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コケワタガモ(Polysticta stelleri)の分類 カモ科(Anatidae)
コケワタガモ(Polysticta stelleri)の概要 コケワタガモ属(Polysticta)

コケワタガモ(Polysticta stelleri)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Polysticta stelleri (Pallas, 1769)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:37~42 mm
・翼長:雄 206~230 mm 雌 177~218 mm
・跗蹠:38~43 mm
・尾長:80~85 mm
・卵:長径 55.5~70.5 mm×短径 37~47.1 mm 平均長径 61.4 mm×短径 42 mm

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最終更新日:2020-08-13 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸西部と北アメリカ大陸東部の北極圏に繁殖分布し、アリューシャン列島、千島列島に渡って越冬する。

日本では数少ない冬鳥で、北海道の根室半島や襟裳岬にときどき現れる。本州の松島湾にも記録がある。

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分類学的位置付け

ガンガモ科

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形態

成鳥の形質

【雄冬羽】
頭部は白色で、眼先と額にはオリーブ緑色の斑があり、眼の後方から眼の下方までの眼の周囲には黒色の細い輪になった斑紋がある。

後頭にはオリーブ緑色の斑があり、その両側には黒色の斑がある。

腮・嘴は藍黒色、頸は上部は白色、前頸およびその下部は銅鉄様の金属光沢のある藍黒色である。

背の中央は藍黒色、左右は淡赤錆色を帯びた黄褐色である。

肩羽は細長い洋鎌形で、各羽の外弁は銅鉄様の金属光沢のある藍黒色、内弁は純白色である。

胸・腹は黄色を帯びた赤錆色で腹の中央は褐色が強く下方ほど暗色勝ちで、下腹では黒褐色を呈している。

腰・上尾筒は藍黒色、下尾筒は黒色である。下雨覆・腋羽は純白色。

初列風切は暗褐色、次列風切の外弁は濃紫藍色で、外側のものほど黒色に近く、内弁は褐色である。内・外弁の先端には白色の幅広い縁がある。

三列風切は細長い洋鎌形で、各羽の外弁は銅鉄様の金属光沢のある藍黒色で先端には白色の縁があり、内弁は純白色を呈している。

大・中・小雨覆は白色、初列雨覆・小翼羽は暗褐色である。

尾は黒褐色である。嘴色は鉛色、先端は白色。虹彩は暗褐色。脚色は暗鉛色、趾膜は黒灰色。尾羽の数は14枚。

【雌】
頭部の各羽は黒褐色で、赤錆色の縁があり、腮と喉・胸は褐色で、腮と喉の両側は淡赤錆色を帯び、下喉と前胸は赤錆色が強く、暗色または黒色の不規則な帯や線をなした斑紋がある。

翕・頸は黒褐色で、波形の赤錆色の横縞があり、体の上面は黒褐色で各羽には赤錆色の縁があるが、後背と腰では赤錆色の縁が不明瞭であるかまたはそれを欠くものが多く、上尾筒は一様に黒褐色である。

体の下面は褐色で、暗色または黒色の帯びや線をなした斑があり、下方部ほど暗色勝ちで下腹以下は黒褐色である。

翼は雄に類似しているが、次列風切は無光沢の藍色で、先端には白色の小斑点があり、三列風切は雄の様に長くなく、色は類似しているが、一部分は灰色を帯び、最長のものには灰白色の軸線がある。

雨覆羽は暗褐色で、不明瞭な淡色の縁がある。大雨覆の先端には白色の斑点がある。

下雨覆と翼縁は褐色、腋羽は白色である。尾は雄と同様である。

【雄夏羽】
雌に類似するが、翼は雄の冬羽のままである。

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最終更新日:2020-08-13 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、体の上面と体側は暗褐色で、眼先は淡褐色で、眼先は淡褐色、眼の上下部縁は細く白色で、眼の後方には淡黄褐色を帯びた白色の眉斑がある。

顔の両側および前頸は暗褐色を呈し、体の下面は灰褐色であるが、腮は色が淡く、下尾筒は暗褐色である。

【幼鳥】
体の上面は黒褐色で赤錆色を帯びた褐色の縁がある。頭・腮・頸はそれより色が淡く白色勝ちである。

体の下面の各羽の基部は淡灰褐色、次は淡褐色、その次は暗褐色を呈し、先端は赤錆色である。

次列風切は黒褐色で、藍色を帯びたものと帯びないものがあり、先端には白色の細い縁がある。大雨覆の先端にも白色の細い縁がある。

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卵の形質

卵は淡黄色を帯びた淡オリーブ色、またはオリーブ色を帯びた淡黄褐色で斑紋を欠くが、ときには緑色を帯びたものもある。

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生態

生息環境

海岸近くの洋上、崖地近くの岩礁地帯で見られる。潮干帯や潟湖に入ることもある。

繁殖地では内陸に入り、池沼の多いツンドラ地帯の中の乾いたところで草や地衣類が多い砂礫地に営巣する。

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食性

岩礁地で潜水して、小さい軟体動物や甲殻類を採食する。

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鳴き声

雌はヒドリガモ(雌)の声に類似した唸るような声で啼き、雄はごく低い声で啼く。

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最終更新日:2020-08-13 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期は6月~8月、短期的な一夫一妻で繁殖する。巣は水辺から 2~3 m以内の地上の草むらの間の窪みにつくり、羽毛で内張りをする。

1巣卵数は7~8個、雌のみが抱卵する。雄は抱卵の初期まで近くで見張っているが、その後繁殖地を立ち去る。

抱卵期間はわかっていない。孵化した雛は早成性の離巣性で、雌のみの世話で育つが、育雛期間もわかっていない。

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その他生態

非繁殖期には10~40羽ぐらいの小群でみられるが、大群に集まることもある。

繁殖期は番に分散し、コロニーにはならない。なわばりなどあまりよくわかっていない。

番形成のグループディスプレイが知られており、3~7羽ぐらいの雄が1羽の雌を取り巻いて相互に追いあい、短い飛翔をしたり戦ったりする。

頭を振り向けたり、嘴を速やかに上に向けて背伸びをしたり、頭を前後や左右に振ったりする(Palmer, 1976)。

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最終更新日:2020-08-13 キノボリトカゲ

種・分類一覧