- 解説一覧
- カラフトワシ(Aquila clanga)について
基本情報
- 分布
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ヨーロッパ東部からアジア東部まで分布。アジアではシベリア・インド北西部・中国北東部やアムール地方で繁殖し、冬期に日本へ渡来。
神奈川県・宮城県・沖縄県などで記録・採集された。
参考文献
最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄成鳥】
(冬羽)頭上および頸の羽毛は柳葉形をなしている。
頭・頸・背・腰および上尾筒は少し紫色光沢ある暗褐色、ただし長い上尾筒の先はバフ白色である。
尾は角尾であるが、外側のものは少し短い。
尾羽は12枚、尾の色は少し灰色味ある暗紫褐色であるが、ときとして多少暗灰色の不鮮明な横帯を現わしていることもある。
第2または第7羽は外縁に段があり、第1羽または第6羽は内弁に深い欠刻があり、これより先が細くなっている。
初列風切の外側のものは黒色。内側の数枚と次列風切は帯黒紫褐色であるが、内弁は淡く、基端は白い。
三列風切には淡色の不定形斑を少量が存在することがある。
初列雨覆と大雨覆は帯黒紫褐色。中雨覆と小雨覆は背と同色。
眼先の羽毛は毛状をなし、先は黒いが基部はバフ色である。
下面は背と同色であるが、多少淡くかつ紫色光沢が弱い。腋羽および下雨覆は下面と同様。
下尾筒にはときとして白色の先があることがある。
跗蹠の羽毛も下面と同様であるが、下端に近いところにはしばしばバフ白色毛を混じている。
この羽衣は4月から12月にわたる完全であるが極めて緩徐な換羽によって得られるものである。
嘴は角褐色であるが、基部は淡くて青灰色を帯びている。
蝋膜は黄色。鼻孔は円形である。趾は黄色、爪は黒褐色、虹彩は褐色。
(夏羽)
特別の夏羽はない。夏季のものは摩耗した淡色の旧羽と濃色の新羽とを常に混じている。
【雌成鳥】
羽色は雄成鳥と同じ。平均して雄より大きい。
参考文献
最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
初毛は帯褐白色、後に生じる幼綿羽は純白色。
【幼鳥】
上面は成鳥よりも濃い帯黒紫褐色で、頭上および頸の羽毛の先端は通常バフ褐色である。
翕の羽毛にはバフ褐色の中央縦斑がある。ただし、この中央斑の広さは個体により差がある。
肩・背および腰には頗る広いバフ色あるいは淡バフ色の中央斑があり、この部分に於いては紫褐色部はむしろ羽縁のようである。
上尾筒は帯褐バフ色であるが、長い数枚は淡くて白色に近い。
尾羽は成鳥のものとほとんど同様であるが先端淡くまた多くの場合不鮮明横斑を有している。
風切は成鳥のものに似ているが、内側の初列風切および次列風切にはバフ色の先があり、内弁は淡くかつ多少横斑を現わしている。
初列雨覆および大雨覆は次列風切と同様。中雨覆は肩羽と同じ。小雨覆は翕と同色である。
腮および喉は紫褐色。そのほかの下面はバフ色またはバフ褐色で縁は暗紫褐色を呈す。
下尾筒はバフ色。下面のバフ色の広さは個体によって著しい差がある。
(第1回冬羽)
幼鳥はその年の内には換羽に入らず、翌年4月以後に換羽に入り第2年の末までに完全な換羽を行う。
この羽衣は幼羽に似ているが、上面および雨覆の各羽のバフ色斑はかなり狭い。
下面のバフ色部分も狭いのを常とするが、ときとして下面のバフ色部分は幼羽と差がないこともある。
尾および風切の先のバフ色帯は狭いのを常とする。
(第2回冬羽)
第3年の春以降の換羽すなわち2回目の完全な換羽によって、肩羽・雨覆および下胸のバフ色斑は更に狭くなる。
(第3回冬羽)
この羽衣は第4年の春以後の完全な換羽すなわち第3回目の完全な換羽により得られるものであるが、この羽衣で成鳥に近づく。
腰や脛にはバフ色縦斑があり、下雨覆にもバフ色と暗褐色斑とを混じている。
成鳥の羽衣は恐らく第5年の春以後の換羽で得られるものである。
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最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ
生態
- 食性
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主にカエル・魚を食べ、ネズミ・ハツカネズミ・キヌゲネズミ類・モグラなどが成鳥の主食。
ときにはハタリス・オシドリ・ノウサギ・バン・トカゲなども捕食。
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最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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ヨーロッパでは高い樹上に営巣し、草原では低い藪の上に営巣することもある。
巣は直径 70 cmくらいで、何年も同一の巣を補強して使うため、高さが 1 mにも達することもある。
ドイツでは8年間も同じ巣が使用された例がある。
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最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ
- その他生態
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1巣卵数は2個のことが多いが、1個のこともある。孵化日数は不明。
巣立ちまでには6週間以上かかり、また2雛がすべて育つことは稀だという。
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最終更新日:2020-09-24 キノボリトカゲ