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アラナミキンクロ(Melanitta perspicillata)の分類 カモ科(Anatidae)
アラナミキンクロ(Melanitta perspicillata)の概要 ビロードキンクロ属(Melanitta)

アラナミキンクロ(Melanitta perspicillata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Melanitta perspicillata (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・全長:46~55 cm

参考文献

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

分布

新北区、北アメリカ大陸の高緯度地方に繁殖分布し、冬はアリューシャン列島から同大陸の中緯度地方の沿岸に南下してすごす。

日本にはごくまれな迷鳥または冬鳥として、北海道、本州中部以北に渡来する。

北海道では根室半島の納沙布岬・花咲港・落石岬・浦河郡浦河港、本州では岩手県宮古湾、茨城県の沖合などに記録があり、いずれも1~3月に見られる。

参考文献

  • 中村登流 1995 アラナミキンクロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 173.

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

カモ目 カモ科

参考文献

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
全身が光沢ある黒色で、額と後頭に白色斑がある。嘴は太く基部が隆起し、黄橙色で基部側面に黒色斑があり、その前方は鼻孔下まで白色。

虹彩は白色。足は橙赤色。

【雌】
全身に黒褐色で、眼の後方と前方に分かれた汚白斑があり、嘴は太く灰褐色。虹彩は暗褐色、足は橙色。

参考文献

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

生態

生息環境

繁殖地はあまりよくわかっていないが、森林地帯とそれにつづく半不毛地帯の淡水湖、池、川などの静かな流れのあるところの、藪や低木林、植林地などの乾いた場所と思われる。

越冬地はアラスカ東南部やカナダ西部の沿岸で大群ですごし、砂浜海岸や入江で見られる。

参考文献

  • 中村登流 1995 アラナミキンクロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 173.

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

食性

越冬地では、波のくだける海岸で 2~10 mの深さに潜水して採食する。ほとんど早朝と夕方に活動する。

貝食者で冬の採食の60%は二枚貝類であるが(Johnsgard, 1978)、ほかに甲殻類、昆虫、魚類、棘皮動物など、またアマモなどの植物質も食べる。

翼を閉じて、脚で水をかきながらほとんど垂直に水中に潜り、潜るときに小翼羽を広げる。

おそらく翼を使って泳ぐことはない。10 mぐらい潜り、垂直に浮上し、浮上したときにくちばしを胸につけている(Palmer, 1976)。

クロガモ属(Melanitta)の3種は越冬地でしばしば一緒にいるが、アラナミキンクロはクロガモやビロードキンクロよりも沿岸に近いところで採食し、二枚貝食ではあるが、クロガモなどよりもっと幅広くいろいろなものを食べる(Johnsgard, 1978)。

参考文献

  • 中村登流 1995 アラナミキンクロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 173.

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖についての詳しいことはまだわかっていない。繁殖期は6~7月頃、多分一夫一妻で繁殖する。

巣は水からかなり離れたところにあるらしく、針葉樹の大枝の下や、藪、草などによく覆われた地上につくり、巣内に羽毛を敷く。

1巣卵数は5~7個、抱卵は雌のみが行い、多分ほかのクロガモ類と同じ27~28日ぐらいであろう。

雄は雛の孵化より前に営巣地からいなくなり、換羽地に去る。

雛たちも幾家族かで集まるらしく、2羽の雌がこうした雛を世話している観察がある。

また、雛が飛べるようになる前に雌親も立ち去るらしい(Palmer, 1976)。

雛は早成性の離巣性で、自分で採食できるが、期間などの詳しいことはまだわかっていない。

参考文献

  • 中村登流 1995 アラナミキンクロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 173.

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

その他生態

非繁殖期には群れる。越冬地では40羽以下の小群ですごすが、渡り期や換羽期には大群となり、5000羽とか10000羽が記録されている。

しかし、近年著しく減少してきているといわれる(Palmer, 1976)。

番の形成は冬にはじまり、海上で1羽の雌をめぐっていくつかの雄のグループディスプレイがある。

雄は雌に向かって突撃したり、雌を追って水中に潜ったり、あるいは雌を追いかけて短い飛翔をしたり、活発に動き回る(Palmer, 1976)。

雌はそそのかしのくちばしを胸にあて、カラスのようなコールをともなうディスプレイをする(Johnsgard, 1978)。

雄はくちばしを胸にあて、急に起こすように頭を振ったり、胸を高めて頭をそむけ、後頭部の白紋を見せるディスプレイをする(Palmer, 1976)。

参考文献

  • 中村登流 1995 アラナミキンクロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 173.

最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

関連情報

その他

「ボン条約」附属書Ⅱ掲載種

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最終更新日:2020-09-01 キノボリトカゲ

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