- 解説一覧
- キジ(Phasianus versicolor)について

キジ(Phasianus versicolor)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
-
Phasianus versicolor Vieillot, 1825
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・翼長: 雄 215~240 mm 雌 195~207 mm
・尾長: 雄 270~425 mm 雌 202~275 mm
・露出嘴峰長 : 雄 29~36 mm 雌 25~31 mm
・ふしょ長: 雄 64~73 mm 雌 55~64 mm
・体重: 雄 847~1387 g 雌 692~970 g
・卵:長径 39.5~45 mm × 短径 30.5~34.5 mm 平均長径 43.1 mm × 短径 33.3 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 大きさ・重さ
-
・翼長: 雄 215~240 mm 雌 195~207 mm
・尾長: 雄 270~425 mm 雌 202~275 mm
・露出嘴峰長 : 雄 29~36 mm 雌 25~31 mm
・ふしょ長: 雄 64~73 mm 雌 55~64 mm
・体重: 雄 847~1387 g 雌 692~970 g
・卵:長径 39.5~45 mm × 短径 30.5~34.5 mm 平均長径 43.1 mm × 短径 33.3 mm
参考文献
- 清棲幸保 1954 キジ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 907-911.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分布
-
在来のキジは留鳥で、積雪の山地では低地に移動することもある。
亜種キジは北日本に分布し、東日本以西の本州と四国に亜種トウカイキジ、三浦・伊豆・紀伊半島と屋久島、種子島に亜種シマキジ、九州と中国・四国の一部に亜種キュ ウシュウキジが分布する。
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 生息状況
-
キジは日本の国鳥であるが、ヤマドリなどとともに人気のある狩猟対象種として持続的な狩猟が続けられている。
海外における狩猟鳥管理の方法はさまざまで、英国では土地所有者が自分の領地内の狩猟鳥も所有する権利を持つため、個人的に管理される。
米国では狩猟は土地所有者とは無関係に自由に行われることから、地方政府が管理している。
日本では野生動物は民法上無主物という位置づけのため、政府や自治体が関与している。
キジの狩猟数の推移は1970年代をピークに減少しているが、これまで狩猟鳥の個体数維持の観点から人工繁殖が進められ、全国各地で放鳥が行なわれてきた。
放鳥個 体の生存率や繁殖成功率は不明であるが、地域を選ばない大量の人工繁殖個体の放鳥が続いたことから、本来の亜種の特徴(形態学的)が消失している地域が増加したことが懸念されている。
現在は規定により、現地で生息する亜種が放鳥されている。
参考文献
- 吉井正 2005 キジ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 160.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 学名の解説
-
種小名はコルキス地方(黒海東岸の古代地名)のという意味。
参考文献
- 吉井正 2005 キジ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 160.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 和名の解説
-
和名の由来は、古くは木々須といい、転じてキジとなったといわれる。
参考文献
- 吉井正 2005 キジ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 160.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 人間との関係
-
キジは日本の昔話「桃太郎」にも登場する日本人には親しみ深い鳥で、日本に固有な鳥である(欧州、北米、ハワイ に移出された例あり)。
また、姿が美しく、国民のだれもが知っているので日本を代表する鳥として、1947年日本鳥学会の推薦で国鳥に決まった。岡山県、岩手県の県鳥。
参考文献
- 吉井正 2005 キジ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 160.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
【雄】
頭上、後頭は暗緑色の金属光沢のある黒色で、各羽縁は暗ブロンズ緑色である。
眼の周囲には広く赤色の不皮膚の裸出部があり、藍紫色の小羽が点在しているが、繁殖期には全体に著しく大形に膨張する。
後頭の両側には黒色で、暗緑色の金属光沢のある長い角形の飾羽がある。
眼の下には藍紫色の短い線をなした斑紋がある。頬、腮、喉は黒色で、藍緑色の金属光沢がある。
頸には藍紫色の金属光沢のある黒色の幅の広い頸輪があり、まれに白色のごく細い頸輪のあるものもある。
翕は黒色で暗緑色の金属光沢がある。背は黒色で暗緑色の金属光沢があり、各羽には羽縁に沿ってクリーム色または赤胴色を帯びたクリーム色のU字形の細い曲線が3層ある。
肩羽、下背は黒色で、各羽には赤胴色の幅の広い羽縁に沿いクリーム色のU字形の細い曲線が3層あり、羽縁近くの黒色の曲線の部分は暗緑色の金属光沢がある。
胸は黒色で暗緑色の金属光沢がある。腹の中央は黒褐色、腹の両側および脇は黒色で藍緑色の金属光沢がある。
腰、上尾筒は青灰色で、中央の部分は淡ブロンズ緑色を呈し、各羽縁は蓑の様に細長く分かれている。
下尾筒は黒色で、各羽端には暗緑色の金属光沢がある。下雨覆、腋羽は暗褐色である。
初列風切は褐色で、白色の斑紋からなる横縞が多数あり、次列風切は褐色で、白色の大理石様の斑紋からなる横縞が多数にあり、羽縁は灰色を帯びている。
三列風切は黒褐色で、黄褐色の幅の広い縁があり、外側には更に栗色の縁がある。
中央の黒褐色部にはクリーム色の大理石様の斑紋がある、大、中、小雨覆は青灰色で、淡緑色の金属光沢があり、大雨覆の内側の各羽には赤紫褐色の縁がある。
初列雨覆、小翼羽は褐色で、白色の大理石様の横縞がある。
尾は中央の1対は緑色を帯びた灰色で、黒色の横縞が多数あり、羽縁は毛の様に細長く分かれ、赤紫褐色を呈し、光線の具合では緑灰褐色の光沢を発する。
ほかの尾羽は灰色で、黒色の横縞が多数あり、羽縁は蓑のように細長くわかれ、赤紫褐色を呈している。
嘴は淡黄褐色、虹彩は雄が黄色、雌は暗黄色、脚色は褐色を帯びた角色。
【雌】
頭部は黒色で、各羽には淡赤錆色の縁があり、腮、喉はクリーム色である。眼の下にはクリーム白色の斑があり、肉冠を欠いている。
下喉は淡赤錆色で、各羽には黒色のU字形の斑紋がある。
頸は黒色で各羽縁近くには淡赤錆色のU字形の斑紋があり、中央の部分は淡い赤錆色を呈している。
上背は黒色で、黄味がかった赤錆色の羽縁があり、黒色部は藍緑色の金属光沢を帯びている。
下背、肩羽の各羽の中央は黒色で、先端と両側は栗色で、外側には赤錆色を帯びた淡黄褐色の縁があり、黒色部には藍緑色の金属光沢がある。
胸、腹はわずかに赤錆色を帯びた淡黄褐色で、黒色のU字形の横縞があり、羽端には黒色の小斑点がある。
脇は赤錆色を帯びた淡黄褐色で、黒色の大きな斑紋が横縞のように多数ある。
腰は黒色で、赤錆色を帯びた黄褐色の縁があり、黒色の部分の先端は栗色である。
上尾筒は黒色で、各羽には赤錆色を帯びた淡黄褐色の縁があり、中央には同色のU字形の斑紋がある。
下尾筒は赤錆色帯びた淡黄褐色で、黒色の横縞がある。下雨覆、腋羽は淡赤錆色で、暗褐色の横縞がある。
初列風切は暗褐色で、赤錆色の不規則な横縞が多数ある。
次列風切は暗褐色で、赤錆色をを帯びた淡黄褐色の大理石様の斑紋からなる不規則な横縞が多数ある。
三列風切の各羽の中央は黒色で、両側は栗色に黒色の大理石様の斑があり、外側の羽縁は淡黄褐色を呈している。
大、中、小雨覆は黒色で、赤錆色を帯びた淡黄褐色の縁がある。内側のものの黒色の部分の両側は多少栗色を帯びている。
初列雨覆、小翼羽は淡赤錆色を帯びた淡黄褐色で、黒色の太い横縞がある。
尾は淡赤錆色を帯びた淡黄褐色で、黒色の太い横縞が多数と黒色の大理石様の斑紋とがあり、黒色の横縞の周囲は栗色である。
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
-
孵化直後の雛は全身にクリーム色の幼綿羽が密生し、頭上は幅広く栗色で暗褐色の斑があり、後頸には暗褐色の細い縦線がある。
額および顔は赤錆色を帯びたクリーム色で、耳羽の後端には黒褐色の斑点がある。
背以下の体の中央には栗色に暗褐色の散在した幅の広い縦線があり、体の上面の両側には更に同色のやや不明瞭な縦線が走っている。
胸と翼とは赤淡錆色を帯びる。
参考文献
- 清棲幸保 1954 キジ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 907-911.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 卵の形質
-
卵は褐色を帯びた緑灰色または緑灰色で斑紋を欠く。
参考文献
- 清棲幸保 1954 キジ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 907-911.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
平地や山地の草原、農耕地、雑木林、低木林、河原の草原に生息し、近縁のヤマドリよりも開けた環境を好む。
比較的人間の活動の多い場所に生息する。
参考文献
- 中村雅彦 1995 キジ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 94.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 食性
-
主に地上を歩いて、採食する。雑食性である。
植物質ではハコベ、ヨモギ、ナノハナ、ツクシ、ドングリ、カラスノエンドウ、キイチゴ、アケビ、ヤマブドウ、キビ、アワ、ムギ、コメ、トウモロコシ、キャベツ、サツマイモなど葉や花、実、根、動物質ではバッタ、イナゴ、キリギリス、テントウムシ、カミキリムシ、コガネムシ、カマキリ、ハエ、ハチ、コオロギ、アリ、カタツムリ、ナメクジ、ミノムシ、クモ、チョウやガの幼虫などを食べる。
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
-
繁殖期は地域によって異なり、関東では3~6月、寒い地域では1か月から1か月半ほど遅くなる。
雄キジはなわばりを持っており、その広さは競争相手の雄の数や雌との関係、生息環境で異なる。広さは 0.2~10 haとの報告があるが (丸 1988)、筆者の調査地(横浜)では 0.5~2.4 haだった。
冬には雄は単独か群れになるといわれるが(Kuroda, 1981)、横浜の生息地では周年なわばりを維持し、冬期になわばり主の交代も観察され、雄同士の戦いがあったと推定された。なわばり争いはにらみ合ったり、飛び上って蹴り合ったりする。
婚姻制度は一夫多妻、多夫多妻(乱婚)とも言われているが、雌が雄のなわばりの間を自由に移動する行動が観察され、筆者は乱婚の可能性があると考えている。
雌だけが抱卵し、卵は抱卵後23~25日でふ化する。雛はクリーム色の幼綿羽で覆われ、背や腹に暗褐色の縦縞がある。
筆者の観察では、雛の成長は月齢2か月で雌親並の大きさになる。3か月半で雄の特徴(蹴爪や首周りの雄の羽色)が現れ、8か月で成鳥とかわらなくなった。
野外で雌親が1~6羽の幼鳥を連れている状況が見られたが、雛が見られない年や1羽の場合が多く、巣立ち率は低いと思われる。
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 鳴き声
-
繁殖期には雄は「ケンケン」と1~5分おきに鳴き、連続で1時間半以上も鳴くことがある。
「ケンケン」と鳴いた後は翼を激しく振わせて「ドドドド」という羽音をたてる。これを母衣打ち(ほろうち)という。
雄は、雌に対して翼を半分開き、腰の羽毛を膨らませ、尾羽を扇のように開いて美しい羽を見せるディスプレイを行なう。
そのほかにもいろいろな声を出す。雄キジは3月下旬から6月上旬の日の出から4時間位の間によく鳴く。よく聞かれる鳴き声は下記の通りである。
ケンケン(高鳴き・Crow call):なわばりを確立する春に最もよく鳴く一般的な鳴き声。一日中鳴くが早朝や夕方によく 鳴き、どしゃ降りでなければ雨の中でも鳴く。またほかの雄の高鳴きや雷、地震、自動車のとびらを閉める音などにも反応して鳴く。この鳴き声はほかの雄キジに対し自分のなわばりに入らないよう警告し、雌に対しては自分の存在を知らせていると考えられる。
ケッケッケッ(警報鳴き・Alarm call):ほかの雄がなわばりに侵入したときや危険な状況になったときに鳴く。
ケーケーケー(敵対鳴き・Antagonistic call):ほかの雄と敵対的な状況になったとき、自分の方が強いこと、攻撃するぞという挑戦の意味を表わすと考えられる。
チョケーン、チョケーン(飛翔鳴き・Flight call):飛行して逃げるときや逆に上空から威嚇するときに鳴く。早朝や夕方の平穏なときに塒周辺で鳴くこともある(Heinz & Gysel 1970)。雌はチィーヨ、チィーヨと小さな声で鳴く。
参考文献
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
関連情報
- 味や食感
-
肉は美味で、料理法も多くある。
参考文献
- 吉井正 2005 キジ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 160.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ