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- ミゾゴイ(Gorsachius goisagi)について

ミゾゴイ(Gorsachius goisagi)
【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Gorsachius goisagi (Temminck, 1836)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:34~41 mm
・翼長:248~288 mm
・跗蹠:64~73 mm
・尾長:92~116 mm
・卵:長径 46.3~49.7 mm×短径 36.4~38 mm 平均長径 46.9 mm×短径 37.2 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。日本固有種。夏鳥として渡来し、本州、四国、九州と伊豆諸島の低山帯で繁殖するが数は少ない。
希少種に指定されている。冬は台湾やフィリピンですごすが、西南日本、薩南諸島以南で越冬するものもいる。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。額、頭上、後頭、後頸は赤栗色で、全体に石盤色を帯びている。
頭側、耳羽、頬は栗色、腮、喉はクリーム色である。眼先は黄色の皮膚が裸出している。
背、肩羽、腰は暗赤錆色で、石盤褐色の不規則な波形の横縞があり、胸、腹、脇はクリーム色で各羽には褐色の羽縁と暗褐色の縦斑とがある。
上尾筒は暗石盤色で、ときには褐色勝ちのものもある。下尾筒はクリーム色で、各羽には暗褐色の縦斑がある。
下雨覆、腋羽は赤錆色で、石盤色の横縞がある。
初列風切、次列風切は石盤黒色で、先端から 30 mm位は赤褐色で、暗灰色の小斑が多数あり、初列風切の各羽端はクリーム色である。
三列風切は背と同じ、大、中、小雨覆は赤褐色で、石盤褐色の不規則な波形の横縞がある。
初列雨覆は赤褐色、内側のは石盤黒色で、先端は赤褐色、その外側は更に白色である。小翼羽は石盤黒色で、先端はクリーム色である。
尾は暗石盤色、嘴色は暗色の角色、下嘴は黄色。脚色は黒色を帯びた緑色。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛には白色の綿羽が密生している。
【幼鳥】
頭上、後頭は濃黒褐色、頭側は赤錆色で、黒色の横縞がある。
体の上面は暗栗色で、黒色の波形の斑と同色の点の様な斑とがあり、体の下面は成鳥より褐色勝ちである。
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生態
- 生息環境
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山地のスギ、ヒノキなどの針葉樹の密林や、クリ、ナラなどの落葉広葉樹の密林に生息する。
ほかのサギ類が明るく開けた環境や水辺に生息するのに対して、本種は暗い林を好んで生息し、林内の沢筋や水辺で採食する。
海岸沿いから内陸部までに繁殖するようだが、あまり高い山には生息しない。
低山帯は全国的に開発が進んでいるため、個体数が減っていると思われるが、実態はわかっていない。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 食性
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スギ、ヒノキなどの針葉樹の密林の中の沢筋や谷間の渓流、山ぎわの湖沼のふちなどで、サワガニ、ミミズ、魚類、水生昆虫を捕食する。
両脚を交互に動かし、地上を静かに歩いて餌を探す。夜行性で、主に夕方から夜間にかけて遠方の採食地に飛翔していく。
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- ライフサイクル
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繁殖期は4~7月、年に1回の繁殖と考えられ、一夫一妻で繁殖するらしい。
樹枝、樹根などを主材にして粗雑な皿形の巣を、マツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹の密林や、ケヤキ、カシなどの常緑濶葉樹、またはクリ、ナラなどの落葉濶葉樹の、地上 7~20 mほどのところにつくる。
1巣卵数は4~5個(清棲, 1978)。夜行性で個体数も少ないため、抱卵・育雛時の雌雄分担、抱卵・育雛期間など繁殖生態の詳細はわかっていない。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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4月下旬から5月下旬頃の夜間に杉、檜などの枝にとまってウヲーフ、ウヲーフまたはヴォーグ―、ヴォーグ―と唸る様な声で4~8声ずつに区切って連続的に啼き30分間に300声位啼くことが多く、主として午後7時から8時頃までと午前4時から5時頃までに啼くことが多い。
小雨、晴天時には朝遅くまで啼く。晴天時には稀に小声で2~3声位啼く。
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- 特徴的な行動
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ときには杉、檜などの枝にとまってじっと眠っていることもある。
両脚を交互にして地上を静かに歩むことが多いが、走りだすと中々迅速である。
翼を緩慢に羽搏いて飛翔するのが常であるが、突然舞い立つときにはかなり烈しい羽音を立てる。
飛翔時には頸部をゴイサギと同じ位に太く短くS字形に縮めている。
警戒時には頸と頭とを真直に空の方に延ばして体を縦長にしてじっと静止し、ヨシゴイの警戒時の姿に類似する。
地上を歩むときなどには頸部を著しく太く短くS字形に縮め、嚢を釣っている様な外観を呈する。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ