- 解説一覧
- アカガシラサギ(Ardeola bacchus)について
アカガシラサギ(Ardeola bacchus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
-
Ardeola bacchus (Bonaparte, 1855)
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・嘴峰:53~58 mm
・翼長:雄 217~237 mm 雌 200~206 mm
・跗蹠:51~63 mm
・尾長:59~80 mm
・体重:220~380 g
・卵:長径 35.7~42 mm × 短径 27.3~30.1 mm 平均長径 39.1 mm × 短径 29.4 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカガシラサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 512-513.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分布
-
旧北区、東洋区。中国東部・南部からインドシナ半島基部に至る地域で繫殖し、北方の個体群は冬にインドシナ半島、マレー半島、ボルネオ島に渡る。
日本では、少なくとも1960年頃までの記録数は10例にも満たず、かつては迷鳥として渡来していた。
これらの迷行記録は、主として本州中部以北の北日本において9~2月の秋から冬に多い(新倉・中村, 1987)。
近年は観察記録が増え、発見季節も秋・冬型から5~6月の春・夏型に変化し、関東以西の西日本で多くみられるようになった(新倉・中村, 1987)。
最近では熊本県(吉島・岩下, 1981)と秋田県(高橋・堤, 1986)で繫殖が確認されている。
また沖縄県や神奈川県(新倉・武, 1986)でも越冬個体が記録されており、今後の分布拡大が注目されている。
参考文献
- 中村登流 1995 アカガシラサギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 56.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
-
ジャワアカガシラサギ、インドアカガシラサギ
参考文献
- 吉井正 2005 アカガシラサギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 17.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
-
コウノトリ目 サギ科
参考文献
- 吉井正 2005 アカガシラサギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 17.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
雌雄同色。繁殖期には額・頭上・後頭・後頸・耳羽・頬は栗色で、後頭には同色の細長い紐様の飾羽が4~6本生えている。
眼先は青灰色の皮膚が裸出している、腮と喉の中央は白色である。
冬季は腮と喉の中央の白色の部分以外の全頭部は黄土色で、各羽の両側縁は黒褐色である。
繁殖期には背・肩羽は暗石盤色で、各羽の先端は細長くて蓑の様な飾羽をなしているが、冬季は暗土褐色で、羽も短い。
繁殖期には前頸の下部は灰色をやや帯びた栗色である。各羽は細長く延びて飾羽をなしている。
この飾羽の下部のものは石盤色であるが、中央には一部が白色かまたは全部白色の羽が混じっている。
腰・上尾筒・腹・脇・下尾筒は純白色である。
風切羽は純白色であるが、繁殖期には初列風切の第一羽と第二羽との外弁は淡灰色を帯びているか、または同色の小さな斑があるかである。
冬季はこの外弁は土褐色を帯びているかまたは同色の小さな斑があるかで、三列風切は暗土褐色を帯びている。
大、中、小雨覆は純白色であるが、冬季は大雨覆は暗土褐色を帯びている。
下雨覆、腋羽は純白色。尾は純白色で、各羽端は土褐色を帯びている。
嘴色は黄色で、先端は黒色、基部は青灰色。
虹彩は黄色から橙赤色にわたる各種の色、脚色は緑褐色、黄褐色、灰緑色。脛羽は純白色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカガシラサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 512-513.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
-
【幼鳥】
成鳥冬羽に似るといわれている。
【第1回冬羽】
成鳥冬羽に酷似するが、初列風切外側5枚の軸は褐色を呈し、初列風切第一羽の先と軸に沿う部は広く褐色、第二~第五羽の先は少し褐色で、また三列風切の内縁も広く褐色を呈している。
この風切は幼羽のまま更新しないものと考えられている。
【第1回夏羽】
頭・頸・背・肩の一部に成鳥夏羽と同様の羽毛を生じつつある。ただし後頭の長羽はなし。
これによれば、幼鳥は第2年の春に体羽のみを換羽して成鳥夏羽と似た羽衣となるが、この換羽は不完全なもののようである。
また風切はこの際にも換羽はしないようである。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の夏から秋にわたって風切をも含み完全な換羽をして、成鳥冬羽になると考えられる。
参考文献
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
沿岸や沿岸近くの水田、湿田、湖沼、河川など、水辺や湿った場所に生息する。
参考文献
- 中村登流 1995 アカガシラサギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 56.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 食性
-
ドジョウやフナ、アメリカザリガニ、オタマジャクシやトノサマガエル、トンボ類などを餌とし、水辺で待ち伏せして捕食したり、水田や湿った場所を歩きながら餌をあさる。
雛にも同様の餌を与えるらしく、秋田県の繁殖例では巣の下にトノサマガエル、トノサマガエルの幼生、アマガエル、フナなどが落ちていたと報告されている。
参考文献
- 中村登流 1995 アカガシラサギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 56.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
-
喬木や竹藪に集団で繁殖し、ときにはほかのサギ類と混生して営巣することもある。
巣は松または榕樹、竹などの喬木の地上から 4~5 m位の高さの枝上にある。
樹枝を主材として粗雑な皿形の巣をつくる。産卵期は5~9月頃までである。
1巣卵数は2~6個で、4個の例が最も多い。18~22日抱卵し、雛は孵化後約36日親の給餌を受ける(Hancock & Kushlan, 1984)。
参考文献
- 中村登流 1995 アカガシラサギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 56.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
-
小群または大群で水田などに降りて餌を漁っているが、警戒心が強くて中々人を寄せ付けない。
見通しのよい所に体を露出させるのが常で、葦などの茂みに潜むことはない。
両脚を交互にして静かに水中などを歩渉しつつ餌を漁っている。
翼を緩慢に羽搏いて飛翔し、飛翔時には首をS字形に縮め、脚を尾端から長く出している。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカガシラサギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 512-513.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ