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シノリガモ(Histrionicus histrionicus)の分類 カモ科(Anatidae)
シノリガモ(Histrionicus histrionicus)の概要 シノリガモ属(Histrionicus)

シノリガモ(Histrionicus histrionicus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Histrionicus histrionicus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:26~30 mm
・翼長:183~210 mm  
・跗蹠:34~39 mm
・尾長:86~107 mm 
・体重:491~698 g
・卵:長径 53.6~62.4 mm×短径 38.7~44.5 mm 平均長径 58.2 mm×短径 41.9 mm

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸東部と北アメリカ大陸の高緯度地方に繁殖分布し、冬は幾分南方に渡る。

日本では大部分が冬鳥として九州北部以北に現れるが、とくに本州北部と北海道に多い。

少数は本州北部で繁殖し、北海道でも夏に繁殖が確認されている。

1976年に青森県で雛を連れた雌が発見され、1978年に青森県と宮城県で雛を連れた雌が見られた。

また、1980年に水没した巣が発見され、1981年に宮城県で巣卵と抱卵する雌が確認された(佐藤・小湊, 1988)。

希少種に指定されている。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

カモ目 カモ科

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

生殖羽は頭部から背と下面が青色光沢のある暗灰色。額から頭頂は黒色で脇に茶褐色の線がある。

嘴の基部から眼先、頭頂にかけて白色。

眼の後方に白色小斑、頸側に黒色線で囲まれた白色縦線、上胸と胸脇に黒色線で囲まれた白色縦線がある。

肩羽・三列風切・腰脇にも白斑がある。体側は赤褐色で、腰から上・下尾筒と尾は黒い。嘴は短く暗青灰色。

足は暗灰色。非生殖羽は雌に似るが濃色で、翼と胸脇の白斑は薄く残る。

雌は全体に黒褐色で、眼先の上下は白色で眼の後方に白色小斑がある。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭上、眼の下、後頸、体の上面、体側などは黒褐色で、散在する長い綿毛は淡黄褐色を帯びた褐色である。

眼の前方から前頭まで及び眼先と眼の下には白色の斑紋がある。

翼及び翼の後方にあたる背の両側には褐色を帯びた白色のやや不明瞭な斑があり、背の中央の両側即ち腿の上部にも白斑があるが、ときには不明瞭なことがある。

体の下面は白色で、喉と体側とは灰色を帯びている。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

卵の形質

卵はクリーム色または淡赤錆色を帯びたクリーム色などで、斑紋を欠く。

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生態

生息環境

冬は海岸の岩場や崖の多いところ、とくに岩礁地で見られる。

繁殖地は、河川の上流で滝と淵の連なる渓流である(佐藤・小湊, 1988)。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

食性

冬は荒波をかぶる岩礁地で、水中に潜水して採食する。

主に貝類、魚、甲殻類、ウニなどを食べ、繁殖地では水生昆虫、藻類などを食べる。

繁殖期の採食方法は3種類あり、水中に頭だけ入れてとったり、水ぎわの岩からこそぎとるように藻類をとったり、5~20秒ぐらいの水中に潜ったりする(佐藤・小湊, 1988)。

河川では、とくにブユの幼虫をよく食べる(Bardarson, 1986)。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~7月、短期的な一夫一妻で繁殖する。

巣は渓流からあまり離れていない場所にあり、草むらや岩陰、流路内の小島などの地上につくり、浅い窪みに羽毛の内張りがある。

1巣卵数は4~8個、抱卵や雛の世話はすべて雌のみで行う。雄は抱卵期の初めに群れになり、繁殖地を去る。

雛は28~29日ぐらいで孵化し、早成性の離巣性である。

雛が現れるころには繁殖に失敗した雌たちは群れになり、ほかの雌の雛を共同警戒するらしい(佐藤・小湊, 1988)。

雛は60~70日ぐらいで独立するが、その直前に雌親は去る(佐藤・小湊, 1988)。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

鳴き声

啼くことは稀であるが、雄はフィーと口笛の様な低い声で啼き、蕃殖期にはギィァ、ギィァと啼く。雌はグヮッ、グヮッ、グヮッと啼く。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

特徴的な行動

非繁殖期には5~30羽、ぐらいの群れで見られる。冬から春にかけて、群れの中で番形成のディスプレイが行われる。

5~9羽ぐらいの雄が、1羽の雌を囲んでコーリングしながら体を起こしてはばたいたり、短い飛翔を繰り返したりする。

頭を背の上にはね上げたり、くちばしを開いて上方に向けたり、頭を前方や下方に投げかけたりする(Palmer, 1976)。

会釈ディスプレイといわれるものは、頭を水面と平行させ、くちばしを水平位にして頭を楕円状に動かす(Cramp & Simmons, 1977)。

巣は十分に隔てて分散するが、なわばりははっきりせず、雄は雌の周りを防衛しているだけのようである。

豊かな水系に集中して、上流域に入る傾向がある(Cramp & Simmons, 1977;佐藤・小湊, 1988)。

宮城県花山村に所在する栗駒山の一迫川沿の湯ノ倉温泉付近では1973年から餌づけられ、毎年4月中旬から5月中旬までに3~4番が訪れる。

そして5月中・下旬に雄が雌を追い回す行動や交尾が見られ、6月中旬に雄は群れでいなくなる。

同じころ、孵化したばかりの雛を連れた雌が1~2家族で現れ、数週間すごしていったんいなくなる。

7月下旬にすっかり大きくなった雛が再び現れる(佐藤・小湊, 1988)。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

種・分類一覧