、後頭の羽毛は黒色であるが長い飾羽はまだなく、頭上および眉は暗スレート色である。
頸は幼鳥と同色であるが、頸下部の羽毛は少し尖って飾羽状をなしている(成鳥ほど著しくはない)。
下面は幼鳥と同様縦斑があり、胸側と腹の大黒斑はない。肩羽は多少裂けてやや飾羽状をなすが、成鳥のものよりは遥かに短い。
嘴の色は幼羽のものと同じ。
(第3回冬羽)幼鳥は第3年の夏より換羽に入り、成鳥の場合と同様に完全な換羽を行い、第4年の春に成鳥の羽衣を取得する。
参考文献
最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は長短の楕円形、卵殻は帯緑青色でその色はサギ類の卵として最も濃い部に属する。表面には光沢がなく、また斑紋はないが、多少石灰斑を有する。
参考文献
最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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北海道では河岸・湖畔・沼沢などに多く生息しているが、本州(北陸および山陰地方に多く、太平洋側には多くはない)および朝鮮では主に水田に生息している。
参考文献
最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
- 食性
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広い河川、湿地、潟湖や海岸の干潟などで主に淡水魚を食する。地方によっては浅い入江などでハゼ類、イナなどの海魚を捕食することもある。
小魚のみならず長さ 20~30 cmのかなり大きな魚をも嚥下することができる。
これに次いではカエルのような両生類および小獣類を食する。
獣類はハタネズミ類、ヒメネズミ類、トガリネズミ類などが多く、多くは水辺で捕食するが、ときとして原野の水から遠いところでこれを求めていることがある。
このほかカニ・シャコ類・昆虫・貝類(特にタニシそのほかの淡水貝)・ミミズなどをしばしば食するし、ときとして雛鳥や病んで弱った小鳥をも食していることがある。
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最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ
- 産卵
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産卵期は北海道・本州では4~5月上旬、1巣卵数は4個を常とするが、3~5個のこともある。欧州では6~7個の記録もある。
抱卵は4~6時間ごとに両親交替で行われ、食物は自身で摂る。孵化日数は25~28日。
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最終更新日:2020-10-12 キノボリトカゲ