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- マガモ(Anas platyrhynchos)について
マガモ(Anas platyrhynchos)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Anas platyrhynchos Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:43.5~64 mm
・翼長:雄 245~300 mm 雌 239~275 mm
・跗蹠:40~51.5 mm
・尾長:74~99 mm
・体重:雄 911~1500 g 雌 690~1316 g
・卵:長径 53.5~61.5 mm × 短径 39~43 mm 平均長径 57.1 mm × 短径 41 mm 重量 42~56 g
参考文献
- 清棲幸保 1955 マガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 551-554.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く繁殖分布し、冬は両大陸南部やアフリカ大陸北部、東南アジアなどに渡ってすごす。
日本では大部分が冬鳥として全土に越冬するが、北海道、本州各地、対馬などに少数の繁殖記録があり、本州中部山岳地帯の上高地にはかなりの数が例年繁殖している。
ごくふつうに見られるカモである。
参考文献
- 中村登流 1995 マガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 12.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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グリーンランドマガモ、フロリダマガモ、マダラマガモ、メキシコマガモ
参考文献
- 吉井正 2005 マガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 461-462.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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カモ目 カモ科
参考文献
- 吉井正 2005 マガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 461-462.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄 冬羽】
頭部は黒色で濃緑色の金属光沢があり、頭上、頭側は光線の具合で藍紫色の金属光沢を発する。
頸も同色で、背および胸の境には白色の頸輪がある。胸は栗色で、羽換直後のものは各羽に白色の縁がある。
背、肩羽は灰褐色で、灰白色の波形の細い横縞が多数密在する。
腹、脇は淡灰色で白色の波形の細かい横縞が多数密在し、春季は田渋が染みて赤褐色を帯びるものが多い。
腰、上尾筒は光沢のある黒色、下尾筒の前半部は黒色で、後半部は白色である。
下雨覆、腋羽は白色。初列風切、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は灰褐色。
次列風切の内弁は灰褐色、外弁は藍光沢のある紫色で、羽端には白色、次には黒色の帯がある。
三列風切の内弁は灰色、外弁は暗褐色で、外側の三列風切は黒色である。大雨覆は灰褐色で羽端には黒色、次には白色の帯がある。
尾の中央以外の尾羽は灰色で、各羽には白色の幅の広い縁があり、所々に灰色の小斑点が散在している。
中央の尾羽は藍紫光沢のある黒色で、先端は細く上方に巻きあがっている。尾羽の数は20枚が常で、稀に18枚のものもある。
嘴色は雄が黄緑色で、先端は黒色、雌が灰緑色、先端は黒色、側縁と先端の後方および下嘴は黄赤色。虹彩は褐色、脚色は黄赤色。
【雌】
額、頭上、後頭、後頸は黒褐色で各羽には赤錆色を帯びた褐色の羽縁がある。
頭側、耳羽、頬、頸も同色であるが全体に色が淡い。眼先から眼の後方まで黒色の過眼線が入っている。
腮、喉はクリーム色。背、肩羽は赤錆色を帯びた褐色で、各羽の中央には黒褐色の馬蹄形の斑がある。
胸、腹、脇は淡赤錆色を帯びた淡褐色で、各羽には黒褐色の軸斑があり、腰、上尾筒、下尾筒は黒褐色で、各羽には赤錆色を帯びた褐色の縁がある。
大、中、小雨覆の各羽には淡灰色の羽縁がある。
尾は黒褐色で、各羽には淡赤錆色を帯びた淡褐色の馬蹄形の班があり、同色の羽縁がある。
尾羽の数は18枚が常で、稀に20~21枚または19枚のものもある。
【雄 夏羽】
雌に類似するが、頭上は黒色、喉は赤褐色で黒色の縦斑がある。
背は暗褐色で、各羽にはわずかに淡色の縁があり、雨覆羽は灰色勝ちで各羽には淡色の縁がない。嘴は暗オリーブ緑色である。
参考文献
- 吉井正 2005 マガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 461-462.
- 清棲幸保 1955 マガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 551-554.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に綿羽が生え、眼先、頬、眉斑、頸側などは淡黄褐色で、眼先から眼の後方まで暗褐色の過眼線が走り、その下部の頬および觜の両側にも同色の線になった小斑がある。
頭上、後頭、翼、背、腰、腿の後方などはオリーヴ色を帯びた黒褐色で、黄色を帯びた長い綿毛が所々に生え背および腰の両側、翼などには淡黄色を帯びたクリーム色の斑紋がある。
体の下面は淡黄褐色を帯びたクリーム色で、胸と腹はクリーム黄色を帯びている。
参考文献
- 清棲幸保 1955 マガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 551-554.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 似ている種 (間違えやすい種)
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マルガモ
参考文献
- 吉井正 2005 マガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 461-462.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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日本には冬鳥として渡来し、河川、湖沼、ダム湖、沿岸の海上、干潟、入江など、いろいろな水系、とくに内陸の水系で見られる。
繁殖地では、淡水系で水ぎわに草むらや藪の多いところにすむ。
参考文献
- 吉井正 2005 マガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 461-462.
- 中村登流 1995 マガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 12.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 食性
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雑食性で、イネ、ノビエ、ヒエ、イヌアワ、または水草の葉・茎・種子などの植物食が主である。
昆虫ではミズスマシ、ゲンゴロウ、タガメ、ほかにもドジョウやカニ、タニシ、シジミなども食す。越冬地では、狩猟圧のため夜行性である。
湿地や水田を歩きながら拾い食べたり、水面に浮いてくちばしを水平に近づけ、グチャグチャと動かしてこしとるようにする。
また浅い水域で首を水底に入れたり、しばしば逆立ちして上半身を水中に入れ、水底の水草を食べる。潜水して食べることはない。
参考文献
- 中村登流 1995 マガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 12.
- 清棲幸保 1955 マガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 551-554.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は4~8月、一夫一妻で繁殖するが、番の関係は抱卵期に解消する。番の形成は秋から春にかけて、越冬地で行われる。
巣は、水辺の草むらや藪の下の浅い窪みに草の葉などを敷いた皿形で、雌のみでつくる。
産座に自分の胸や腹の綿毛を敷く。1巣卵数は6~12個、雌のみが抱卵し、雛は28~29日ぐらいで孵化する。
雛は厚い幼綿羽で覆われ、早成性の離巣性である。雌のみが世話をし、50~60日ぐらいで親元を離れる。
参考文献
- 中村登流 1995 マガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 12.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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水面を泳いでいるときには雄雌互いにクヮッ、クヮッ、クヮッと啼き、ときどきグェー、グェー、グェー、グェーと高啼きし、飛翔中にはクヮッ、クヮッまたはグェッ、グェッと小声で啼き、飛び立つときにはグェッ、グェッと啼きながら舞い上がるのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 マガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 551-554.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期には番で分散する。雛のころから雄のほうが多く、その後の死亡により越冬地では雄のほうが多い。
冬は群れをつくり、日中の休息群は水面の大きさに応じて大群となる。
ワシやタカなどに襲われると湖沼の真ん中に密集群をつくる。10月ごろから翌年の3月ごろまで雄の求愛のグループディスプレイがある。
2~10羽ぐらいの雄が集まり、1~2羽の雌の周りを泳ぎ回り、くちばしで水をかけるしぐさから始まり、頭を上げて急に縮め、尻を上げるディスプレイをする。
参考文献
- 中村登流 1995 マガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 12.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ