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- ツミ(Accipiter gularis)について

ツミ(Accipiter gularis)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Accipiter gularis (Temminck & Schlegel, 1844)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:雄 9~12 mm 雌 12~14 mm
・全嘴峰:雄 14~17 mm 雌 19~21 mm
・翼長:雄 157~172 mm 雌 182~200 mm
・跗蹠:雄 43~46 mm 雌 48~55 mm
・尾長:雄 114~119 mm 雌 126~145 mm
・体重:雄 92~115 g 雌 111~175 g
・卵:平均長径 35.3 mm×短径 29.2 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。シベリア南部から中国東北部、ウスリーにかけて繁殖し、亜寒帯で繁殖するものは中国南部、フィリピン、ボルネオ島などに渡って越冬する。
日本では全国各地で繁殖し、暖地では留鳥として年中生息するが、積雪の多い寒地のものは暖地に移動して越冬する。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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日本産タカ中最小。
【雄】
額、頭上、後頭、後頸は暗石盤色で、後頸の各羽の基部は白色である。
眼先、頸側、耳羽は石盤色、腮、喉は白色で、その中央の各羽には黒色の軸線がある。
背は暗石盤色、肩羽、腰、上尾筒は石盤色で、肩羽の各羽の中央には白色斑がある。
ときにはこの斑が白色の幅の広い横縞をなしているものもある。
胸、腹、脇は灰白色で、胸、腹はクリーム色または淡赤錆色を帯び、脇は赤錆色を帯び、灰褐色の多数の横縞がときには明瞭に、ときには不明瞭に多数ある。
下尾筒は白色。下雨覆、腋羽は白色またはクリーム白色で、褐色の横縞が多数ある。
初列風切、次列風切は暗石盤色で、内弁の基部(全体の2分の1から、3分の1くらい)は白色、または灰色の横縞が多数ある。
初列風切の第2羽は第6羽より短い。三列風切は石盤色で、各羽の中央には白色の斑がある。
大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗石盤色である。尾は灰鼠色で、暗石盤色の横縞が3~4条くらいある。
嘴色は黒色の角色で、蝋膜に近いところに黄色斑がある。蝋膜は汚黄色。虹彩は黄色。脚色は汚黄色で、脛羽は脇と同様である。
【雌】
雄より形が大きい。腮、喉の中央の各羽には雄よりも幅の広い黒色の軸線がある。
背、肩羽、腰、上尾筒は褐色を帯びた石盤色、胸、腹、脇は白色で灰褐色の幅の広い横縞がある。
下尾筒は白色で、各羽の先端には灰褐色の斑がある。ほかは雄と同様である。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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額、頭上、後頭、耳羽は黒褐色で、各羽には赤錆色の羽縁がある。背、肩羽、腰、上尾筒は土褐色で、各羽には赤褐色の羽縁がある。
下面は白色で、喉の中央には褐色の縦斑があり、胸には赤錆色を帯びた褐色の幅の広いハート形の縦斑があり、腹には同色の丸い斑紋がある。
脇には同色の幅の広い横縞が多数ある。雄の幼鳥では下面横縞の赤錆色が雌より強い。ほかは成鳥と同様である。
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生態
- 生息環境
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多くは平地から亜高山帯の林に生息する。水田地帯や牧草地、住宅街およびその周辺など、比較的開けた環境でも繁殖記録が得られている(遠藤ほか, 1991)。
近年では、市街地やその周辺の林での繁殖例が増えており、都市への進出という意味で注目されはじめている(平野ほか, 1988:遠藤・平野, 1990)。
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- 食性
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主にスズメ、ツバメ、セキレイ類、エナガ、ムクドリなどの小鳥を捕食するが、小型のネズミや昆虫類の幼虫も食べる。
ときには自分よりも体の大きな鳥を襲うこともある。
なわばりの中のいくつかの決まった樹木に止まり、近くを通過する小鳥を襲う待ち伏せ型の狩りをする。
日本産タカ類では最小で、樹間を敏捷にくぐりながら獲物を追いかける。
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- ライフサイクル
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産卵期は4~5月、一夫一妻で繁殖する。針葉樹の枝に枯れ枝を積み重ねて皿形の巣をつくるが、営巣木にはアカマツがとくに多い(内田, 1986)。
1巣卵数は3~5個、抱卵は主に雌が行う。抱卵日数は約35日、雄は抱卵または抱雛する雌に給餌する(橘・関, 1990)。
雛への給餌は雌だけが行い、雄が直接給餌することはない(橘・関, 1990)。
雄が食物を捕えて雌に渡し、雌は肉を細かく引きちぎって雛に与える。育雛日数は約24日(橘・関, 1990)。
ツミの巣の周りに多数のオナガが近接して営巣することがある(内田, 1986)。
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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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単独で生活することが多く、林の上空や林緑またはその附近の丘陵地や農耕地の上を飛びながら獲物を漁っているが、ときには林間で小鳥や昆虫類などを探していることもある。
翼を3~4回羽ばたいては滑翔を行って直飛するのが常であるが、ときには円を描いて帆翔することもある。
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