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ハクガン(Chen caerulescens)の分類 カモ科(Anatidae)
ハクガン(Chen caerulescens)の概要 Chen

ハクガン(Chen caerulescens)

【 学名 】
Chen caerulescens (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:50~61 mm
・翼長:368~440 mm
・跗蹠:72~85 mm
・尾長:127~146 mm
・卵:長径 68.6~88 mm × 短径 50.4~55.5 mm 平均長径 78.8 mm × 平均短径 53.3 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

分布

新北区分布型。北アメリカ大陸の北極圏で繁殖し、同大陸南部で点々と越冬する。日本は分布地からまったく離れているが、1890年ごろまで東京湾に大群で渡ってきていたという(清棲,1978)。

北海道から九州までの各地に、ごくまれに現れる冬鳥で、本州北部から北海道に記録が多い。

湖沼、沼沢地などに現れ、ほかのガン類の群れに混じる。繁殖地では矮性灌木の多いツンドラ地帯で営巣する。

参考文献

  • 中村登流 1995 ハクガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 32.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

分類学的位置付け

カモ目 カモ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ハクガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 380.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

形態

成鳥の形質

雌雄:体の上面及び下面は全て純白色である。初列風切は黒色であるが、外側のものの基部近くは灰色で、羽軸は黒色であるが、内側風切羽の羽軸は基部近くだけ白色である。

次列風切、三列風切は淡灰色で、羽軸は黒色である。初列雨覆と小翼羽は淡灰色。尾は純白色である。嘴色は赤色で、先端は白色の角のような色、上嘴の嘴刻数は20~24である。

虹彩は褐色、脚色はオレンジ赤色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

幼鳥の形質

雛:雛は抱卵後24~26日くらいで孵化し、孵化直後の雛は眼先から眼にかけて黄味を帯びた灰褐色の過眼線が走る。

後頭、後頸、体の上面などには黄味を帯びた灰褐色の綿羽が生え、前頭、顔、頸、翼、体の下面などには緑黄色の綿羽が密生する。

嘴はほとんど黒色で先端だけ黄色で、脚は灰褐色、虹彩は灰色である。

幼鳥:頭上、後頭、後頸は淡灰褐色、背、肩羽は淡灰褐色で、各羽には白色の縁がある。体の下面は白色、腰、上尾筒、小雨覆も白色である。

初列風切は黒褐色で、基部は灰色、次列風切の内側のもの及び三列風切、大、中雨覆は淡灰褐色で、白色の羽縁があり、初列雨覆、小翼羽は灰色である。

ほかは成鳥と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

卵の形質

卵はクリーム色または青みを僅かに帯びた白色で、斑点を欠く。卵は卵形である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

生態

生息環境

往時は冬鳥として大群で渡来したが近時では極めてまれに渡来し、農耕地、沼澤、湖沼、湿地の草原、干潟、海上などに生息する。

先年引き続いて千葉県東葛飾郡和田沼(1936)、千葉県東葛飾郡手賀沼、千葉県東葛飾郡新濱(1936)及び埼玉県埼玉郡越ヶ谷(1937 宇田川龍男氏観察)などの農耕地や、沼澤などにヒシクイに混じって1羽だけ渡来した。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

食性

冬季はほとんど植物質を主食とし、ヒシクイの食性に類似する。

その他水性植物の根や茎及び水棲軟体動物の昆虫や貝類も食物とする。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

鳴き声

クワ、ワ、ウー クワ、ワ、ウーと鳴く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

生殖行動

ツンドラ、草原または柳、樺などの矮小樹の散在する草原で繁殖する。

巣は地上の凹みにあり、草類や蘚類を主材として皿形の巣をつくり、産座には自分の胸や腹からの綿羽を敷く。

巣の外径 31 cm、内径 20 cm、高さ 15~20 cmくらいである。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

産卵

産卵期は6月頃である。卵1巣の卵数は5~6個が常で、ときに4個、7個、8個の例がある。

毎日1個ずつ産卵し、全卵産み終わると抱卵にかかり、雌だけが抱卵する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

特徴的な行動

ヒシクイの習性に類似する。主として夜間に農耕地で餌を漁り、昼間は広かつな湖沼や海上で休んでいることが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ハクガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 542₋543.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

関連情報

その他

近縁種にヒメハクガン C. rossii がいる。全長 53~66 cmの小型種で、カナダ北西地方の北極圏で繁殖し、北アメリカでは最も個体数の少ないガンの1つ。

ごく限られた場所で集中して越冬するため、病気や自然災害により大きな被害を受ける恐れがある。

また近年ハクガンと頻繁に交雑するようになり、毎年1400羽もの雑種が産まれていると推定されており、種の存続が危ぶまれボン条約附属書Ⅱ掲載種でもある。

ハクガンは日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約指定種、ボン条約附属書Ⅱ掲載種である。

参考文献

  • 吉井正 2005 ハクガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 380.

最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン

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