- 解説一覧
- カナダヅル(Grus canadensis)について
基本情報
- 分布
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全北区。シベリア東北部から北アメリカ大陸の一部で繁殖し、日本にはまれな冬鳥として渡来する。
希少種に指定されている。鹿児島県出水市のナベヅル、北海道釧路・十勝地方のタンチョウなど、ほかのツル類と行動を共にしている。
参考文献
最終更新日:2020-05-25 キノボリトカゲ
- 生息状況
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総個体数は50万羽以上と推定され、すべてのツルの中でもっとも数が多いが、亜種によっては非常に少ないものがある。
特に、ミシシッピーの亜種は120羽、キューバの亜種は300羽しかおらず、絶滅が危惧されている。
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- 亜種・品種
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6つの亜種に分けられ、北アメリカ北極域とシベリア北東部の亜種、カナダ中部の亜種、北アメリカ中部の亜種、合衆国ミシシッピー州の亜種、合衆国フロリダ半島近くの亜種、キューバの亜種に分けられる。
北方の亜種は主に合衆国南部からメキシコ北部で越冬する。日本に渡ってくるのは小型の亜種。(山田ら, 2001, 143)
亜種ごとに体の大きさは非常にばらつきがあり、最小は G. c. canadensis で、最大の G. c. rowani はそのほぼ2倍の体重がある。(バードライフインターナショナル, 2009, 215)
G. c. tabida:ブリティッシュ・コロンビア州北西部からカリフォルニア州北部およびネバダ州にかけて繁殖する。(Perrins, 1996, 125)
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形態
- 成鳥の形質
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全身が淡灰色か灰褐色。頬・喉は白色。額・頭頂・眼先は裸出して赤い。初列風切と初列雨覆は黒色で、次列風切も黒っぽい。
内側次列風切は長くのび、翼をたたむと房状となって尾羽を覆いかくす。嘴と足は黒色。若鳥は全身が褐色で頭の赤色部はない。
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生態
- ライフサイクル
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産卵から孵化までは30日前後。
ヒナは成長が早く、50~90日で飛べるようになるが、1年後再び親とともに営巣地にもどるまで、1年間常に親とともに生活し、渡りのルートを含めてあらゆることを親から学ぶ。
性成熟には2~3年かかる。
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- 生殖行動
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湿原や森林帯の沼地などで繁殖する。北方の亜種では4~6月に繁殖をはじめ、コケや草などを集めて少し高くなり乾燥した場所に巣をつくる。
また、一部の繁殖地では繁殖期に褐色の羽が混ざるものがいるが、これは鉄分を多く含む土をくちばしでつけて染めたものといわれている。
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- 産卵
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一夫一妻の番が広いなわばりを構えて繁殖する。湿地の地上に枯れ草を積み上げて大きな巣をつくり、ふつう2卵を産む(Johnsgard, 1983)。
雌雄交替で28~31日抱卵し、孵化した雛を雌雄共同で60日間以上にわたって給餌する(Johnsgard, 1983)。
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関連情報
- その他
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現在のカナダヅルのものと同じ骨の化石が900万年前の堆積物に発見され、もっとも長期にわたって生存してきた鳥の1種だと考えられている。
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