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コオリガモ(Clangula hyemalis)の分類 カモ科(Anatidae)
コオリガモ(Clangula hyemalis)の概要 コオリガモ属(Clangula)

コオリガモ(Clangula hyemalis)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Clangula hyemalis (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:24~29 mm
・翼長:雄 210~236 mm 雌 195~215 mm  
・跗蹠:31.5~37 mm
・尾長:雄 168~250 mm 雌 57~76 mm
・体重:469~1080 g
・卵:長径 48.8~59.5 mm×短径 34.4~40.5 mm 平均長径 53.7 mm×短径 38.2 mm

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏。

グリーンランドで繁殖し、最も北部に分布するカモである。

冬は両大陸の中・高緯度地方に南下してすごし、あまり南方には渡らない。

日本では本州北部以北に冬鳥として現れ、少数はもう少し南下する。

これまでの本州での南眼は、日本海側では富山県、大平洋側では愛知県である。

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別名・方言名

大きな声でアオアオ―と鳴くので、北海道ではアオナと呼ぶ。

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分類学的位置付け

カモ目 カモ科

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形態

成鳥の形質

生殖羽は頭から頸が白く、眼の周囲は淡灰褐色。耳羽後方から頸側に大きな黒褐色斑がある。

胸から背・翼および腰から中央尾羽は黒色で、中央尾羽はとくに長くのびる。

肩羽と腹から下尾筒・外側尾羽は白色。脇はやや灰色をおびる。嘴は黒灰色で中ほどに淡紅色の帯がある。

虹彩は濁橙黄色。足は暗灰色。非生殖羽は頭部から胸と上面が黒色で、下面は白色。

嘴基部から眼の周囲は白色で前方は暗灰色。後頭に小白斑がある。肩羽は蓑状で黒褐色に褐色の羽縁がある。

尾は中央が黒色で外側は白色、中央尾羽はとくに長くのびる。雌の非生殖羽は頭部が黒褐色で眼の後方に細い白色の線があり、白色の首輪がある。

胸と上面は黒褐色で羽縁は褐色。下面は白色。尾は黒色。虹彩は暗褐色。嘴は暗灰色。

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幼鳥の形質

孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭上、頬、体の上面、体側、腿などは黒褐色で、体の上面には淡色の斑がなく、所々に生えている綿毛の先端だけが黄褐色である。

眼先にはクリーム色の斑があり、眼の下には明瞭な小白斑があり、眼の上方には不明な小白斑があり、眼の後方から後頭まで白色の線が走っている。

上胸は暗褐色で、それ以下の体の下面は灰白色である。体の下面の綿羽の各基部は暗褐色である。

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卵の形質

卵は緑色を帯びた灰色かまたは淡黄褐色で斑紋を欠く。

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生態

生息環境

冬は海岸沿岸の洋上の岩礁地帯でよく見られ、漁港にも入ってくる。

沿岸から少し離れた洋上で休息し、採食のため岩礁地帯や砂浜地帯に近づく。

繁殖地では、湖沼の多い内陸のツンドラ地帯に入る。また沿岸の島やデルタ地帯、岬、フィヨルドの上などにもすむ。

湿地や池沼の多いツンドラの中の凸部になった乾いたところに営巣する。

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食性

沿岸で盛んに潜水して甲殻類や軟体動物を食べる。

水中には 3~10 mぐらいまで入り、30~60秒ぐらい潜る。雛は夏の淡水で水生昆虫を食べる。

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ライフサイクル

繁殖期は5~7月で、短期的な一夫一妻で繁殖期する。

巣は藪の茂みの下や岩の割れ目の中などの窪みにつくり、植物片や羽毛で内張りをする。巣は雌がつくる。

1巣卵数は6~9個、雌のみが抱卵し、24~29日ぐらいで孵化する。

雛は早成性の離巣性で、雌のみの世話で育ち、35~40日ぐらいで独立する。

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鳴き声

オウ、オウ、オウルオウまたはアオ、アオ、アオウル、アオなどと啼く。

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特徴的な行動

非繁殖期には群れる。休息集団は数百羽~数千羽の大群になる。繁殖地には小群で現れ、雪解けとともに分散する。

雄はなわばりを防衛するが、雌はその中で巣をつくるわけではなく、ほかの雌の巣の近くで営巣する傾向があり、このためコロニアルになる(Cramp & Simmons, 1977)。

雄はむしろ雌の周りを防衛するだけで、抱卵期に入ると繁殖地から立ち去る。

孵化した雛たちは次第に集合して20~30羽ぐらいになり、1~2羽の雌が世話をしているので、多少ともクレイシの傾向があるらしい(Cramp & Simmons, 1977)。

巣はよく分散するかルーズなコロニーで、これは水域の大きさによるらしく、小さい池では1番しかいないが、大きい池では数番がいる。

番の形成は冬から始まり、雌をとり巻く10~15羽ぐらいの雄によるグループディスプレイが行われる。

雄は頭の羽毛を起こし、首を伸ばしたり尾羽を立てたり、頭をもち上げてすばやく背の上方に投げるように動かす。

また、頭をもち上げて前方にすばやく泳ぎ、急に尾羽を立てて尻を上方にもち上げ、脚で水を蹴るようなディスプレイもする。

さらに、ときどき水面に立ち上がってはばたいたり、短い飛翔を止めて、水しぶきをあげて落ちながら、雌に向かって黒い胸を示すような行動をとる(Cramp & Simmons, 1977)。

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