- 解説一覧
- アカツクシガモ(Tadorna ferruginea)について
アカツクシガモ(Tadorna ferruginea)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
【環境省】評価するだけの情報が不足している種
- 【 学名 】
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Tadorna ferruginea (Pallas, 1764)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:40.5~49.5 mm
・翼長:雄 341~383 mm 雌 307~357 mm
・跗蹠:53.5~66 mm
・尾長:105~150 mm
・体重:915~1640 g
・卵:長径 62~72 mm × 短径 45.5~50 mm 平均長径 67 mm × 短径 47 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカツクシガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 547-549.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の低・中緯度地方の中央部と地中海地域に繁殖分布し、冬はエジプト、ペルシャ湾、インド、中国南部、東南アジアなどに渡ってすごす。
日本には冬鳥として少数が渡来し、10月から翌年の3~4月ころまで見られる。
本州中部以南に現れることが多く、千葉、神奈川、長野、新潟、石川、愛知、和歌山、島根、香川、宮崎、沖縄などの各県に記録があり、1~4羽ぐらいのことが多いが、千葉県では13羽という記録がある。
希少種に指定されている。
参考文献
- 中村登流 1995 アカツクシガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 168.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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近縁種にネズミガシラアカツクシガモがいる。
参考文献
- 吉井正 2005 アカツクシガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 20.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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英名では Brahminy Duck ともいう
参考文献
- 吉井正 2005 アカツクシガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 20.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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カモ目 カモ科
参考文献
- 吉井正 2005 アカツクシガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 20.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額・頭上・後頭・後頸は赤錆色を帯びたクリーム色、頭側はクリーム白色である。
腮・喉・頬・耳羽は赤錆色を帯びたクリーム色、頸は同色で、下部には黒色の幅の狭い頸輪がある。
頸輪の各羽は赤錆色を帯びたクリーム色で、羽端だけ黒色である。
翕・肩羽・胸・腹・脇は赤錆色、背・上腰は黒色で、黄味がかった赤錆色の細かい波形の横縞が多数あり、下部ほど黒色勝ちで、下腰と上尾筒は黒色で、緑色の金属光沢がある。
下尾筒は濃赤錆色である。下雨覆、腋羽は白色。初列風切は黒色で、緑色の金属光沢がある。
次列風切の内弁は黒褐色で、基部は白色、外弁は緑菫色で、ブロンズ様の金属光沢がある。
三列風切は赤錆色であるが、内弁の色は淡く、一部分は灰色を呈している。
大、中、小雨覆はクリーム白色で、大雨覆の内弁は一部または全部石盤灰色である。
初列雨覆、小翼羽は黒色で緑色の金属光沢がある。尾も同様である。
嘴色は黒色、虹彩は褐色、脚色は黒色。尾羽の数は14枚である。
【雌】
顔が雄よりも白色勝ちで、頸には雄にある黒色の頸輪を欠く。ほかは雄に酷似している。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカツクシガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 547-549.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が生え、前頭、眼先、頬、幅の狭い眉斑などは白色、頭上、後頸および翕の中央、背および腰の中央、翼の横帯、腿の後方などは淡チョコレート褐色で、背および腰の両側には白色の不規則な線になった斑がある。
体の下面はすべて白色である。
【幼鳥】
頭上・頸は灰黄色を帯び、肩羽と三列風切は褐色で、各羽には淡黄褐色の羽縁があり、雨覆羽の先端と羽縁とは灰色である。
体の下面の各羽には白色の縁がある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカツクシガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 547-549.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵はクリーム白色で斑紋を欠く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカツクシガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 547-549.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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内陸の海水域、湖沼の沿岸、塩湖、河川、池沼、湿地にすみ、標高 5000 mの高原や山地でも見られる。
カモ類の中では比較的水に依存しない鳥だが、近くに浅くて塩分を含んだ湖水が必要で、草原や半沙漠地帯の小さい池や河川のあるところにもいる。
渡り期や越冬期に現れる場所は繁殖地に類似したところで、広々とした開闊地の、浅く水につかる湖沼のふち、河口部、潟湖、溜池などの砂泥地で見られる。
参考文献
- 中村登流 1995 アカツクシガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 168.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 食性
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浅く水につかる砂泥地で採食する。
湿った土を掘り返したり、頭を水中に入れて歩きながらグチャグチャついばんだり、水底にくちばしをもってくために逆立ちをしたりする。
雑食性で、草や水草を食いちぎったり、種子を食べたり、また昆虫、甲殻類、貝類、ときには小魚やカエルまで食べる。
参考文献
- 中村登流 1995 アカツクシガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 168.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繫殖期は4~6月、一夫一妻で繁殖する。
巣は、砂丘や樹木、岩の割れ目などの自然洞、哺乳類の穴、巣箱などを利用する。
それらの中に浅い窪みを掘り、雌が辞意分の綿毛で内張りをしてつくる。
1巣卵数は8~9個、16個以上のものは2羽以上の雌が産んだものと思われる。
抱卵は雌のみが行い、早成性の離巣性で、雛は28~29日ぐらいで孵化する。両親が世話をする。
ツクシガモのように両親が早く雛から離れるわけではないが、同じ繁殖地で生まれた雛たちはクレイシのように集まって一緒になる(Cramp & Simmons, 1977)。
雛は55日ぐらいで独立する。
参考文献
- 中村登流 1995 アカツクシガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 168.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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グワー、グワーまたはクロ―と啼き、警戒時にはホーまたはホー、ホーと啼く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アカツクシガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 547-549.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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非繫殖期は家族群またはルーズな群れ生活で、数千羽になることもある。
巣を離れた後、家族はかぎられた地域で採食や休息をするが、少数の成鳥を含むクレイシに集合する地域も限られている。
渡りは、家族群か番で、あるいは小群であることが多い。野外での繁殖期の様子はよくわかっていない。
巣穴は比較的近い場所に集中していて、集まって繫殖するものもいるが、一方では離れて繁殖するものもある。
なわばりは強いが、巣場所だけである。
脅しのディスプレイは、翼を半開きにして尾羽を開き、首を上方に伸ばして嘴を上に向けてコーリングする。
繫殖に入るものは2年鳥以上のものらしく、繫殖に入らないものは群れですごしている。
飼育下で見られた番形成の行動は雌からはじめる。雌は雄に触れるようにしてそそのかし、雄がそれに応じていく。
頭を持ち上げて背後にゆすり、尾羽を持ち上げてコーリングするディスプレイがある(Cramp & Simmons, 1977)。
参考文献
- 中村登流 1995 アカツクシガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 168.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ