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チュウサギ(Egretta intermedia)の分類 サギ科(Ardeidae)
チュウサギ(Egretta intermedia)の概要 コサギ属(Egretta)

チュウサギ(Egretta intermedia)

【 学名 】
Egretta intermedia (Wagler, 1829)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:67~80 mm
・翼長:272~320 mm
・跗蹠:100~121 mm
・尾長:100~121 mm
・卵:長径 42.6~52.5 mm × 短径 33.5~38 mm 平均長径 48.8 mm × 短径 34.9 mm 重量 30.5~35.5 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 チュウサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 507-509.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区、エチオピア区、オーストラリア区。ユーラシア大陸東・南部、アフリカ大陸、オーストラリア大陸の熱帯・温帯で広く繁殖する。

日本には夏鳥としてフィリピン方面から渡来し、本州から九州までの各地で繁殖する。

近年、分布域を北に広げつつあり、1981年ごろから北海道でも観察例が増えているが(Iijima, 1984)、全国的には減少している。希少種に指定されている。

かつては各地の集団繁殖地で最も個体数の多い種であったが、徐々に個体数は減り、1970年ごろを境にコサギのほうの個体数が多くなるという現象が各地のサギ山で起きている(中村, 1984)。

また近年、こうした集団繁殖地は分散し、小規模化の傾向にある。

シラサギ類3種のなかでは繁殖分布域はコサギより狭く、ダイサギよりも広い。

冬は南方に渡去するが、西南日本や琉球諸島では越冬する個体もいる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 チュウサギ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 55.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

コウノトリ目 サギ科

参考文献

  • 吉井正 2005 チュウサギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 329.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雄雌同色。全身すべて純白色である。眼先は黄色の皮膚が裸出している。

繁殖期には背の各羽が細長い蓑の様な飾羽をなし、長さ 270 ㎜位のものもある。

胸にも長さ 140 ㎜くらいの飾羽があるが、各羽ではこれを欠いている。

嘴色は繁殖期には黒色、冬季は黄色で、先端は黒褐色。虹彩は暗黄色、脚色は黒色。

参考文献

  • 吉井正 2005 チュウサギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 329.
  • 清棲幸保 1955 チュウサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 507-509.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は長い白色の綿羽が密生し、眼先、腮、喉、後頸、腹の中央、脇などは皮膚が裸出する。

頭上の綿羽は羽冠のように長い。

【幼鳥】
全身は純白であるが、体羽は成鳥のものと比べて柔軟な感がある。飾羽を欠いている。

この点は成鳥冬羽と同様であるが、成鳥冬羽の場合、頸の下端の羽毛は体のほかの部分と比べて多少羽枝が長いのに反し、幼羽のこの部分の羽毛はほかの部分の羽毛とほとんど同様の構造である。嘴は黄色。

参考文献

  • 山階芳麿 1980 チュウサギ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 937-940.
  • 清棲幸保 1955 チュウサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 507-509.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は美しい緑青色で、斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 チュウサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 507-509.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

生態

生息環境

平地の水田、湿地、ときには大きな川に生息する。海岸や山地の水辺にはいない。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 チュウサギ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 55.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

食性

昼行性で、浅瀬を静かに歩きながら餌を探し、昆虫、クモ類、ドジョウやフナなどの魚類、アメリカザリガニなどの甲殻類、カエルなどの両生類を食べる(小杉, 1960)。

魚を狙って水中に不動の姿勢で立っていることもある。数羽または10羽前後の小群で餌をあさることが多い。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 チュウサギ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 55.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~9月、年に1回の繁殖がふつうで、一夫一妻で繁殖する。

コサギ、アマサギ、ダイサギ、ゴイサギなどと混生して集団繁殖することが多く、松林、雑木林、竹林などでコロニーをつくる。

巣材集めは主に雄が行い、雌は雄から受け取った枯れ枝などを用いて粗雑な皿形の巣をつくる。

巣は樹木の中ほどの枝上にある場合が多く、いくつもが隣り合い、またほかのサギ類の巣と隣り合っている場合もある。

1巣卵数は3~5個で、4個の例が多い(清棲, 1978)。2~3日ごとに1卵づつ産卵し、雄雌交替で24~27日抱卵する(Hancock & Kushlan, 1984)。

孵化した雛は半晩成性で、長い白色の幼綿羽が密生する。

全部の卵が産卵される前に親鳥が抱卵をはじめてしまうので、全卵が孵化するには約7日のずれが生じる。

このため、1巣中の各雛の大きさにはかなりのばらつきがある。

遅く孵化した雛の生存率は、餓死や兄弟殺しのために低いものと考えられる。

雌雄共同で育雛し、雛は約3週間で巣を離れ、5週間ほどで独立する(Hancock & Kushlan, 1984)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 チュウサギ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 55.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

鳴き声

常には余り啼かないが、争うときや警戒時、繁殖期にはゴァー、ゴァー、またはグァー、グァーと啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 チュウサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 507-509.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

種・分類一覧