- 解説一覧
- ヒドリガモ(Anas penelope)について
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:雄 32.5~38 mm 雌 28.5~37.5 mm
・翼長:雄 242~272 mm 雌 220~258 mm
・跗蹠:34~41 mm
・尾長:77~120 mm
・体重:雄 593~952 g 雌 563~881 g
・卵:長径 49.2~59.9 mm×短径 34.7~42.1 mm 平均長径 53.9 mm×短径 38.2 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方に広く繁殖分布し、冬は同大陸南部、アフリカ大陸西・東部に渡ってすごす。
日本では全土に冬鳥として現れて越冬する。9月から翌年の3~4月までふつうに見られるカモである。
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形態
- 成鳥の形質
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【雄 冬羽】
額、頭上はクリーム色または赤錆色を帯びたクリーム色で、それ以外の頭部は栗色を呈し、後頭、頭側の各羽の先端には黒色の小斑があり、眼の後方の各羽は先端が緑色で、腮の各羽は先端が黒色である。
背、肩羽、腰は白色で、微細な黒色の横縞が多数密在し、胸は灰色を帯びた赤葡萄酒色、腹は白色、脇は白色で微細な黒色の横縞が多数密在している。
上尾筒は白色で、中央の各羽は白色を呈し、黒褐色の横縞が多数密在している。
下尾筒は黒色。下雨覆は淡灰色、腋羽は灰色で、白色が混じっている。
風切羽は灰褐色で、次列風切の内側のものの外弁は白色、中央のものの外弁は金属光沢のある緑色で、先端近くは黒色を呈し、外側のものは灰褐色である。
三列風切の外弁は黒色で、ときには緑色の金属光沢があるものもあり、外縁は白色である。
大雨覆は白色で、各羽端には黒色の縁があり、中雨覆は白色、小雨覆は灰色で、白色の微細な斑がある。
初列雨覆、小翼羽は灰褐色である。尾は暗灰色で、外側の尾羽には白色の外縁がある。
嘴色は雄の場合は鉛灰色で、先端は黒色。雌の嘴色は雄よりも暗色。
虹彩は褐色、または赤褐色。脚色は緑灰色、趾膜は大部分が石盤灰色。尾羽の数は14~16枚。
【雌】
頭部、頸は個体によって灰褐色、黄褐色、または赤褐色で、黒色の小斑と斑紋がある。
背は褐色で、翕には赤褐色の縁と同色の横斑とがあり、下背には灰褐色の縁がある。
胸は赤錆色を帯びた褐色、腰、上尾筒は褐色で、赤錆色の横斑があり、腰の各羽には白色に近い色の縁がある。
体の下面は白色で、ときには褐色の斑があるものもある。下尾筒は白色で、褐色の斑がある。
次列風切の外弁は灰黒色から黒色までの各種の色で、ときには緑色の金属光沢のあるものもある。
雨覆羽は灰褐色で、白色または白色に近い色の縁がある。
【雄 夏羽】
頭部、頸は赤錆色で、黒色の斑があり、雌の赤褐色を帯びたものに類似している。
体の上面は濃褐色で、赤錆色の横斑があり、所々に灰色と白色の横縞がある。翼は雄の冬羽と同じである。
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- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、眉斑、頬、頸側などは赤錆色を帯びた淡褐色で、眼先から眼の下まで暗色の線が走り、腮と喉はクリーム色、前頸は赤錆色を帯びたクリーム色である。
体の上部は黒褐色で、赤錆色を帯びたクリーム色の長い綿毛が所々に生え、翼、背および腰の両側には赤錆色を帯びたクリーム色の斑がある。
胸以下の体の下面は淡黄褐色を帯びたクリーム色である。
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生態
- 生息環境
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本邦には冬鳥として渡来し、水の流れる河川、ダム湖、湖沼、浅い海湾などですごす。
極地や亜寒帯の繁殖地では、森林地帯やツンドラ地帯の湿地で大小の湖沼が多いところの淡水系で見られ、富栄養や貧栄養の水系よりも中栄養の水系を好む。
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- 食性
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冬は浅い湖上や川の流心部に出て、泳ぎ回りながら水藻類、海藻類、水生昆虫などを水面でついばむ。
日中に盛んに採食するが、夜間に陸地に飛来して稲田や沼沢で餌を捜し求めることもある。
しばしば、オオバンなどのように浅い水中に潜って水草をとって浮き上がる鳥の周辺に集まり、浮いてくるものを拾ったり直接奪い取ったりする。
長い頸を水底まで入れるハクチョウやガン類の周りにも集まる。
主として植物食で、アオノリも好んで採食することから海苔養殖に被害を与えることがある。
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- ライフサイクル
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繁殖期は4~5月、一夫一妻で繁殖する。番は抱卵期に解消される。
巣は、水辺の草むらや藪の下に浅い皿形につくり、枯れ草や茎を敷く。
雌のみがつくり、産座に自分の胸や腹の綿毛を敷く。1巣卵数は6~12個、雌のみが抱卵し、雛の世話をする。
雛は24~25日ぐらいで孵化し、40~45日ぐらいで親から離れる。雛は厚い幼綿羽で覆われ、早成性の離巣性である。
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- 特徴的な行動
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繁殖期には番で分散する。コロニー状にはならないが、小さい島ではかなりの個体が集まる。
冬は25~30羽ぐらいの小群で見られることが多いが、数百羽の大群になることもある。
冬の群れの間で、番の形成のための雄のグループディスプレイがある。
このディスプレイパターンはマガモのように発達したものではなく、しばしば雄どうしの脅しのディスプレイに使われるのと同じパターンで、首を縮めてくちばしを斜め上に向け、ピウッと叫びながら翼先を少しもちあげ、次列風切羽の白紋を見せる。
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- その他生態
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首を縮めた姿勢で水上を巧みに泳ぎ、頭部だけを水中に入れたり体を逆立ちさせたりして餌を漁る。
干潮時に干潟で両脚を交互にして歩みつつ餌を探すこともあり、ときには迅速に走ることもある。
銃傷を負ったとき以外には深く潜水することはない。
陸上や水上から直ぐ飛立ち、飛翔時にはフィッ、フィッ、フィッ、フィッと烈しく羽音を立てて、迅速に飛び、ときには急転回をすることがある。
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