- 解説一覧
- カンムリワシ(Spilornis cheela)について
カンムリワシ(Spilornis cheela)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Spilornis cheela (Latham, 1790)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:雄 27~28 mm 雌 29~30 mm
・全嘴峰:40~45 mm
・翼長:雄 338~345 mm 雌 351~372 mm
・跗蹠:雄 70~73 mm 雌 75~78 mm
・尾長:雄 215~235 mm 雌 227~237 mm
・卵:長径 66.3~77.3 mm×短径 52.7~57.6 mm 平均長径 71.8 mm×平均短径 56.2 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 カンムリワシ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 487-489.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。チベット、インド、スリランカから東南アジア、台湾にかけて分布し、多くの亜種がいる。日本の亜種(S. c. perplexus)は八重山諸島の石垣島と西表島を主要な分布域とし、両島には留鳥として年中生息するが個体数は少ない。
西表島では、夏より冬に観察例が多く、11月以降にはとくに幼鳥の発見数が急増する(花輪ほか, 1985)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 カンムリワシ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 95.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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タカ目 タカ科
参考文献
- 吉井正 2005 カンムリワシ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 154.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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1977年に天然記念物に指定。
参考文献
- 吉井正 2005 カンムリワシ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 154.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。額、頭上、後頭の各羽は長くて羽冠をなしている。
各羽は黒色で、基部は白色であるが、後頭の各羽端には褐色の細い縁がある。
耳羽、頬、腮、喉は黄土褐色で、腮と喉の各羽には暗色の細い横縞が密在している。
後頸は暗黄土褐色で、各羽端には淡色の縁があり、背、肩羽、腰、上尾筒は暗黄土褐色で、各羽端には白色の細い縁がある。
胸、腹、脇は黄土褐色で、各羽には暗色の細い横縞と白色の球形の斑とがあり、白色の斑は下腹ほど横縞様をなし、形も大きい。
下尾筒は黄土白色で、暗色の細い横縞が多数ある。
風切羽は暗褐色で、初列風切、次列風切の各羽端には幅 75 ㎜くらいの黒色帯があり、中央にはそれより狭い黒色の帯があり、内弁の基部には白色の縁があり、羽端には褐白色の細い縁がある。
三列風切の内弁にはやや幅の狭い白色の不規則な横縞があり、大雨覆は暗褐色で、各羽端には白色の縁の縁があり、内弁には白色の不規則な横縞がある。
中雨覆は暗褐色で、各羽端には白色の斑があり、小雨覆も暗褐色で、羽端近くの方は黒色に近く、各羽には白色の斑が2箇ずつある。
下雨覆、腋羽は黄土褐色で、白色の球形の斑がある。
尾は暗褐色で羽端には黒色の 55 ㎝くらいの幅の広い横帯があり、中央にも同じ位の幅の帯がある。
内弁には白色の縁があり、羽端の黒色の帯の外側には更に褐白色の細い羽縁がある。
嘴色は青味がかった角色、蝋膜は黄色、虹彩は黄色、脚色は黄色、脛羽は下腹と同様である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カンムリワシ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 487-489.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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額、頭上、後頭の各羽は羽冠をなさず、色は白色で、中央には暗褐色の軸線がある。
各羽端には暗褐色の斑があり、外側には更に白色の縁がある。耳羽は白色で、各羽端は暗褐色である。
背、腰、雨覆は暗褐色で、各羽には白色の細い縁があり、基部は白色である。
胸はクリーム白色で、胸側には暗褐色の斑と軸線とがあり、腹はクリーム白色である。
翼は成鳥と大体同じであるが、白色部がそれより多少多い。尾は淡色で、雄より黒色帯の幅が狭い。
脛羽はクリーム白色で、暗褐色の幅の狭い横縞が多数ある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カンムリワシ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 487-489.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は白色またはクリーム白色の地に濃褐色および赤褐色の斑紋と、灰鼠色の斑紋とが散在し、斑紋は鈍端の方に密生するのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カンムリワシ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 487-489.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
生態
- 食性
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ヘビ、カエル、トカゲ、カニ、昆虫を食べるが、年間を通しての餌はサキシマハブが最も多く、次いでサキシママダラなどのヘビ類やトカゲ類、カエル類である(庄山, 1991)。
わずかではあるが、クイナ類の雛、シロハラクイナやアカショウビンの成鳥も食べる。
餌の少ない冬はもっぱらオカガニ類などのカニ類を食べてしのいでいる(庄山, 1991)。
湿地周辺の樹木や電柱上に静止して待ち続け、地上に獲物を発見すると飛び降りて捕獲する。
あるいは、獲物の近くに下りて、歩いて足で捕える。ひとつの地域に執着し、獲物が目の前に出現するまで待ち続ける。
このため、捕獲効率はきわめて悪く、一日中狩りに専念しても小さなカエルが4匹ぐらいという日もある(宮崎, 1981)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 カンムリワシ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 95.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は3~8月、一夫一妻で繁殖する。
それほど深くない森林の、ツルアダンなどが密生した大木の枝上に枯れ枝を積んで浅い皿形の巣をつくる。
3月下旬から4月ごろに乳白色の卵を1~2個産卵する。
雌だけが抱卵し、雄は抱卵中の雌に餌を運ぶ(宮崎. 1981)。抱卵日数は約35日、巣立ちまでの日数は60~70日。
卵が孵化すると、育雛と巣の警護は雌だけが行い、雄は食物の採取と巣への運搬を行う(宮崎. 1981)。
幼鳥は十分飛べるようになってから森林を出て、道路付近の湿地や林縁に出現するようになるが、餌ねだりや親の保護は翌年の4月の繁殖期ぎりぎりまで続く(庄山 .1991)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 カンムリワシ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 95.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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クヮッ、クヮッ、ピョー、ピョーと大きな声で啼き、飛翔中に啼くことが多い。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カンムリワシ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 487-489.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期には番ごとになわばりをもって分散すると考えられる。
早い年には12月から雌雄はピタリと寄り添いながら帆翔し、ときおり脚どうしを絡め合う求愛行動が見られる(庄山, 1991)。
3月になると求愛行動が目立ち、鳴きながら翼をV字形に保って帆翔する。
ときどき、初列部だけをすぼめて急降下する行動をともなう(森岡, 1985)。
また、雄が雌にハブなどの獲物をプレゼントする求愛行動もこの時期に見られる(宮崎, 1981)。
冬は、単独で林緑に接した湿地がある環境になわばりを構える。
参考文献
- 中村雅彦 1995 カンムリワシ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 95.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ