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ノスリ(Buteo buteo)の分類 タカ科(Accipitridae)
ノスリ(Buteo buteo)の概要 ノスリ属(Buteo)

ノスリ(Buteo buteo)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Buteo buteo (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・全長:雄 50.3~53.0 cm 雌 53.5~59.5 cm
・翼長:雄 349~360.9 mm 雌 364~392 mm
・尾長:雄 189~214 mm 雌 203~230 mm
・嘴峰長:雄 20.7~22 mm 雌 23~25.5 mm
・ふしょ長:雄 59~74.5 mm 雌 67~74 mm
・体重:748~970 g
・卵:長径 52.3~57.5 mm × 短径 42.3~45 mm 平均長径 55. 5mm × 短径 43.9 mm 重量 33.7~57 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ヨーロッパとユーラシア大陸の北緯45~60度の帯状の地域で繁殖し、北方の個体群は、アフリカ東・南部やインド、東南アジアなどで越冬する(森岡ら1994, del Hoyo et al. 1994)。

日本には、北海道・本州・九州・四国などで繁殖する亜種ノスリ、小笠原諸島の亜種オガサワラノスリ、大東諸島の亜種ダイトウノスリ(絶滅:日本鳥学会 2012)が生息する。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

亜種・品種

オガサワラノスリ、ダイトウノスリ

参考文献

  • 吉井正 2005 ノスリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 364.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

タカ目 タカ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ノスリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 364.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄成鳥・冬羽】
額・頭上・後頭は褐色で各羽はバフ色の縁を有する。頸側・後頸・背および腰はこれより色が濃く、羽縁は狭い。

肩羽はやや淡色で、内弁および外弁には白斑があり、羽縁はかなり広くバフ白色である。

上尾筒は背と同色であるが長い数枚の羽毛の外弁には白斑があり、また各羽の先はかなり広くバフ色になっている。

尾羽の数は12枚。尾形は角尾。ただし最外側のものは多少短い。

尾羽の色は個体差があるが、中央尾羽は先端バフ白色、これに続いて広い暗褐色帯があり、これより基の方は暗褐色と帯灰褐色との横縞が入ったものが多い。

しかしときとして横縞が全くないもの、バフ色の虫蠧斑があるものなどがある。

羽軸は帯褐白色。第2または第5羽は外縁に段があり、第1または第5羽は内縁に深い欠刻がある。

初列風切の外弁は帯灰褐色。内弁の先半部(幅が狭い部分)は暗褐色。

内弁の基半部(幅が広い部分)は内側風切ではバフ色、外側風切では白色。

また内弁の軸に沿う部分に褐色の虫蠧斑があるが、内側の風切ではこれがやや横縞状になっている。

次列風切は内側初列風切と同様であるが、外弁は灰色味少なく、かつ不鮮明ながら横縞を現している。

初列雨覆は暗褐色。大雨覆は暗褐色で基半部には白色またはバフ色斑がある。中雨覆および小雨覆は暗褐色でバフ色または鏽色の羽縁を有する。

しかし翼の前縁をなす1列の羽毛は外縁が白い。眼先の羽毛はバフ白色で各羽の先は黒色毛状となっている。

顎線は黒褐色。頬・耳羽は汚バフ色で褐色軸斑を有する。腮はバフ色で各羽の先は暗褐色。喉はバフ色で淡い暗褐色の縦斑がある。

胸はバフ色で各羽は広い楔状または不定形のバフ褐色軸斑を有し、腹はバフ色で下腹以外には黄褐色斑が多少横斑状に配列している。

下腹および下尾筒はバフ色。脛部の羽毛は大体クリーム色の地に褐色の細い縦斑があるものが多い。

しかしときとして褐色斑がないものや、わずかに褐色横斑があるものなどがある。

【夏羽】
特に夏羽といえるものはない。羽毛が摩耗するときは上記の記載よりも色が淡くなり、褐色部もバフ灰色を帯びて来る。

【雌成鳥】
羽色は雄成鳥と大きな区別はない。

【嘴・脚および虹彩】
嘴は石板褐色または暗角黒色で基部は淡い。蝋膜は黄色。跗蹠は上部のみ羽毛を有し、その下端は通常の跗蹠の中央よりやや下方まで発達している。

跗蹠の裸出部は黄色。爪は黒色。虹彩は暗褐色または黄褐色。

参考文献

  • 山階芳麿 1980 ノスリ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 769-773.
  • 吉井正 2005 ノスリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 364.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

雛の初毛の背面は淡帯褐灰色または淡バフ灰色、眼の周囲は暗色、体側および下面は白色である。

後頭には通常白斑がある。初綿羽は白色。後にこれと替わる幼綿羽は暗灰褐色または淡バフ灰色。初毛は後に幼綿羽に覆い隠されてしまう。

2年めころから黄色くなり、成鳥になると再び褐色となる。

幼鳥は成鳥と大きな差はみられないが、羽色は概して淡く白味勝ちである。

頭はクリーム色が多く褐色部は縦斑状を呈するのを常とし、背・腰は淡い褐色で各羽は広い淡色縁を有する。

尾は成鳥より淡い褐色で横斑は成鳥よりはっきりとしている。

下面はほとんどクリーム色またはバフ白色で、喉と下胸には、やや広い褐色縦斑があるも、そのほかの縦斑は極く細い。顎線は不鮮明である。

脛の羽毛はクリーム白色無斑紋である。

参考文献

  • 吉井正 2005 ノスリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 364.
  • 山階芳麿 1980 ノスリ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 769-773.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は、淡青色または青味を帯びた灰色の地に、赤褐色と淡紫灰色との粗大な斑紋がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

生態

生息環境

ある程度の樹林を必要とするが、疎林の点在する農耕地や荒地から密な森林まで、生息環境はさまざまである。繁殖には林縁を好む。

日本の本州・四国・九州では、低山から亜高山の鳥と認識され、本州中部の北アルプス地方では留鳥として標高 500 mから 1300 mくらいのアカマツ林、落葉濶葉樹林などに生息。

北海道では、低地の農耕地帯でも繁殖する (米川ら 1995)。越冬個体は、河川敷など、より開けた環境にもいる。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.
  • 中村雅彦 1995 ノスリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 54.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

食性

食べ物は小獣が主で、ネズミ・ハツカネズミ・ハタネズミ・モグラ・イタチなどで、ときにはノウサギ・キジバト・カエル・トカゲ・ヘビ・昆虫なども捕食。

捕食する際は木の枝に止まって待ったり、帆翔しながら探す。

停空飛翔で狙いをつけ、急降下して獲物を襲い、鋭い爪で窒息死させる。

参考文献

  • 吉井正 2005 ノスリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 364.
  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.
  • 中村雅彦 1995 ノスリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 54.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

ライフサイクル

産卵期は5~6月ころ。一夫一妻で、留鳥個体群は周年テリトリーを守る。

主にメスが抱卵や育雛を担当し、オスが餌を運ぶ。ヒナが大きくなると、メスも餌を運ぶ。樹上営巣もしくは岩壁営巣。

枯枝を積み上げて作り、内部に緑の葉のついた小枝を敷く。

外径 68.6±11.9(SD) cm ×厚 74.2±21.5(SD) cm(N=46, 米川ら1995)。巣は何年も使用する。

緯度にもよるが、多くの場所では、3月中旬から下旬に巣作りと交尾。

4月上旬から下旬にかけて産卵 (抱卵期間は34~38日間)、4月末から6月初めにかけて孵化 (巣内育雛 期間は39~55日間)。

6月上旬から7月中旬に巣立つ (森岡ら1995)。小笠原では1月末~3月末に産卵 (抱卵期間30~33日間)、2月末から4月末に孵化(巣内育雛期間は33~45日間) (Chiba & Suzuki 2011)。

4月末~6月に巣立つ。ヨーロッパでは、63巣の187卵で、94%の孵化率と89%の巣立ち率 (Picozzi & Weir 1974)。

米川ら(1994)の平均卵数と巣立ち雛数から、十勝地方の巣立ち率62%と算定できる。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

鳴き声

警戒・攻撃・縄張り侵入個体に対するディスプレイ・つがいのディプレイ飛翔時に、「ピィヨー」もしくは「ピィーヤ」と啼く。

興奮の度合いが高まると「ピョョョョー」、「ピャッピャッピャッ ピャッ」。後者は交尾時にも。

ヒナの餌乞いは、金属的な「ピー、ピー」(森岡ら 1995)。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

特徴的な行動

常に単独または雄雌で生活し、大空を帆翔することが多い。トビの様に大群でいることは稀である。

帆翔するときには翼の末端だけが分かれ、幅の広い翼を充分に延ばし、尾羽は扇形に近い位に拡げているのが常である。

ときには滑翔や翼を緩慢に羽搏いて飛翔し、少時停空飛翔をすることもある。

飛翔時の姿はトビにやや類似するが、それより体色が淡色で翼の幅が広く、尾が短くて幅があり、尾端に丸味のある点などが異なる。

地上にいるネズミを発見すると翼を窄めて急降下し、これを捕らえる。

老木の枯枝や棒杭などにとまって捉えた獲物を食物とするが、嚥下した後に不消化物だけはペリットとして吐き出すのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ノスリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 460-462.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

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