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ヒメハジロ(Bucephala albeola)の分類 カモ科(Anatidae)
ヒメハジロ(Bucephala albeola)の概要 ホオジロガモ属(Bucephala)

ヒメハジロ(Bucephala albeola)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Bucephala albeola (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:23~30.5 mm
・翼長:雄 163~170 mm 雌 151~160 mm
・跗蹠:28.5~30 mm
・尾長:61.5~76 mm
・体重:250~540 g
・卵:長径 49.1~55 mm×短径 34.7~38.2 mm  平均長径 51.4 mm×短径 34.7 mm

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最終更新日:2020-07-29 キノボリトカゲ

分布

新北区。北アメリカ大陸の中・高緯度地方に繁殖分布し、冬は同大陸南部から北部の太平洋沿岸、アリューシャン列島にかけての地域に渡ってすごす。

日本にはまれな冬鳥として、主に北海道、本州北部に現れ、1~3月にかけての記録が多い。

北海道では網走、宗谷、根室、釧路の各地に、本州では青森、岩手、宮城、千葉、新潟などの各県に現れている。

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分類学的位置付け

ガンカモ科

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形態

成鳥の形質

【雄冬羽】
額・眼先は緑色の金属光沢のある黒色、頭上・額・腮・喉は紫色の金属光沢のある黒色であるが、顔には眼の後方、耳羽の上方および後頭にかけ白色の大きな斑紋がある。

後頸の前半部は緑色の金属光沢のある黒色、その基半部および前頸は純白色である。

背は黒色、肩羽の内側のものは濃黒色、外側のものは純白色である。

胸・腹・脇・下尾筒は純白色であるが、下腹は灰色を帯びている。腰は黒色、上尾筒は淡灰色である。

下雨覆・腋羽は黒褐色で所々白色である。

初列風切は黒褐色、次列風切も黒褐色であるが、中央ものの外弁と内弁の先端とは純白色である。

三列風切は濃黒色、大・中・小雨覆は黒褐色で、各羽縁は輪をなして白色である。

初列雨覆・小翼羽は黒褐色、尾は灰褐色である。嘴色は暗青色、虹彩は暗褐色、脚色は赤色。趾膜は褐色を帯びている。

【雌冬羽】
頭・頸部は暗褐色で、顔には白色の細長い斑がある。

体の上面は暗灰褐色で、下背・腰は黒色が勝ち、上尾筒は灰色勝ちである。

体の下面は純白色で、上胸・脇・下腹は灰褐色を帯びる。

次列風切の外弁の大部分は純白色、大雨覆の各羽の先端には多少白色の斑がある。ほかは雄と類似する。尾羽の数は16枚。

【雄夏羽】
雌に類似する。

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最終更新日:2020-07-29 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は綿羽が密生し、体の上部、眼先、頭上、眼の下などは煤けた暗褐色で、背、翼、腰の両側には白色を帯びた帯や斑紋がある。

頬・頸側・腮・喉は白色で、上胸、体側、下尾筒などは灰褐色または暗褐色で、そのほかの体の下面は灰白色である。

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卵の形質

卵はクリーム色またはオリーブ色を帯びたクリーム色で斑紋を欠く。

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生態

生息環境

繁殖地では、近くに温帯樹林がある中栄養的な池や湖沼にすむ。

少なくとも 3 mぐらいの深さの内水面があることと、営巣場所となるハシボソキツツキ属の巣穴があることが重要な条件である(Palmer, 1976 ; Johnsgard, 1978)。

渡り期には浅い淡水域や塩水域に現れ、越冬地では周りが密林で覆われた淡水域や海水域、また入江の河口部や港湾などの水域ですごす。

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食性

淡水域では、水生昆虫や水生無脊椎動物の豊かなところで潜水して採食し、淡水生の巻貝類や二枚貝などもかなり食べる。

冬は入江や河口部で盛んに潜水して、甲殻類や軟体動物、小魚をとって食べる。

砂浜や磯で水中に潜り、海水生の二枚貝や巻貝類もかなり食べる。5 mぐらいまで潜る。

また、岩手県宮古市の観察では、サケの漁場で水底に横たわる死体を盛んに潜って採食していた。

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鳴き声

グルル、グルルと啼き、雌が巣とする樹洞を探すときにはクック、クック、クック、クックと啼く。

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特徴的な行動

繁殖期は5~7月ごろ、一夫一妻で繁殖するが、番の関係は抱卵期に消滅する(Palmer, 1976)。

巣は樹洞のキツツキの古巣などにつくる。1巣卵数は8~9個、抱卵は雌のみが行う。

雛は約30日ぐらいで孵化する。早成性の離巣性で、雛は巣から地上に飛び降りる。

雄はいなくなるので、雛を育てるためのなわばり防衛は雌が行う。雛がほかの家族に入っていることがかなりあるらしい。

またひとつの家族に2羽の雌がいることもある(Johnsgard, 1978)。

雛は50~55日ぐらいで独立するが、まだ十分飛べないうちに雌親は雛を置いて立ち去ると考えられる(Johnsgard, 1978)。

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その他生態

非繁殖期には、群れまたは小群でいることが多く、あまり大きい群れはつくらない。

番の形成はなわばりの設立より早く、冬の群れの中で始まる。繁殖期のなわばりは、小さい池全体や、湖岸の 数百 mである。

近い巣は同じ木の樹洞にあることもあって、巣そのものは防衛してないらしく、なわばりは巣の近くの水域の方であるらしい(Palmer, 1976)。

雄が去ると、雛を育てる水域を雌が防衛する。

水域には雄だけの小群がみられたり、なわばりのない水域に非繁殖鳥の群れが見られる。

番の形成は1羽の雌をめぐっていくつかの雄のグループディスプレイで行われる。

そこで雄は、頭を低めた姿勢で前進したり、水中に潜ったり、飛び立ってはすぐおりたりと、活発に動き回る。

そして冠羽を起こして低めていた頭を急に伸ばすディスプレイを盛んに行う。

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種・分類一覧